326 真夜中のユニコーン ―伊集院大介の休日―

03.09/講談社

06.03/講談社文庫


【評】う



● 女なのに強烈な非モテイズム


 処女のうざい女子大生が冬休みに遊園地でバイトすることになったけど、遊園地で事件が起こってるぽいですよ、という話。


 相変わらずミステリー要素うすめね。如何ともし難いね。田舎にあるつぶれかけの遊園地ってのは、悪くない舞台設定だと思うんだけど、まったくいかすことなく話はすすみ、そして終わった。

 偏屈少女の一夏の経験物で、ボーイミーツガールものなんだけどさ。その少女の偏屈具合というか、偏ったプライドの持ち方がね、まあ嫌いじゃない。本当にこいつはモテないな、という感じで。嫌いじゃないけど、昔の薫ならこの三百倍はうまく書いたはずなのに……

 『ノートルダムの鐘』の背虫男みたいなのが唐突に出てきてオチになるんだけど、ていうか天狼星シリーズの刀根といいグインのアリストートスといいその他もろもろといい、栗本薫は油断すると醜面短躯のストーカー出しすぎ。そういうストーカーの情念が事件の根底にあるなら、もうちっとそれを描写して欲しかったねえ。それが作品のテーマから外れるとしても。

 つうかだらだらと事件と関係ない描写続けて、事件が起こったと思った瞬間には大介が出てきて全部解決しました、というのは反則過ぎるだろう。

 常にミステリー界に反旗を翻す斬新な薫でした。

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