第2話 噛んだって誰も笑わない

周り一面深緑の芝生に囲まれた丘の上。


武器もない。

人もいない。

腰も抜けた。


バッドエンドに向けて三拍子揃っている…


黒鉄 あきら 17歳 異世界にて死す。


神様!チートは?!お助けは?!美少女は?!


はっ!

もしかして不死身とか


……すみません俺が馬鹿でした。



異界人の墓とか誰が管理するんだよ…

というか骨も溶ける?真逆まさかのスライム葬?!



滑らかーにこちらに滑ってくるスライムを見ながら考える。


意思疎通←無理そう

戦う←溶けるね

魔法とか←指先に力込めても何も起こらないし

逃げる←はっ?

一回死ぬ?←目が覚めたらベッドの上とか

持ち物←ケータイ、ペン、制服、あと身につけてたもの……




ん?

霊符ふだ




足につけたホルダーには霊符が何枚か。

た、確かにお祓いとには使えるけどぉぉぉ……?


やるしかない。



そうさ、失敗したって笑う奴なんていねーよ。誰も来ないし


「あああ!もう!きゅっ…

急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう!」


噛みながらも太ももに付けていたホルダーから霊符を出しスライムに投げつける


と、



「燃えたぁーーーー?!?!」


スライムは勢いよく燃え、灰となって消えていった。


「嘘だろ…?こんな世界に陰陽道なんてあるのかよ…というか霊符持ってて良かった…」


身体から力が抜け、芝生に寝転がる。


雲ひとつない青空。

綺麗だ…



そして俺はびしょ濡れになった。


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