現実とリアル、夢と想像

だらだら

日常

家の外から、トラックのエンジン音が、窓を叩く横なぐりの雨とともに聞こえてくる。自分と外、壁がひとつ隔たっているだけなのに、僕はそれを他人事のように、まるで別世界のことのように脳の片隅に置いた。深夜2時、気がつくと雨は止んでいた。部屋の中で空気がジーーーーッと音を立てる。うるさい。現実はいつもうるさい。僕は、現実から逃げるように耳を塞ぎ、眠った。


僕は眠っている。ベッドの上で。もしかしたら、僕じゃないかもしれない。顔がぼやけている。確認しようにも、遠くから眺めているばかりで、視点は動かない。いや、確認しようなんて意志はそこにはなかった。何かがベッドに近づく。何をするわけでもない、少しの間そこに留まり、そして通り過ぎた。ピラミッドに立つライオン。階段下にナイフを持った見知らぬ老婆。意味もなく追いかけてはギリギリでいつも消える何者。僕は全てを受け入れていた。夢はいつも自分の想像を超える。


現実を思い知らせたいのか、目覚まし時計は轟音を立てる。現実に引き戻されるボタンを押すようにアラームを止めた。いつものように階段を降り、二日前にも着たような服を手に取り着替え、作業のごとく朝食をとる。今日は寒いらしい。電車の中では、カナル型イヤホンを耳に埋め、外界の音が聞こえない程度のボリュームで音楽を聞き流す。目を閉じてはいつも思う、現実は変わらないのか。目を開けて広がるのは、昨日も見た景色だ。


僕は何でここに座っているのだろう。大学の講義なんて聞いていない。ましてや今、堂々と知識を話す教授の名前だって知らない。退屈な時は、目を閉じ想像してみる。今、大声をあげたらどうなるか。一気に周囲から注目を浴び、名前も知らない教授は話すのをやめ、講義は中断するだろう。面白がってツイートする者もいるかもしれない。ーーーはあ…どうして想像は現実を引きずるのだろうか。ちっとも面白くない。

1日を生きた感覚もなしに今日が終わる。僕にとってはこれからが今日の始まりだ。


家の外から、トラックのエンジン音が、窓を揺らす風の音とともに聞こえてくる。昨日よりもずっと静かだ。揺れる窓、風を切る音が心地いい。僕は今日を生きるため、それに耳を澄まし、眠った。

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