どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第760話 ど風の精霊王さんと大人向けラブコメ
第760話 ど風の精霊王さんと大人向けラブコメ
【前回のあらすじ】
男騎士の男の塾名物機械油風呂により平静を取り戻した女エルフたち。
我に返った彼女たちは、自分たちの愚かな行いを後悔する。
行き遅れが極まり過ぎて、自分たちは乙女として大切なものを忘れていた。
まるで、男くさい漫画に出てくる、存在不要なヒロインの如くコメディリリーフと化していた。
そんな反省する彼女たちを前に。
「しかし、こんなトンチキファイトを見せられても、俺の心は変わらない」
男騎士は女エルフへの変わらぬ愛を告げた。
どんなにトンチキでも。
どんなにアラスリでも。
どんなにウワキツでも。
男騎士にとって女エルフは特別な存在なのだ。
これだけばかばかしいやり取りを見せつけられても、その心は変わらない。
ティトはモーラにぞっこんラブ。
「古臭い言い回しだけれど、あらためて言われると照れるわねぇ」
見せつけるなどエルフさん、見せつけるな。
という訳で、男騎士ではこの勝負は無効試合。
女エルフの勝利が目に見えている。
公平にこの勝負を採決するには、もっとふさわしい人物がいる。
そんなわけで、男騎士はより適切なオブザーバーを、自ら呼び出した。
そう――。
最強の精霊王にしてラブコメ大好きおじさん。
風の精霊王を。
◇ ◇ ◇ ◇
「なんじゃって。わしに大人向けラブコメのキワキワ度を判定して欲しいじゃと」
「そうなんだ。俺だとモーラさんが何を着ても、何をしてもウワキツになってしまうのでな。ぶっちゃけ、冷静にどちらがウワキツなのか判断することができる、第三者にこの勝負を預けたいと思ったんだ」
「なるほどのう。歩くウワキツ兵器のモーラちゃんじゃ、そりゃ仕方ないわのう」
「仕方ないだろう。もうなんていうか、息をするだけでウワキツで、ドキっとするんだ。時々、ドキが強すぎてズキっとなって、あれ、これ、もしかして病気なんじゃって心配なったりもするんだ」
「おい、ティト。おい。私のさっきのときめきを返せこの大馬鹿野郎」
何をしてもウワキツとはまた酷い言われようである。
あふれ出るウワキツ力が抑えきれていないのだろう。
女エルフの一挙手一投足が男騎士にとっては我慢ならないほどドッキドッキのずっきずっきな仕草なのだった。
しかしながら、言い方ってものがある。
そこは知力1。
どうしても選ぶ言葉が乱暴になるのは仕方なかった。
恨み節を籠めて睨みつける女エルフ。
彼女の熱い視線を、そんなに見ないでくれよ恥ずかしいじゃないかと、なんか勘違いした反応でかわす男騎士。
相変わらずラブラブじゃのうと呟く風の精霊王。
ラブコメ大好きおじさんは、久しぶりに会う二人の変わらぬ関係性にほっこりとするとともに、だからこそ自分が呼ばれた意味を納得した。
これは確かに、冷静な判断は男騎士に難しいだろう。
「あい分かった。このラブコメ大好き風の精霊王、少年少女向けのさわやかなものから、酸いも甘いも噛分けた大人向けの複雑なものまで、古今東西のラブのコメに通ずる者じゃ。このワシが、モーラちゃんとアシガラちゃん、どちらが真のウワキツラブコメのヒロインとしてふさわしいか、格付けしてやろうではないか」
「おぉ、流石は風の精霊王!! 頼りになる!!」
「うむ、任せるのじゃ!! モーラちゃん、アシガラちゃん、用意はよいか!!」
ずもずもずももと海の中から何かがせりあがってくる。
それは、かつて、男騎士たちが迷い込んだ、風の精霊王の住処を彷彿とさせる白い箱。時間の流れを局所的に緩やかにし、中に居るものが特定の条件を満たさない限り出ることができなくする封印魔法。
〇ックスしないと出られない部屋。
もとい、ラブコメしないと出られない部屋である。
今回もやはりそれでいくのかと思わせて――不意打ち。
部屋の中には前回の時には存在しなかった、二つの椅子が置かれていた。
そう、まるで城の玉座といわんばかりの、豪勢な感じの椅子が。
そしてその隣には垂れ幕に達筆な字で書かれた文字。
「一流ウワキツ人!!」
「なに、一流って、どういうこと!!」
「……では、さっそくはじめさせていただこうかのう。女ヒロイン、ウワキツ格付けチェックを!!」
ウワキツ格付けチェック。
まーたトンチキかつ、しょーもない展開になってきたな。
クライマックスでバトル必至かと思ったら、どうしてこんな気の抜けたことになるのか。
女エルフはギャグ顔という名のヒロインが絶対にしてはいけない顔で、風の精霊王とその隣に自然と並んだ男騎士を見るのであった。
はたして、これから何が始まろうとしているのか。
ウワキツの格付けとはいかに。
「えー、今回の一流ウワキツヒロインはこちらのお二人。どエルフ三百年、いよいよエルフなのにお肌の曲がり角に突入したモーラさん。そして、古の超兵器、最近関節周りの動きがちょっとぎこちないのよアシガラさん」
「お二人にはこれから、さまざまなウワキツチェックをしていただきます。チェックは簡単、二択問題に答えていただくだけです」
「ウワキツを間違えるごとに、皆さんのウワキツ力がランクダウン。扱いがどんどんと雑になっていきます」
という訳でドーン。
風の精霊王が指をさせば、女エルフと赤バニからくり娘の身体が発光する。
摩訶不思議の力を浴びせかけられた彼女たちは、気が付くと純白のドレスに身を包んでいた。
そう、なんの変哲もない純白のドレスに。
「「うわぁー、きつい」」
「「しばくぞ!!」」
ドレス一つでこのウワキツ力。
しょっぱなから一流ウワキツヒロインとしての、隠し切れない実力を発揮する彼女たちに、男騎士たちも思わずこれは今回は期待できますねとコメントした。
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