417 浪漫之友 18号(同人誌)
2009.07/天狼プロダクション
<電子書籍> 無
【評】 ―
● 農夫、まさかの登場
栗本薫個人同人誌第十八号。
『ヴァンパイア・サーガvol.8 融合の儀式』『ヴァンパイア・サーガvol.9 真夜中に教会へ 前編』収録
2009年5月に栗本薫が逝去したため、今号以降はあとがきやエッセイなどはなくなっている。
『ヴァンパイア・サーガvol.8 融合の儀式』
仕置と媚薬によって衰弱したサミュエルを癒やすため、伯爵は融合の儀式をおこなう。そしてサミュエルはついに真の同化を果たすのであった――
さあ心をひらいて~自然と気を合わせるのです。本当に心をひらいている人はそのままでもいいのですが、そうでない人にはセックスが一番心をひらきやすいのです。さあどうです。見えてきましたか~?光。そう光ですね~これが愛です。愛なのです。わかりますね。さあ身をゆだねて。いまだれとセックスしたいですか?Aさん。わかってましたよ~Aさんはここにいます。感じますね?感じますね?光の中ですべてを愛するのです。気持ちいいでしょう~?これが融合ですこれが同化です。あ~わかってもらえましたね~すべての生命と同化するフリーセックスこそが世界を愛で満たすのですよ~ああ~光が見える~。
と、いうような感じで伯爵に導かれてサミュエルさんが真の同化を達成するのですが、やはりどこからどう見てもカルトセックス教団ですねこれは……。まあセックス教団の人たちはあれはあれで幸せそうだし、仕方ないね……。でもぼくセックス教団に入信する気はないので、ちょっとスピリチュアルすぎてこの話にはついていけませんでしたね……。フリーセックスの経験が足りなくて光が見えないからですかね……。
『ヴァンパイア・サーガvol.9 真夜中に教会へ 前編』
なぜ伯爵はクリストファーをXと呼ぶのか。訊ねられたクリストファーは、その原因となった450年前を回想する。それは彼が伯爵のもとへきてから50年経ったころに起きた、脱走事件の記憶であった――
人をさらって何十年も軟禁しておきながらセックスの途中で「あ、お前いま冷めてるやろ。もう怒った。シカトしてやるもんね」と云い出すパワハラモラハラセクハラを兼ねた三段ハラ親父であるアルカード伯爵が最低であり、「あーん、怒らしちゃった。くすん。もうお側にいられないのね……」と家出するクリストファーもそれはそれで気持ち悪い。マルガ・サーガでのナリスもそうだが「みんなキレイキレイって云うけど、自分じゃちっとも美形だなんて思わないのに……」というセリフをやたらめったらと吐く栗本薫の受けキャラは、ドヤ顔自撮り画像をものすごい勢いでSNSにアップしながら「自分がブスすぎて辛い……(ノД`)シクシク」とコメントしているクソ自撮リアンにしか見えない。
絶対ナリス様のfacebookアカウントは「今日はおしゃれなカフェ行ったけど食欲ないからカラム水だけ♡」とかいってカラム水見せるふりして太ももとか鎖骨とか見せてる写真が大量にアップされまくってるでしょ……それでクリスタル宮廷の人間がみんなで「イイネ!」ボタン押してる中、既婚の貴族夫人が新規垢で「わざとらしい」とか書き込んで、ナリスは「そんなつもりなかったのに……ご不快でしたらごめんなさい(இдஇ; )」とかやってヴァレリウスみたいなのが「姫は悪くないよ!元気出して٩(๛ ̆ 3 ̆)۶♥」とかしてあげてるんだよ……で、ナリスは一部の信者だけに教えている裏垢で「٩(◦`꒳´◦)۶ オコダヨ!ムカ着火ファイアー!٩(๑`^´๑)۶༄༅༄༅༄༅༄༅)`Д´)アヂィ!」とかやってるんだよ……絶対にそういう奴だよあのクリスタル公は……。
ともあれ、そんなわけで家出したクリストファーはあてもなく歩いていたら行き倒れてしまい、通りすがりの農夫の一家に助けられて彼らについていくことになるのでした。
おーっと、ここで農夫の登場だ~!
あの名セリフ、「私を欲情させてみるがいい。そのへんの農夫の男のように」はまさか伏線だったのか!?
まったく目が離せない次号に続くぜ!(まだ二冊もあるのか……)
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