351 浪漫之友 2号 (同人誌)

2005.07/天狼プロダクション

<電子書籍> 無

【評】 ―


● 薫専用ホモ(三倍早い)


 栗本薫の季刊個人同人誌第二号。

『セルロイド・ララバイ』『ヴァイス・トロピカル 第二回』『副長 第二回』収録。

『セルロイド・ララバイ』

 大金を融通するために契約した五本のゲイポルノ出演をなんとか減らすことはできないかと考える克郎。だが彼の前に雪広があらわれ、さらに借金があると告げる。すかさずさらに出演契約を増やし大金を用意した克郎だったが、雪広は金のために凶悪なヤクザ組長に抱かれに行っていた――

『セルロイド・ヒーロー』シリーズの第三話目。

 いやあ、なんだろう……これ……ヤマジュン絵で脳内変換するようになったせいか、なんかこのノリが癖になってきてしまった……。

「克郎さん、その新キャラもホモだから気をつけて!」「凶悪凶悪いってなにもしていなかった雪広がついに寸借詐欺という凶悪なことを!」「ああ、克郎さん、騙されちゃダメ!」「克郎さんチョロすぎぃ!」「あ、でも雪広が本当にヤクザに殴られて……いったいどうなるんだ~(迫真)」という感じで、楽しくなってきてしまっている自分を否定できないですね……。

 なんか中途半端にシリアスになってきたせいで雰囲気が鎮魂化(作者がどこまで本気かわからないエロ作品に特有の面白みが出ること。名作『影人たちの鎮魂歌』が語源)してきて、滑った語り口になんともいえない味わいが出てきてるんですよね……。


『ヴァイス・トロピカル 第二回』

 ティンギは拾った美少年をねぐらに持ち替えて緊縛し、イラマチオして楽しかったです。続く。

 南国の雄大な自然のなかでほのぼのレイプするだけであり、作者が楽しそうでなによりだと思いました。


『副長 第二回』

 沖田総司らとともに池田屋に突入する島田魁。おそるべき剣技で志士を斬っていく沖田だが、しかし突然に吐血して動きを止める。島田は沖田を助けるが、そのとき、脳裏にその細い首を折りたいという衝動が訪れる――

 きんも~☆(褒め言葉)

 いやあ、島田魁さん、きっもちわるい。土方と山南という二人の立派な男が美少年沖田をとりあって対立しているというまよてん以来の伝統の構図なのだが、それを部外者である不細工が沖田にメラメラとしながら見ているという構図が栗本薫的に新しい。そしていつもだったら沖田を褒めそやかすばかりなところを、島田魁が「あのクソビッチ野郎~」と思っているのが最高だ。そうだよ、薫の受けは全員クソクソクソビッチなんだよ。よく云ってくれたよ魁アニキ!

 そしてまた、土方・山南・沖田の三角関係が、ともすればただの島田の妄想なんじゃないかと思えるところがまた気持ち悪くて良い。いや『MU・GE・N』本編でクソビッチがあらゆる男とやりまくってたから魁ニキの妄想じゃないのはわかっているんだけど、このルサンチマンの塊の一人相撲感がたまらないんだぜ。

 池田屋事件から山南の脱走、処刑まで一気に進んで話が展開が早いのも良い。なぜ『夢幻戦記』でこの速度が出せなかったのか。

 このままのペースで面白くまとまって欲しい。が、ストックがあと700枚で目標2000枚とか書いてて「待って、本編より長いの?」という気持ちになっている。



 この『浪漫之友』、正直この時期の栗本薫の商業本より面白い。なぜなら単純に展開が早いから……。

 やっぱり薫は商業だとぐだぐだとページ稼ぎしてるよ……とりあえずその巻のラストシーンだけ決めて、足りない部分全部ぐだぐだした物思いて会話で埋めてるよ……。

 BLじゃないとか以前にJUNEでもないし、萌えでもエロでもない気がするけど、栗本薫専用ホモというジャンルの薄い本としては問題ないんじゃないかな。

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