第484話 どエルフさんと未来改変
【前回のあらすじ】
繰り返される平和な日々。その中に確かに感じる不穏の影。
その影の答えに気が付いた女エルフが叫んだ時、彼女は元の姿に戻り、そして――。
「運命は変えられる!!」
ティト垣ニシパが現れた。
「……ぉぃ」
ゴル〇ムの今週放送(12/08現在)にやられました。あのスケベマタギも情けないけどそこがかっこいいよね。山猫もいいけれどさ。
「だから、なんでこんな大事な場面で、パロディ!! そして、他の出版社!! そんなことばっかりだから、最終選考に残っても落ちるのよアンタは!!」
☆集英〇さんごめんなさい――!!
「だから、謝ればいいってもんじゃなぁい!!」
◇ ◇ ◇ ◇
「誰なのモーラ!! この立派な剣と棒を股間に挟んだ男は!?」
「インランモーラマツ!! 助けに来たぞ!!」
「おい!! おいこらアホ男戦士!! お前はもう本当に、こんな大事なシーンで小ボケをかましてくれてからに!! それでまた絶妙に危険なネタ!! あとアンタ、なんでそんな格好なのよ!!」
「仕方ないだろう!! 股間にソードを挟んでいるのが、モーラさんの中での俺のイメージなのだから!! 仕方ないだろう!!」
「仕方なくあるか!! というか、そんなイメージ持っとらんわ!! ほんとやめて!!」
男戦士は女エルフたちがいるのとは違う精神的な時の部屋へと入っている。
彼女の前に現れたそれは、彼女が思い描いている、その胸の中に抱えている、男戦士のイメージだった。まぎれもなく彼女の中にある男戦士のイメージ像だった。
全裸で股間に剣をぶら下げている。
なんというか、まぁ、あながち間違っていないというか、そんなワイルドさがない訳ではない。古き良きライトノベルの主人公で自由な騎士というよりも、タフでマッスル筋肉とグレートソードが似合うザ・グレートという感じが、男戦士にはあった。
頭脳も筋肉、体も筋肉、その名は、男戦士ティト・ザ・グレート。
「コ〇ンだけにな!!」
「五月蠅いわ!!」
まぁ、そんなネタはさておき。
ポンという音と共に男戦士がいつもの格好になる。助けに来た彼と隣り合って、彼女は養母に向かって視線を向ける。
やはり確かな信念が、彼女の中には戻っていた。
そうそれは、冒険者たちが持っている心。
自分の道は自分で切り開くという強い想い。
そしてそれは元冒険者にして、勇者のパーティであった、女エルフの養母にも、確かに宿っているものだった。
分かってくれるはずだ、いや、分からせる。
そんな決意を籠めて、女エルフは唇を震わせた。
「お
「盗賊に襲われて、うー戦士戦士と助けを求めていたところと、うートイレトイレと立ちションする場所を探していて出会ったんだものな、俺たちは!!」
「……え? えっ? えっ? 嘘よねモーラ?」
本当ですと、恥ずかしそうに顔を背ける女エルフ。
割と出会いは最悪であった。旅の始まりは最低であった。母に説明するのは――たとえ相手が本物ではない、幻影のそれだとしても少しためらわれた。
けれどもそんな出会いを経て、彼女は冒険の道へと足を踏み入れた。
男戦士と二人して、数々の冒険者ギルドの依頼をこなしてきた。
エルフ攫いの一団を倒し、オークの嫁を探し、白百合王国の危機を救い、そしてバビブの塔を攻略する。彼女は自分たちのこれまでの旅を思い出し、さんざんではあったが、それが楽しいものであったと、ここに確かに納得した――。
「お
「うー、戦士戦士していた!!」
「言い方!! とにかく!! 未来は、私が自分で決める!! いいえ、私が決めたのよ!! 貴方の幻影に縛られるのはもう終わり――私は冒険者の女エルフ!! モーラなの!!」
言い切ったその瞬間、女エルフと第一王女を取り巻いていた世界がもろもろと崩れ出す。まるで時の経過により風化していくように、塵と化し、白い世界へと変わっていくそれを眺めながら、女エルフは何かを越えたことを確信した。
そう、越えるべき何かを、今、彼女は超えたのだった――。
「そうよモーラ。それでいいの」
幻影の母が微笑む。
いつの間にか幼女の姿から元の姿に戻っていた第一王女。そして、幻影の男戦士に囲まれて、毅然として立つ愛娘に、彼女は変わらず慈愛の眼を向けていた。
自分の想像を超えて逞しく成長した彼女の姿に、笑いながら涙をこぼしていた。
「自分の人生を生きなさい。それが貴方の幸せよ」
「……お
「貴方の隣に立つ人たちを大切にしなさい。いいこと、人生においてなによりも、仲間というのは、共に人生を歩む者というものは得難いものなのだから」
そう言って可憐に微笑んで、女エルフの母は黄金の粒となって消えた。
残ったのは白い空間。何もない、緩やかな時間が過ぎ去るだけの部屋。
けれどもその中で女エルフは、唇を噛み締めて涙を流した。
一条。それが頬を滑り落ちていく。
「ありがとう、お
女エルフはここにようやく、彼女の人生に暗い影を落としていた、母の影と決別したのだった。
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