第545話 ど男騎士さんと壁男
【お詫び】
一部お察しの方もおいでかと思いますが、本日更新分の545話の投稿予約をミスっておりました。本来であれば、お詫びの寸劇を書くところなのですが、仕事の方が忙しく、精も根も尽きている状況でございます。というわけで、本日分は投稿しなおしだけということにさせていただきました。
最近ちょっと更新が雑で申し訳ございません。
これからもどエルフ及び加代ちゃんの連載はできる範囲で続けていきますので、どうか変わらずの御贔屓のほどよろしくお願いいたします。m(__)m
2019/05/17 kattern
【前回のあらすじ】
一度死にかけた影響で、霊的な作用を受けやすくなってしまった男騎士。
どうやら彼は、白百合女王国にあるカタコンベの霊達に引きずられて、地下深くに召喚されてしまったらしかった。
さてさて。
一度死にかけたというのにまた死にかけ。
出口があるのかないのかさっぱりとほほ。
やっとこさっとこダンジョン攻略ファンタジーらしくなってきました。
どエルフさん、男騎士流浪編、ダンジョンどうでしょうはじまりはじまりでございます。
「そういや、ダンジョン攻略なんて何章ぶりかしらね」
割と初期はこういうノリだったんですがね。どうしてこうエロネタとパロネタに走るようになったのか。分からんな、若さかな、過ちかな、どエルフさん。
なんにしても。
「ふざっけんな、このクソババァー!!」
「ぶっ〇してやるぅうう!!」
「マザー〇ァッカー!!」
迂闊、エルフィンガーティト子に変身した男騎士。
彼の受難はしばらく続きそうだった。
「ざまぁ」
◇ ◇ ◇ ◇
「ふはっ!! はぁっ!! はぁっ!! なんだ、あの強い怨念は!!」
「白百合女王国の王族のカタコンベだぞ。アイツ等がどういう経緯でその血脈を保ってきたか、お前も知ってるだろうティト」
「……暗黒神の末裔としての血を拡散させないために、後継者を一人に絞ってきたんだっけか。なるほど、さっきのはその子供達という訳だな」
気づくのが遅いと魔剣ががなる。
しかし、知力1のおとぼけ騎士である。
そんなことに気が巡るくらいならば、とっくの昔に彼はこんなトラップに引きずり込まれるような事態に陥っていない。
後悔と言う名の汗を拭う。
ようやくまいた子供の幽霊たち。男騎士はカタコンベの壁に背中を預けると、ふはぁと柄にもなく気の抜けたため息を吐きだした。
「参ったな。まさか、こんなことになってしまうなんて」
「予想外だな。白百合女王国の地下にこんな施設があったこともそうだが、そこに強力な怨霊が生息していたのもだ」
「……これ、出口はあるのか?」
「あるだろうが、悪霊たちが外の世界に漏れだせないように、相当に厄介な造りにしてある。迷宮、魂の牢獄と言っていいだろう。これを踏破するのは、ともすると、バビブの塔を攻略するよりも面倒くさいかもしれないぜ」
なんてことだと男戦士。
いつも頼りになるパーティーの先導役。
どんな苦難も先頭に立って切り開く男が、頭を抱えてその場に視線を落とす。
通路の奥からは、ババァ、ババァと、怨嗟の声が聞こえてくる。
なんとか逃げおおせたが、この様子では見つかるのは時間の問題だろう。
どうすると、男戦士が奥歯を噛んだ。
しかしそんな表情をしたところで、状況は一向に好転しない。
むしろ、悪くなる一方だ。
「せめてモーラさんも一緒に転移してくれていたならば、彼女の転移魔法で移動できたかもしれないのにな」
「いや、どうだろうな。このカタコンベに張られた結界は、相当強力なもんだぜ。とてもじゃねえが、一筋縄でどうこうできるようなもんじゃねえと思う。モーラの魔法技能は俺も認めているが、アイツでも破れるかどうか分からねえ」
「なんと」
「むしろリーケットちゃんの方がなんとかできるかもしれん。しかし、今はそんなことを言っている場合じゃねえ。あるもんでなんとかするしかねえぞ」
ここに来ても考え方がタフな元英雄の剣。
そして、その言葉を受け入れる現英雄の男騎士。
具体的なプランは何も決まっていないが、とにかく、生き残るという執念だけは本物。彼らはこのカタコンベを脱出し、再び地上に出ることを決意した。
その矢先である。
「……あのさぁ。さっきから、俺の前でワイワイと騒ぐのやめてくれる。せっかく子供たちの霊から隠れているのに。見つかっちゃうじゃんかよ」
「……うん?」
「なんだ? どこから声が? そして、いったい誰が得をするんだっていう、このおっさん声はいったい……」
ここ、ここ、と、男騎士の背中の方から声がする。
もたれかかっていたカタコンベの壁。
しかし、何故だかそこには、妙な切れ目が入っている。
それだけではない。
妙な人の顔のように見える、盛り上がりまでできている。
いや、更に、さらに、人の身体の輪郭まである。
そう、人のシルエット。
まるで壁の中にまさしく人がいるようなそんな感じの風景がそこにはあった。
いったいこれはなんなのか。
どうして人の形をしているのか。
そしてなんで無駄にメタリックなのか。
まるで液体窒素で固められたようなそのモノリスは、仄暗いカタコンベの中で、確かに一度きらりときらめいて、それからデジタルっぽい声を出した。
「俺の名はそうパン・モロ。この白百合女王国の王宮カタコンベに閉じ込められた冒険者にして、迷宮をさ迷い歩くモノリス野郎さ」
「パン!!」
「モロ!!」
そのパロディ、大丈夫なのか。
ルーカス怒らないかなという不安を胸に、男騎士と魔剣エロスは驚愕した。
どエルフネタでもないのに驚愕した。
いや、実際には、絶妙な下ネタなのだが、それを擦り付ける相手もいないために、ただただ戦慄することしかできないのだった。
謎のモノリス、パン・モロ。
はたして、彼は何者なのか――。
「王宮カタコンベにようこそ。迷い込んでしまったが最後、ここから出ることは難しい。なんて、言ってしまいたい所だが、安心しろ希望はあるぜ。見たところ、王室の関係者って感じではなさそうだ。なに、ちょっと俺に任せてみな。なんとかしてやらぁな」
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