第14話 どエルフさんと装備2

「さて、仕事も終わって報酬も入ったことだし、装備でも新調しようかしら」


「モーラさん!! あのどスケベ鎧ビキニアーマーだが、もう売れてしまってないようだ!! どうしようか!?」

「どうもしないし、買わないわよ!!」


 冷徹にそう言って商品を眺める娘エルフ。

 そんな彼女のよこで、物珍しげにあたりを見回している女修道士。


 どうやら、この手の店にやってくるのは初めてらしく、勝手がわからないらしい。


「コーネリアさんにも、冒険用の装備が必要だな」

「パーティの加わったお祝いよ。いい装備を選んであげるわ」

「いえ、そんな。悪いですわ」

「いいのよいいのよ。これから幾らでも助けてもらうんだから」


「なるほど、装備の借りはと、そういう意味ですね」

「出世払いよ!! なんでいちいちそういう言葉を選んでくるかな!!」


 なんだったら今からでも構いませんよ、と、意味深に肩を出す女修道士。

 おぉ、と、店主と男戦士が鼻息を荒げる。


 そんな二人に火炎魔法を食らわせると、ため息を吐くエルフ娘。


 女修道士に必要なのは、防具よりも羞恥心かもしれない。


「すみません、冒険に出ると口にした矢先に、このような体たらくで」

「まぁ、そこは先輩である私におまかせなさいな。ばっちり、コーネリアに合った装備を選んであげるわ」


 薄い装備がどうとか言って、ビキニアーマーに行き着いたエルフが、えらい自信である。


 そうして女修道士を引き連れると、エルフ娘はローブやフード付きのマントなどがかけられている、魔法職向けの装備コーナーに向かった。


「やっぱり魔法職は戦闘職に比べて筋力に劣るからね、重い鎧は扱えないわ。レザーメイル着て補強くらいがせいぜいよ。それ以上だと動けなくなっちゃう」

「なるほど、、ですか」


「武器も何かしら使えたほうがいいわね。メイスもいいけれど、鞭なんかおすすめよ。コントロールは難しいけれど、軽い力で扱えるわ」

ですか」


「あとはそうね、顔なんかの急所のガードも大切ね。気休め程度だけれど、マスクをつけてみるのはどうかしら」

――あら、これなんてかわいらしいですわね」


 さぁ、これで、完成よ。息まいて、振り返った女エルフ。


 そんな彼女の前に飛び込んできたのは。


「(神の)下僕ども!! 私が(神の)愛を教えてさしあげますわ!!」


 露出度の高いレザーのボンテージを着込み、手には短い乗馬鞭、顔にはその表情を隠す、パピヨンタイプのマスクを着た女修道士――いや、女王様が立っていた。


「なんか違ぁぁあう!!」

「おぉ、自分がつるペタでそんな格好とてもできないからって、他人をプロデュースしてもせるとは!! 流石だなどエルフさん、さすがだ!!」


「モーラさん、ありがとうございます。私、なんだか、とっても好戦的な――いえ、嗜虐的な気分になってきましたわ!!」

「ならないでぇ!! 違うからぁ!!」

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