第605話 どエルフさんと必殺技
【前回のあらすじ】
「……いいことエリィ。自分を信じなさい。私が信じる貴方じゃない。貴方が信じる私じゃない。貴方が信じる、貴方を信じるのよ」
「……お
「……ごきげんよう、みなさん」
女エルフ、死す。
螺旋力を振り絞り、第一王女の危機を救った彼女は、やり遂げた顔で旅立った。
もはや誰も彼女の行く道を遮ることのない、自由な世界へと――。
「って、うぉーい!! また、いろいろと混ざってる!! 混ざってるがな!!」
定期的に見たくなりますよねグレン〇ガンって。
初期、中期、後期で作風が変わる辺りもいいですよね。僕もあぁいう感じに、変幻自在に話を操れるようになりたいものですしおすし。
それはそれとして。
マッサージ器具で螺旋力とかなに言ってんでしょうねこいつら。
そりゃ剛性も何も考えなければそれくらいの回転数にもなるだろうし、そもそもカタログスペックでそれだけ出るというだけで、実際に出して使いものになるかは分からないというのに。
これだから、設定考証がガバガバなSF作品はいかんですよ。
「お前が!! やらせたんやろう!! がい!!」
流石だなどエルフさん、さすがだ。ガバガバ。
◇ ◇ ◇ ◇
「なっ!! これはっ!! どういうことだ!! 先程と同じ必殺技だというのに、伝わってくるオーラが格段に違う!! あのピンク色の溢れ出るオーラはなんだというのだ!!」
オカンバスターを覆うピンク色の螺旋。
それこそまさしく螺旋力。健康器具を通して女エルフと第一王女の身体から溢れ出た、人間が前に逝こうとする推進力の具現化。
絶頂を突破するためのエネルギーだった。
それを身に纏い、オカンバスターが咆哮する。
『スーパーイカズチキックは、オカンバスターの質量×亜光速への加速によるダメージが基本!! そこにモーラの螺旋力が加わり2倍!! 更に、エリザベートの螺旋力も加わって4倍!!』
「なっ、そんな!! ゆでたたまごのような理論を引っ張り出してきて!! きさま、どういうつもりだ!!」
『さらに、いい歳をした女が、魔法少女のコスプレなんていう、キッツイ格好をしているという羞恥心と絵面でデバフがかかって被ダメージ2倍!! 合計8倍のスーパーイカズチキックに耐えられるかな――このいい男したバラロボット!!』
光るオカンバスターの瞳。
緑色をしたデュアルアイから鋭い光が走ったかと思えば、ついにオカンバスターが落下を開始する。
ピンク色のイナズマ。
晴天から降り注ぐそれは、再びバ・ラ・ザックの濃ゆくていい顔に直撃した。
あぁ、と、バ・ラ・ザックの濃い顔が掘られたような顔をする。
次いで破砕音。
まるでずぶずぶと穴を掘削するような音がジューン山の頂上に響き渡る。
――しかし。
「くっ!! くははっ!! まだだ!! まだ、バ・ラ・ザックの鉄の身体を掘り抜くには切削力が足りぬぞオカンバスターよ!! この程度のキック、どうということはないわ!!」
切削した矢先から、その装甲が再生していく。
より厚く、そして、より硬く。
そう、バ・ラ・ザックは鉄の巨人。
しかしながら、その身体を再生する特殊な能力を持っていたのだ。
その能力の名は――
GがなんのGかは分からないが、すごく大きい何かなのは間違いなかった。
掘った傍から回復していく。攻撃力を再生能力がかろうじて上回る。
またしても、女エルフたちの必殺技は不発かと思われた。
しかし――。
「まだよ!! 私たちの必殺技はこんなものじゃないわ!!」
「はい!! お
「なっ、なんだと!!」
熱血コマンド発動。
女エルフ。
たびたびこの作品において発揮していた、火事場で発揮される熱血パワーをここで見事に炸裂させた。
言うが早いか、オカンバスターの身体が、身に纏っている螺旋力のオーラと一緒の方向に回り始まる。
時計回り。
正回転の物理的な力が加わることにより、微かにバ・ラ・ザックの身体の再生が追い付かなくなった。
「物理的な回転を加えることで、更に攻撃力2倍!!」
「馬鹿な!! さらに螺旋力を倍増させるだと!! だが、しかし、まだ、再生能力に力を割けば――!!」
「まだです!! ここでオカンバスターの脚部の組織を変換!! 超硬素材にすることにより螺旋力を3倍!!」
「なんだと!!」
「さらにさらに!! オカンバスターのオカンたる由縁!! いい歳した女――つまりかわいいだけじゃなくちょっと頼りがいのある、私たちの大人な女の魅力により、攻撃力が5倍!!」
「それは流石に盛り過ぎではないか!!」
今、炎と土煙を上げて、オカンバスターが高速回転する。
モーラの螺旋力×エリィの螺旋力×ウワキツ力×物理回転×超硬切削工具×オカン力により、その回転数は天元を突破。
本来のスーパーイカズチキックの240倍になろうとしていた。
どんどんと掘り進められていくバ・ラ・ザック。
こちらも絶頂寸前。いい顔は、もはやお腹がパンパンのような状態になり、スーパーイカズチキックを受けていた。
あと一息。
もう一息。
とどめの一手が必要。
その時、女エルフが叫んだ。
「そしてぇ!! 最後の仕上げ!!」
第一王女がそれに合いの手を入れる。
「オカンバスター気合いの一声!! さぁ、聞くがいい!! これが瞬間的にオカンバスターのオカン力を引き出す魔法の言葉!!」
『オカンバスターは伊達じゃないわよ!! さぁ、聞かせてやりなさい、モーラ!! エリィ!! あんたたちの魂のバブみって奴をね!!』
すぅと息を吸い込んで一拍。
ためを作って彼女たちが吐き出したその台詞は、間違いなくスーパーイカズチキックという必殺技に相応しい掛け声であった。
「そんなんじゃぁあああ!!!!」
「ダメよぉおおおおお!!!!」
「うっ、うわぁあああああああああっ!! イカズチママァぁああああ!!」
【必殺技 スーパーイカズチキーック: 亜光速の速さで繰り出されるイカズチのような速さのキックである。オカンバスターの全質量×亜光速の加速度による破壊力はまさしく稲妻の如く。本来であれば、食らった敵は身体を貫かれて絶命する――。なお、イカズチとオカンというダブルミーニングという所から察していただきたい】
最後の決め手はやっぱりバブみ。
この作品に出てくる女性キャラは、揃いも揃って逞しく頼り甲斐があるオカン属性を持っていた。
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