どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第1096話 ロ○コンと破壊神からの依頼
第1096話 ロ○コンと破壊神からの依頼
【前回のあらすじ】
ロ○コンからこの大陸の成り立ちについて説明を受けるキングエルフ。
女エルフ達が、デラえもんから説明を受けたとおり、この大陸は新たな人類を創造するための実験の舞台。破壊神と知恵の神が、人類の祖先を巡って科学競争を行った場所に違いなかった。
しかし、破壊神の思惑は彼らが考えているものと少し違っていた。
怪人工場はそもそも、怪我や病気で生きるのが難しくなった人間を改造人間として再生するためのもの。破壊兵器もまた、脆弱な人類に生きる力を与えるための研究のたまものだった。
「破壊神さまほど人類のことを愛していらっしゃる方はいなかった。それこそ、知恵の神さまの人類さえも彼は愛していた。だからこそ人類と神々を隔てる盾として名乗りを上げ、その破壊の権能を持って人と神との間に立ち塞がったんだ」
破壊神の傍に立ち、使徒として働いてきたロボットだからこそ、言うことができる神の真実。そんな話の前に、キングエルフはただただ黙り込むのだった。
破壊神と知恵の神。
二柱の神々が覇を争った、科学の大地――南の大陸。その真実は、現在に伝わる話や神々のイメージからは、少し離れた場所にあるようだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「その後、今の人類――きみたちが中央大陸に満ちて、ライダーンさまたち七つの神々は、彼らを新たな人類としてお認めになった。それにより、この南の大陸は封印されたんだ。もっとも、他の大陸に渡ってはならぬというだけで、そこに住む人類やELFの活動は制限されなかったけれどね」
「……ふむ、なるほど。お前達がいかなる身の上かはだいたい分かった」
頷くキングエルフ。バカのように見えて、意外に物わかりがいいエルフは感慨深く相づちを打った。
そのまま少し物思いにふけるように俯くキングエルフ。
壮大な人類誕生のロマンの前に、他の種族ながら心が打たれたのだろう。どこかロ○コンの話に心が弾んでいるような面持ちだった。対してそれを語ったロ○コンも、なんだか嬉しそうだった。
純粋に破壊神のことを心から尊敬しているロ○コンだ。
自分があがめる破壊神が謂れのない非難を浴びてきていたのに、内心穏やかでは無かったのだろう。
キングエルフが色眼鏡無しに話を聞いてくれたことで溜飲が下がったようだ。
機嫌が良さそうに笑う赤いロボット。
その表情に、またキングエルフはなにやら感じ入ったように頷いた。
「ロ○コン。いや、ロ○コンどの。すまない、私は君の事を誤解していたようだ。これまでの数々の非礼を、どうかお詫びしたい」
「えぇっ!? そんな大丈夫だよ!! 僕ってばこんな風に人から軽く扱われるのは馴れているから。というか、そういう風にかしこまられると逆に心配になるよ」
「いや、私の頭にそれほどほ価値はないよ。それよりも、君のように人類の歴史の影に寄り添ってきてくれた人物の方がよっぽど偉大だ。君の主である大神ライダーン共ども、これまでの非礼をお詫びした。どうかご容赦を」
「だだだ、だからそんなのいいってば!!」
キングエルフの律儀な笑いに狼狽える赤いロボット。すると、その肩を拘束していたロックが外れる。自由になった彼は、逃げ出すでもなく暴れるでもなく、キングエルフの傍に駆け寄ると、やめてやめてとその肩をさすった。
やはり、このロボットに敵意は感じない。
彼と話していたキングエルフはもちろん、オーカマのクルー全員がその姿に直感する。このロ○コンに、大陸を混乱させるようなマネはできないと。
「ごめんね。僕らてっきり君たちが、最近都市を混乱させている奴らの仲間だと勘違いして。僕たちも、彼らに酷い目に会わされているんだ」
「そうだったのか?」
「うん。僕たち、もう人類の進化とかそういうことは忘れて、別の道を生きようとしていたんだ。なのに、いつのまにかまた知恵の神陣営との争いが始まっていて。止めようとしても、向こうがやめてくれる気配が無いし、話し合いも通信機能が壊れているのか出来ない状態で困っているんだ」
ロ○コンたちは何者かにはめられている。
争いを好まぬロボットなのはもうこれまでのやりとりで分かっている。そんな彼らを、上手くこの混乱の中に引きずり混んで操っている者がいる。
陰謀の匂いにざわめくオーカマクルー達。
「……とすると、いったい誰が裏で糸を引いているんだ?」
「知恵の神の陣営、あるいはロ○コンどのとは別の破壊神の使徒、あるいは、まったくの第三者」
『うむ、ロ○コンの容疑は晴れたが、その他の要素がまだはっきりとしないな』
話は終わったがいまいちすっきりとしない。
うぅんと複雑な顔をして仮面の騎士達がその場に視線を落とす。
事情を説明された女エルフたちとは、情報をろくに交換しないままに別れている。ロ○コンたちについても、どうやらこの街に起きている事態の詳細については把握していないようだ。
どうしたものかなと再び壁のディスプレイに視線を向けるキングエルフ。
相変わらず手術台の上に眠っている大性郷。外部の人間かつ、過去の記憶を失っている彼に聞いても、何も分かることはないだろう。
どうするのがいったい正解なのか。
出口もその規模すら見えない陰謀の影に覆われて、珍しくキングエルフが気弱な表情を見せた。
「いったい、この騒乱の真意はどこにあるというんだ」
「……僕と違って、彼ならもしかしたら何か分かるかもしれない」
「彼とは?」
ロ○コンがふと漏らした人物の情報。なんだか素直に頼るのは複雑という感じに肩を下ろす彼に、詳しく話してくれと容赦なくキングエルフが尋ねる。
少し嫌そうに瞼を細めたロ○コンは、実はと思いがけない名前を出した。
「僕と同じで、人に寄り添うために造られたロボット。知恵の神さまの腹心にして、大陸にある知恵の神の都市を管理しているマザーコンピューター」
「マザーコンピューター」
「デラえもんくんなら、きっと、何か知っているかもしれない。そもそも、彼は僕たちとの戦いにも消極的だった。今も僕たちとの戦いに胸を痛めているはず」
それは女エルフ達を救った、密林都市ア・マゾ・ンに眠るスーパーコンピューターにして、都市を守る知識の防壁。
また、女エルフ達をこのミッションに誘った張本人だった。
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