おまけ③(ボツ案)―最後のダンス!?-
このお話をラストに!と、思ってましたが……
◇◇◇
天空の塔から戻った三日後。帝国国王からの謝恩会が、昼間に開かれた。
帝国王「我が弟を、よくぞ救い出してくれた!礼を言うぞ、大儀であった!!」
店主「いえいえ、帝国のご支援があったればこそ。一介の冒険者たちだけでは、到底及びもつきません」
そして……
女戦士「私、本当に良かった」
帝国国王からは全員に、一生困らない褒賞金をもらった。
店主「これで皆、生活に困らないな!」
大きくうなずく女戦士。実は人一倍、気を使っていた女戦士だったのだ。
会では会食の間、ダンスも行っていた。沢山の人が踊る中、お嬢様の姿もあった。お嬢様は、王子と踊っていた。
店主『こうして見ると、本当にお姫様なんだな。まるで違う人だな』
目があった。お嬢様が、ニコッと笑った。
可愛くてドキッとなった!!
踊りが終わった。すると、お嬢様が店主の所にやって来た。
お嬢様「わらはと踊ってはまいらぬか?ダンスは、わらはがリードするのじゃ」
そっと店主に、手を差し出した。
槍使い「断るなど出来ぬでござるよ、ジャック!姫君に恥はかかせられぬでござるからな」
店主「ああ……そうだな」
珍しく素直に受けた。
お嬢様はリードしようと、店主の背に手をかけた。さて、曲が始まろうかという時だった。
店主「こんな機会は、最後かも知れないな」
そう、呟くと店主は手をいれかえ、お嬢様の背をしっかりと抱いた。お嬢様は驚いて店主を見た。
ドキッ
と、した。見た事もない、優しい店主の目があった。目が潤んだ。
女戦士「……」
店主とお嬢様の二人のダンスは素晴らしかった。踊りながら、お嬢様は店主に囁いた。
お嬢様「なぜじゃ?なぜ、そなたは踊れるのじゃ!? 」
店主「ロニー姫よ」
気品のある声。そして店主は、お嬢様にキラキラとした満面の笑みを送って言った。
店主「今だけは二人、ダンスを楽しみましょう」
その店主の上品な言い方に、お嬢様はつい……
「はい///」
と、答えてしまった。
その日、一番のダンスを二人は踊っていた。お嬢様は、それはそれは夢のような時間をすごしたのだった。こうして、謝恩会は夕方には幕を下ろした。
次の日。
お嬢様「早うなのじゃ!」
いつもの通り、稽古出来る格好で来たお嬢様は、店のドアを元気に開けた。
お嬢様「……」
店の中は何もなくただ静かに、ガランとしていた。慌てて階段を登った。店主の部屋をのぞいた。
お嬢様「そんな!」
泣きそうな気持ちを抑えて、続いてお泊まり部屋へ。
お嬢様「ジャック、酷いのじゃ!!」
声が裏返っていた。店主の部屋もお泊まり部屋も、がらんどうだった。
下に降りて来た。
お嬢様『初めて泊まった夜、こうして階段を降りるとカウンターに店主が……』
と、思い出すともう我慢出来ず、ポロポロと涙が出た。ふと見ると、カウンターに手紙が置いてあった。店主からの手紙だった。
俺たちは、住む世界が違う
お嬢様の幸せを
遠くから祈っている
と、書いてあった。床に落ちる涙が、ポタポタと鳴った。
お嬢様『ジャックのバカ者!わらはの幸せは、わらはの幸せは』
手紙を胸に抱き締めた。
お嬢様「そなたなのに!!」
◇◇◇
二頭立て屋根付きの馬車が走る。中は、左右に長椅子があり、椅子の中には荷物が入れられた。
屋根にも荷物が載せられるよう、座ったら腰まで柵があって、もちろん人も乗れた。その馬車を店主が操る。何かの時に馬車を思い通りに動かせるからだ。
店主を中心に、左に弓使い、右に女戦士が座った。後ろの長椅子に左右、魔法使いと僧侶が座っていた。
槍使いは屋根から足をブラブラさせながら座っていて、無意識に周りを見張っていた。
槍使い「本当に良かったでござるか?」
店主「ああ。……てか!!なんで、お前らも一緒なんだよ!?」
謝恩会に向かう中、店主はこう考えていた。国王の弟を助け出した噂は、いずれ国中を駆け巡るだろう。そうしたら今の生活は出来やしない。
だから店主は、店をたたむ決意をした。
店の品物のほとんどは、夕方のうちに手配した質屋にて、そうそうに売り払った。
槍使い「片付けを手伝ったでござるよ!!」
弓使い「そうですよ!みんなで手分けして、町中の質屋に売り払ってきたんですよ」
二人とも楽しそうに笑って言った。
手元にあるのは、最強の硬い剣と愛用の鎧、そして道具一式だけ。あとは、生活雑貨と女戦士の持ち物だった。
僧侶「というか、ジェイちゃんだけにしたら、女戦士とチョメチョメしちゃうでしょ!?」
「「ぶふっ!」」
該当者二人が吹き出した!
しばしの沈黙……
やがて、それを破る者がいた。
魔法使い「 ジャック実は、お願いがあるの」
皆を代表して言った。
魔法使い「みんなの隊長になって欲しいの」
店主「はっ!?」
槍使い「店をやめたでござろう?で、あればまた冒険が出来るなり!!」
僧侶「そうよぉ、ジェイちゃん!あたしたちのぉ、隊長になってぇ!」
店主「いきなり何を言ってるんだよ!帝国から一生分の褒賞金もらっただろ?それで、みんなそれぞれに生きていけばいいじゃないか!?」
魔法使い「そうなのだけど、ね……ジャック?」
チラッと、弓使いを見た。
んっ?そういう事か!そいう事か!!
一緒の時間が欲しい!という事か。
それならまあ、少しぐらいは一緒にいて、キューピット役になってやるか!!
僧侶「そうそう!ジェイちゃん……ね?」
槍使いをチラッと見た。
店主「えっ!?」
逃げろ!お前、狙われてるぞ!!
いやしかし……
もしかしたら、そういうのもありなのか!?店主は深く考え込んだ!!
女戦士「冒険隊。そしたら、みんな一緒にいられる 」
儚い望みのように呟く。
お前に……
居場所を作ってやらないとな。
しばしの沈黙。その間も馬車は進んでいった。
「わかった。
みんなで冒険隊をやろう!」
やったあ!!
と、馬車は歓声に包まれた。
その時、店主の腰につけたキーホルダーが、揺れていた。
◇◇◇
シュン!
カチン
シュン!
カチン
店主の店だった裏庭で、抜刀の音だけがする。店主の店は、お嬢様が買い取った。ひたすら練習するお嬢様の側には、老執事が立っていた。
お嬢様「みんな、いなくなってしまったのじゃ」
すると、ポケットからキーホルダーを取り出し、握りしめた。
老執事「気持ちの良い連中でしたな」
そしてキーホルダーをしまい、再び抜刀を始めた。
シュン!
カチン
『なってやるのじゃ、ジャック!」
涙をこらえながら、抜刀した。
シュン!
カチン
「わらはは
最速の女剣士になってやるのじゃ!!」
そう言うと再び、ジャックにもらった刀を抜刀した。
シュン!
カチン
と。
☆まとめて全員のステータス!
店主(ジャック)
・上下白の燕尾服
お嬢様(ロニー・シュタイン・アインアルバート)
・金髪ツインテール、髪留めは細い青のリボン
・豪華なティアラ
・プリンセスラインドレス(シャンパン・オフホワイト)
・ドレスと同じ色の、ヒール3㌢
・ちっぱい
・白のタイツ
・ヒモ付き白パンツ(赤いリボン付き)
女戦士(リリー)
・黒髪ロングストレート
・真紅のドレスで、超綺麗で美人がさらに!
・真紅のヒール7㌢
・胸元ボリューミー!(谷間あり)
・黒ガーターストッキング
・ヒモ付き黒パンツ
老執事
・黒に金襟の燕尾服
魔法使い(エリーシャ)
・実は、バー○んに見えない超美人の黒ドレス姿
・普通にボイン!(谷間あり)
・パンツ履いてない
僧侶(ブレイスト)
・男とは思えない超美人のドレス姿!(胸はパット)
・パンツ履いてない(だから、ブラブラしてる!)
槍使い(コンゴウ)
・紋付袴(もんつきはかま)
・鉢巻には『天晴れ』の文字
盾弓使い(アルベルト)
・ブルーの燕尾服
最だら・おしまい
と、言った感じでしたが、回収出来ていない伏線が沢山残ってしまいましたので、ボツになりました。
まだまだ、一人ひとりのキャラの生い立ちを書いたら面白そうなのですが、ひとまずここでお終いです。
本当に最後まで、お読み頂きありがとうございました。
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