第523話 どエルフさんと香典
【前回のあらすじ】
コーネリア・ブラマンジュ。
享年27歳。
「うぉい!! ほら見たことか!! やっぱりおとぼけアドベンチャーやないけ!!」
鬼の首でも取ったように叫ばないでよどエルフさん。
別にそんなのタイトルの時点でお察しだったじゃないのよどエルフさん。
そんでもって、ヒロイン辞めなくてよかったじゃないのよどエルフさん。
「辞めたいわこんなトンチキRPG小説のヒロインなんて!!」
え、いいんですか。
割と重要な一章とか二章とかのタイミングで、今までのキャラクターが全部リセットされてサブキャラクター化し、新たな登場人物に切り替わるとかよくある奴ですよ。
パロ元もそんな感じでしたよ。
本気でそんなことになっちゃってもいいんですかモーラさん。
「おう、やれるもんならやってみろやい!! お前に私以外のエルフキャラが書ける言うなら見せて貰おうやんけ!!」
???「聞き捨てならないわねその言いぐさ」
「……あぁん?」
おっと、ここで謎の覆面エルフ司書が本作品に乱入か……!!
なんにしてもここで宣伝です!!
リーリヤ「長らくお休みさせていただいていた本の森のエルフですが、筆者の身辺関連が落ち着いてきたこともあり、連載再会と相成りました」
マクシム「おー。完全にエタったと思っていたけど、やる気あったのか、作者」
リーリヤ「むしろ設定とかをちゃんと練り直してからやりたいといろいろ思いあぐねいている内に、ついにここまで長引いちゃったらしいわ。ダメよね、ほんと、そういうところ」
「誰やお前ら!! ここはどエルフさんやぞ!! 台詞系みたいなノリででてくんなや!!」
大先輩ですよモーラさん。
アンタがカクヨムで連載されるより早く、カクヨムで頑張ってたエルフ娘です。
もっと敬意を表してください。
「敬意も何もあるか!! というか、最近ちょっとクロスオーバーし過ぎと違う!? ただでさえパロディ作品なのにこんなのやっていいわけ!?」
むしろ著作権がしっかりと筆者に帰属する作品だからこそやっていいような。
まぁ、そんな訳で。
リーリヤ「もうすっかりとモーラちゃんたちに代表作の地位は奪われちゃったけど、筆者の出世作『本の森のエルフ』をどうぞよろしく」
マクシム「まぁ、月一連載のぬるいかんじだけれど、ぼちぼちやるので気が向いたら読んでやってください」
「うがーっ!! 他の作品で宣伝するなァ!! そして、やっぱりあらすじがあらすじじゃない!!」
仕方ないでしょうあーた。
もう今週は私、いろいろあって(主に再就職)目がしぱしぱなんだから。
◇ ◇ ◇ ◇
なんやかんやと煩いので、親族席から外された女エルフ。
男戦士と仲良く香典の受付へと回されたのだった。
白い布がかけられたテーブル。そこにぞろぞろと
「なんだかんだで慕われてたのね、コーネリアって」
「まぁ、異端の
「いやけど、ここまでの人が集まるって相当な話よ」
ようやく叩けた無駄口も、すぐに押し寄せる人によって途切れる。
慣れない仏式の受付にまだまだ戸惑いながらも、女エルフはやって来た人にすかさず頭を下げた。
まるで故人を拝むように恭しく頭を下げる弔問者。
皺深くよぼよぼの容貌をした老婆。彼女が茶色い数珠をじゃらじゃらと手の中で鳴らす。しばらく老婆は女エルフを無言で拝んだいた。
彼女に限らず、弔問者は全体的に老人が多い。
どうもお年寄りに
先程からもこんな調子のやり取りが何度も続いている。
ともすると、仏式の葬儀のやり方よりも、そんな弔問者のあしらいの方が負担だった。というより、実際、女エルフは苦慮していた。お年寄り相手に、いつもの調子で相手をする訳にはいかない。
「コーネリアさま。まだお若いのに、どうしてお亡くなりに……」
「故人に代わってお礼を申し上げます。しかし、こればかりは自然の摂理ですので」
「あのような若くして立派な方が死んでしまい、わしらのようなおいぼれが生きながらえる。これを悲劇と言わずになんというのか」
「重ね重ねお礼を申し上げます」
どう話を合わせていいのか分からない。
女エルフが心の中で渋面を作る。
そんな彼女を救うように、女エルフを恭しく拝んで老婆がようやく手を離すと、懐にそれを入れた。中から取り出されたのは漆塗りの木の箱。
そこから白い紙製の封筒を取り出すと、彼女は女エルフに差し出した。
お香典である。
白い熨斗袋の中には、硬貨がじゃらじゃらじゃらじゃら入っている。
紙幣文化が発達していないこのご時世に、香典なんてシステムを導入すればこうなってしまうのは仕方のないこと。けれども、仏式でやると言ってしまったのだから仕方ない。
どうこう言うのも無粋である。
ここでも女エルフはぐっと堪えた。
そして、まだまだ慣れないシステムでこう言う――。
「ご芳名をいただいてよろしいでしょうか」
テーブルに置かれた帳簿を差し出す。
本格の仏式ならば筆による署名だが、流石にそこまで徹底してはいない。融通も利かす。水鳥の羽があしらわれたペンを取り出して彼女はそっと老婆に差し出した。
文字が書けるか怪しい感じの老婆だったが、流暢に彼女はそれを紙の上に滑らせていく。実は学のある方なのだろうか、そう思っていると――。
「コーネリアさまが教えてくださったんじゃ。文字の書き方をな。ワシはこの歳になるまで自分の名前の書き方も知らんかったのじゃ」
「……コーネリア!!」
パーティで一緒に居るだけで分かった気になっていた
しかしながらこの時はじめて、女エルフは彼女の人々に対する献身と姿勢を思い知った。そしてその身を芯から震わせた。
目の前の老婆の涙ぐむ姿に、女修道士が人生をかけて為したことの本質を見た。
女エルフの瞳に大粒の涙が溢れる。
アホな葬式と思っていたが彼女のことを慕う人たちのことを思えばこそ、この儀式は必要だったのだと。
そして、あらためて、大切な仲間を自分は失ってしまったのだと。
震える手で芳名の書かれた帳簿を受け取る。
そしてそこに書かれた文字通り、芳名を読み上げるのだった。
「モロー・チンチンゲール――って、下ネタかぁい!!」
「あと、これは香典ですじゃ。割り切れる数字は不吉ということで、小銭を集めて参りました。いや、苦労しましたじゃ」
「6969ゴールド!! 割り切れないけど!! そりゃ結婚式の作法だ!!」
やっぱりろくでもないことしかない。
涙を返せとばかりに、女エルフはここ一番の大声を上げて叫ぶのだった。
そしてまた、何を騒いでいるんですかと、喪主に睨まれるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます