みんな指先を持て余している

但野新一

みんな指先を持て余している

スマホが全盛期となったが、要はみんな指先が暇なのである。

指先に仕事がないので、スマホで指先を満たしているにすぎない、ではひと世代の人間はどうやって指先を満たしていたか。

タバコの箱をトントンと叩くあれ、一種の様式だろうが、全く意味がないが、指先の仕事になっていた、麻雀もそうだ、指先を使う、釣りも指先を使う、新聞を読むのもそうだし、本を読むのもそうだ。

では今の人間はどうやって指先に仕事を与えているか。

読書離れと言われている昨今、それはスマホになり、ゲームのコントローラーになり、結構指先の仕事はあるのである、しかし、それが生産的に繋がっているのかというとそうではない。大抵の場合それは享楽に従事していて、生産的な報酬を得るに至っていない。

次なるブームもやはり、指先を使うというのがワードになるだろう。

指先を使っている間、人は黙っていられるし、熱中することができる。もちろん勉強もそうだ。あれだけちんぷんかんぷんなことを言われていて、しかも一日中机に張り付けになっていてもある程度耐えられるのは、指先に仕事が与えられているからである。

指先を使うというのは統合のすべてを使う、見て、触って、嗅いで、聴いて、味覚はブドウの収穫などで達成できる。料理などもそうである。

我々は指先が暇なのである。指先が暇だと、退屈を感じるようにできているのである。

スマホもいいが、画を描いたり模型を工作するのも、指先を退屈させない、精神の充実につながるのである。

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