第1191話 どエルフさんたちと電マ

【ご連絡】


 すみません、今日も更新の予約ができておりませんでした……。m(__)m

 まとめて予約投稿するようにしているのですが、その時間もちょっと取れずという感じです。いや、昨日はツイッターしている時間はあったな……。(しろめ)


 明日・明後日についてはすぐ予約をかけます。

 本当に、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。


【前回のあらすじ】


 異世界ビッ○カメラでわくわくショッピング!!

 イーグル市の詳細な地図を求めて、迷い込んだのは大型家電量販店。そこは大人のテーマパーク。下手なアミューズメントパークよりも、大人はこういう所の方が興奮する。普段の生活を便利にするアイテムに、新生活のイメージが止まらない。


 脳汁溢れっぱなしのウキウキショッピング――!!


「大型家電量販店でそんな楽しみ方している奴はいないわよ」


 個人(作者)の感想でございます。

 いやほんと、面白いよねヨド○シとかビッ○とか。一日中過ごせる。屋上にレストラン完備でもうお客様逃がさない。なんて商売上手なんだろうか。

 とかまぁ、そんなことはさておいて。


 イーグル市の地図を手に入れるという当初の目的をすっかり忘れて、遊び回る女エルフたち。気分はすっかり休日ショッピング。

 ワンコ教授は電子辞書コーナー。新女王とELF娘は衣料品売り場へ。そして、の壊れた女エルフと女修道士シスターことおつかれお姉様ズは、吸い寄せられるように健康器具コーナーへとやって来たのだった。


 そして、そんな場所に入ってしまえば当然あれと遭遇する。

 一人暮らしのOLが日々の疲れと肩こりと寂しさを紛らわせるための、電気で動くマッサージの奴が。はたして、ファンタジーと現代技術が交わる時、どんな物語が発生するのか。


 本日のどエルフさんは、そんな思考実験の趣で参りたいと思います。


「……最近、ほんとネタが強引よね」


 申し訳ない!! この作品も書籍化したら頑張るので許して!! 来るとは思って居ませんけれど!!


◇ ◇ ◇ ◇


 健康器具コーナー。中央。常設ステージ。

 電気マッサージ器。ハンドタイプコーナー。

 柔らかいパステルカラーのボディに灰色のヘッドをしたそれが何本も並べられている一画を前に、女エルフと女修道士シスターは固まっていた。


 言葉も出ないし身体も動かない。ただ、目の前に存在している謎のアイテムに、圧倒されて身動きが取れなくなる――。

 それは二人にとって実に不思議な体験だった。


「いったい、なんなのこれは」


「モーラさん、どうしてでしょうか。私、この道具を見たことないのに、なぜだか見たことがあるような」


「奇遇ね、私もそんな気がするわ……」


「商品名は『電マ』……たしかヨシヲさんがよく使う魔法もこんな名前だったような気がしますね」


「奇妙な話もあったものね。それが既視感の原因かしら……」


 そう、それは『電マ』。電気マッサージ器。

 ハンディマッサージなどと言われる器具である。


 近代的なこけしのような形をしているそれがずらりと並ぶ一画。健康器具が並んでいるだけなのに、どうしてだろうこの背徳感は。ファンタジー世界の住人でなくても、おもわず立ち止まってしまう


 謎の既視感に打ち震える女エルフと女修道士シスター

 すると、ようやく身体の震えが取れてきたか、女修道士が電マへと手を伸ばす。

 うやうやしくそれを手に取れば――ぶるりと彼女の手の中でその先端が踊った。


 おぉ……と、二人の女の口から甘い声が漏れる。


「これは……(ゴクリ)」


「なんて雄々しい動き……(ジュルリ)」


 すぐさま女修道士は揺れる先端を自分の身体にそっと当てる。激しく揺れるヘッドが、彼女の柔肌を優しく蹂躙する。すぐにその表情は恍惚に染まった。

 赤く染まり上がった頬。その濡れた唇が甘い声をあげる。


「あっ、あっ、あぁっ!! き、効くぅうう~~~!!」


「コーネリア!!」


「肩こりが!! ここ数日の久しぶりの冒険で、すっかりと重くなっていた肩に、振動が効くぅううう~~~!!」


「ちょっとちょっと、私にもやらせなさいよ!!」


 健全な使い方だった。

 もっとこう、独身OLが後ろめたさを感じながら、そっと使う感じの展開を予想していたのに思った以上に健全だった。


 むしろ、おばさんくささしかなかった。


 どうして当てる場所が肩なのか。普通、そこは空気を読んでもっとこうセンシティブな場所じゃないのか。せっかく大きな二つの凶器を胸にぶら下げているのに、それに挟んだりとかしないのか。

 いろいろと言いたいことはあった。


 けれどもこれが普通の使い方なのだから仕方ない。


 肩の上にマッサージ器のヘッドを乗せてニッコニコ。女修道士は繰り出される振動にしばしその身を委ねた。


「ちょっと、貸してちょうだいよコーネリア!!」


 一方で、女エルフは食いっぱぐれ。女修道士に電マを占有されてしまって使えない。探そうにも、同タイプのこけし型をしたやつは、サンプルとしておかれているのは女修道士の持っているものだけだ。

 早くしてよと視線で訴えるも、心が極楽にある女修道士は反応がない。

 あきらめて彼女は違う電マを探した――。


「へぇ、なんか色々な形状のがあるのね」


「ですねぇ。その、くいっとしなっている奴なんか、持ちやすくってよさそうです」


 先端が「へ」の字に曲がったタイプ。振動する箇所が埋め込み式になっており、一方向にしか力は伝わりそうにないが、持ちやすさはこっちの方がよさそうだ。

 これはこれでありかもしれない。


「へぇ、ベルトタイプのもあるのか。これなら、冒険しながら身につけることもできて便利そうね」


「流石にマッサージを受けながら戦うのはむりじゃないですか?」


「やーね、冗談よ冗談」


 もう一つは肩にかけて使うタイプ。棒タイプと比べて少しうっとうしさがあるし、うまく局部に当てられるか分からないが、これはこれで気持ちよさそうだった。

 ただし、自分を慰めるのにはちょっと具合が悪そうではあるが。


 なにかこう、もっと良い感じに使えるものはないかな――と探していた女エルフの視線が止まる。


 ちょっと外れた場所に置いてあった電動マッサージ器。

 女修道士と同じくヘッド部分が揺れるタイプのそれだが、それより下の部分にちょっと特徴があった。こけし型と違ってT字型に90度、持ち手と可動部が折れ曲がっているそれは、見ようによっては銃のように見える。


 しかしそれより――。


「やだ、なにこれ。すごく卑猥な形……」


「先端が丸くて長くて、90度で横を向いていると――なんだかそれっぽく見えてしまいますね」


「持ち手部分の胴体感が半端ない。これ、本当に使って大丈夫な奴なのかしら」


 男の何を彷彿とさせるシルエット。

 それはいわゆるハンドガンタイプと言う奴なのだが、使用用途と一般的に認知されている電気マッサージ器のイメージが相まって、なんとも卑猥に女エルフたちの目には映ってしまうのだった。


 こんなものでもそういう目で見ずにはいられないなんて。

 流石だなどエルフさん、さすがだ。


 

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