第32話

あぁ頭が痛い。



確かついこの間よく理解できない理由で武器を盗んでいった犯人がさも当然のようにこの部屋にいてなんでベッドでくつろいでいるんだ。





俺は入り口で頭を悩ませているとあの窃盗神がすくっと立ち上がり改めて姿勢を正し1つ咳をすると真剣な面持ちで話を切り出してきた。





『真様、先日は申し訳ありませんでした。折り入ってお願いがあり参上させていただきました。実はこの世界では様々な異変が起こり始めているのです。先日倒された金色オークのような強化種が世界各地に目撃、また襲撃される事件が起こっているのです。どうかあなた様も問題解決に向けお力添えをいただけないでしょうか?』



(うん?いつもと雰囲気が違うぞ。かなり女神っぽい。それだけ危ない状況なのか!?)



『それだけこの世界が危ないのですか?あとあなた様もというと私以外にも解決に向け動いているのですか?』


今度あったら絞めあげようとしたがかなり真剣な雰囲気に俺も気持ちを引き締め話を聞く。



しかしそこからはあの女神の化けの皮が少しずつ剥がれていった。




『実はギャンブルの種銭にと質屋にあの弓を出したことがこの世界の神に見つかりましてそれはそれは大変怒られまして、、、。』




女神はそれはそれは大変だったと目を閉じ熱く語っている。

俺は無言で雷鞭を取りにトコトコ歩く。




『そして神は金のためにこの世界の問題をあなたを使って解決してこいと解決したぶんだけお金を払うということになったのですがなにを血迷ったのか反省しろと弓の場所が分からないようにされてしまいました。しかも私だけではこの世界がいつまでも解決しないとあろうことか私の嫌いな2人の女神にも異世界からの住人をこちらの世界に旅人として呼ぶことになったのです。これじゃあ借金返済できないじゃないですか!ま〜こ〜とさ〜んどうかたすけてくださ〜い』


最後の方は鼻水と涙で顔がクシャクシャになりながら飛びついてきた。



くそ。あまりにも早くて鞭で縛れなかった。


(ダメだ。こいつは性根が腐ってる。)




しかしこの負債神はどうなろうとまあいいが新たな旅人は気になるな。旅を続けるうちに出会う機会もあるだろうか?俺と違ってまともな女神な気がするしな。こんなステータスなことはないだろうしあっという間に名が売れるかもな。

汁まみれの駄女神をふと見てため息が出た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る