どエルフさん ~仲間殺しの罪を背負って騎士団を辞めた元騎士、奴隷狩りに襲われていたエロい女エルフを助ける。エッチなエルフたちとはじめるきままなハーレム冒険者生活。~
第752話 どエルフィンガーさんとどアシガラさん
第752話 どエルフィンガーさんとどアシガラさん
【前回のあらすじ】
流石のウワキツ。
いや流石のからくり娘。
赤バニーという恥知らずの格好にも関わらず、その腕前は折り紙付き。
からくり侍の肉薄する攻撃に負けじと劣らずの丁丁発止。
いや、むしろからくり侍の弱気を逆手にとっての大立ち回りを見せた最後のからくり娘――アシガラ。
すわ命はないか。からくり侍絶対絶命という事態を前に、彼女たちの間に割り込んだのは他でもない。
「BBAで何が悪いか!!」
ちょっと年増だろうが、ちょっとボディラインが崩れていようが、ちょっとヒロインとして性格がきつかろうが、どエルフだろうが関係ない。
むしろ、それくらいでちょうどいい。
性癖拗らせ主人公――男騎士であった。
いや、違う。
今日の彼は久しぶりにハイパーモード突入中。
「私が、熟れに熟れて五百歳!! ウワキツさえも大人の魅力と言い切るいいエルフ!! エルフィンガーティト子よぉおおおおおおお!!!!」
エルフィンガーティト子。
数章ぶりの登場に、筆者、どういうキャラだったっけと困惑しております。
「だったら!! 出すなや!! こんなモンスターキャラクター!!」
モラやんも、久しぶりに出すとちょっとどういうキャラか忘れているかも。
「忘れるなや!! ヒロインやぞ!!」
◇ ◇ ◇ ◇
神が造りし人を滅ぼす兵器。
その間に割って入るはやはり英雄としての胆力が為せる業か。
男騎士、なんの迷いもなく彼女たち神代の兵器の戦いの間に割って入ると、自慢の愛剣をかざした。
その切っ先が赤バニーを映して揺れる。
「……ティト。エルフィンガーティト子になる必要はあったのか?」
「ウワキツにはウワキツ。相手が相応のウワキツ力で攻めてくるというのなら、こちらも相応のウワキツ力で当たるしかない。攻撃は最大の防御。なにより――ウワキツなればこそ分かることもある」
「……分かった。俺様にはさっぱり分からんが、分かったことにする」
魔剣エロス。
一応、長寿命のエルフを愛していた男であり、年齢とかそういうの関係なくありませんという柔軟な思考の持ち主ではある。
だが、ウワキツはウワキツ。
過去何度か、冒険の途中でそういう場面に遭遇した際、どうしていいか分からなくなって沈黙した彼は、がっつりアシガラのウワキツ特攻を喰らっていた。
喰らっていたが所詮は剣。
なんということもない。
男騎士の女装姿に一応ツッコミを入れながらも、その刀身からまがまがしいオーラを発して鬼気を放つエロス。
彼の剣もまた、元をただせば神が造りし伝説の武器であった。
ウワキツ。
赤バニ。
なにするものぞ。
いざ参らん。
男騎士が再び猿叫を上げて上段袈裟斬りを繰り出す。
アシガラ、これをまたしても身を躱して避けようとするが。
「甘いぞ!!」
男騎士。
突如として裂帛の気合を体から発すると、その服をパージする。
露になる胸部。パッドを固定するためにつけられたブラジャーはベージュ色。その視覚的な威力と、舞い散る衣服の切れ端が、アシガラの視界を一瞬だが奪った。
意趣返し。
からくり侍に彼女が不意打ちを仕掛けたように、男騎士もまた彼女に不意打ちを仕掛けた。達人同士の勝負は、一瞬でも意識を逸らした方が負ける。
すわ、脚の止まったアシガラの身体を、男騎士必殺の上段袈裟斬りが襲った。
突き抜ける衝撃。
神造兵器を粉みじんにした、必殺の一撃が今再び大海に木霊する――。
かと思いきや。
「なっ、なんだと!?」
「そんな、耳が!! バニ耳が動いたというのか!!」
「……ふふっ、甘いわね!! この私が、伊達や酔狂でこんな格好をしているとでも思ったのかしら!! この格好にはこの格好の意味があるのよ!!」
男騎士の必殺の一撃。
受けること能わず。膂力に任せた轟雷の如き唐竹割りを、受け止めてみせる赤バニ耳。そう、それこそはただのバニ耳にあらず。
頭に装備するタイプのバニ耳――つまり立派な防具である。
「自立防御型バニ耳!! 頭上からの攻撃を防げぬものはこれになし!! どうやら、唐竹割りに自信があったみたいだけれど、残念だったわね!! えっと、形容に困る格好の者!!」
「くっ、まさか、俺の必殺技がこんなにも簡単に破られるとは」
「何度でも打ち込んでみなさいな!! 私のバニ耳は伊達じゃないわよ!! 何度だって、貴方の攻撃を受け止めて凌いで見せるんだから!!」
まさかバニ耳に自分の必殺を防がれるとは思ってもみなかった男騎士。
赤バニからくり娘が、魔剣を離した余勢を駆って距離を取る。
得意必殺の上段を防がれたからには次はどうする。
思考と戦士としての勘を巡らせて、次の一手を思案する。
しかし、何度も申したように。
「遅い!!」
達人同士の戦いにおいては、一瞬の逡巡が命取り。
男騎士。
必殺の一撃を外されたその隙を、見事につかれてのカウンター。
長柄の槍を振り回して、渦潮を巻き上げてアシガラ――必殺の一撃を男騎士へと打ち込んだ。
突きのはずのその一撃は、なぜか男騎士の残された理性――という名のブラジャーを引き裂く。縦一閃、その大胸筋をまろびだす感じに引き裂かれた彼は、たまらん感じでのけぞると、猿叫とは違う叫びをあげた。
「いやぁああああああっ!!」
「大破確認!! アシガラさん大勝利!!」
女装しているとはいえそこまでやるか。
しかしながら、自分の理想を詰め込んだ女エルフを演じているのだから仕方ない。男騎士のこだわりのダメージ演出は、まだちょっと余裕あるなこいつと、その手の中にある魔剣に思わせた。
褌一つ。
ただの男騎士に戻って尚、アシガラに向かう彼。
この世界において最も新しい英雄は、目の前に立ちはだかる神々の試練に対して、まだ絶望していなかった。立ち向かう心を持っていた。
勝つ。
自分の背中に居る者たちのために。
自分の信念のために。
握りしめた魔剣が、彼の握力で軋みを上げる。
どうするもう一度鬼になるかと、魔剣が問いかける。その間いに男騎士が答えるより早く、再び槍の構えを変えて、赤バニは男騎士を睨む。
舌なめずり。
「よく見るとなかなかいい男じゃない。決めた――貴方、この戦いで私が勝ったら、番にしてあげるわ!!」
「……番だと?」
「からくり娘のお嫁さんは嫌かしら!! 私、これでも尽くしちゃうタイプよ!!」
何を言い出すのか、思ったその瞬間に。
槍は男騎士を再び襲っていた。
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