第109話 ドワーフの町

 朱火にライアを任せて村を出た後、わしらは森を離れた。

 東の岬を目指して草原を行くと、やがて荒れ地へと入る。

 団子のようにくっ付いては多段で爆発する岩の魔物や極彩色の大きな怪鳥、氷のゴーレムに鋼の甲冑なんかが次々に現れたが、問題なくそれらを処理した。

 相変わらずわしの成長は遅いが、それももう少しの辛抱だ。ドワーフに会ったら、この呪われた魔神剣ネヴュラスを破壊してもらう! ……代わりの剣はその時に考えよう。 

 埃っぽいにおいが潮風へ変わる頃。わしらはついに岬へとやってきた。

 ごつごつした岩場が一面に広がり、吹き抜ける風音と荒涼とした景色がどこか哀愁を誘う。

 村人の話では、この岩場のどこかに地下への扉があるそうだ。わしらは手分けしてそれを探すことにした。

 すると少しもしないうちに「見つけたよー」と楓から声が上がる。楓は物探しの名人かもしれんな。

 楓の元へ集まって、彼女が指さす地面に皆が注目した。

 そこには大きな岩の陰に隠すようにして、正方形をした鉄製の扉が設えられていた。表面には何やらハンマーと髭面の男の横顔が描かれている。


「これが地下への扉か。……たしかに隠す気があまりないように思えるな」

「岩場の陰でも、こんなに分かりやすい絵が描かれていたなら誰でも見つけられますわね」

「これってノックした方がいいのかな?」

「たしかドワーフが慌てて飛び出してくるって話だったよね?」

「開けてみれば分かるわよ」


 そういって躊躇もなく扉の取っ手を握ったのはオルフィナだった。思い切りがいいというか物怖じしない性格というか。

 ガコッと音を立てて開いた扉から闇が覗く。深淵かと思いきや、クロエが光源魔法を灯して見えた空洞は浅い。これならわしでも問題なく下りられるだろう。

 しかし聞いた話とは違ってドワーフは飛び出してこなかった。少し楽しみにしていたのに。


「……出てこんようだな」

「勇者様、入ってみましょう」


 ソフィアの言葉に頷いて、まずはわしから中へ入る。

 鎧を着たままでは腹がつっかえて入れなかったが、脱いで腹を引っ込めたことでなんとか地下へ下りられた。……痩せられんのも呪いのせいかもしれんな。そういうことにしておいた方が、精神的には良いだろう。

 地下はひんやりとしていて冷たい空気が頬を撫でた。魔法の明かりに照らされた坑道は掘削の後が生々しく残っている。

 とにかく奥へ進んでいくと、やがて道が二又に分かれた場所へ突き当たった。

 普通ならどちらにしようか迷うところだが、その必要はないようだ。


「またこの絵……ドワーフって危機管理能力が低いんじゃないかな?」

「それかよっぽど腕に自信があるかだねー」


 壁に打ち付けられていた金属板の絵に従い、わしらは左の道を行く。

 しばらくして、突然、ゴゴゴッと坑道全体が震えるような地鳴りが起こった。ズズズ…………ズズズとどこかからゆっくりと這うような音も聞こえてくる。


「これはいったい、なんの音だ? まさか魔物か?」

「地下がこれだけ震えるような大きさ……ただごとじゃなさそう。ドワーフたちが心配ね」


 オルフィナの言葉をきっかけに、わしらは歩くのをやめて走り出した。わしも頑張って走った。ついていくのがやっとだったが、分岐の度に付いていた目印の絵に従って、迷うことなくそこまでたどり着けた。

 行き止まりの袋小路。岩壁に埋め込まれた巨大な鉄扉がわしらを迎える。

 顔を見合わせた後、わしらは協力して重たい扉を押し開けた。

 扉の向こうは灰と黒のまだら模様の町だった。

 すべてが花崗岩をシンプルに削り出して造られていて、いたる所に煌々と松明が灯る。

 わしはそんな町の中に人の姿を見た。絵本でしか見たことがない背丈の低い種族、ドワーフだ。しかしどこか様子がおかしい。


「大変だ大変だ! このままじゃあいつがここまで来てしまうぞ!」

「親分は負傷してるし、オイラたちじゃどうしようもないぞ! このままじゃ町は壊滅だ!」

「引っ越しだ、こうなりゃみんなで引っ越しだ!」


 などと騒ぎ、そこいらを駆け回っている。

 角のついた兜に腕当のない軽鎧。太い腕を持つ筋骨隆々とした彼らにしては、なんとも臆病風に吹かれている印象だ。

 わしは近場にいた慌てふためくドワーフの一人に声をかけてみた。


「ちょいとすまんが、お前さんたちは何をそんなに焦っとるんだ?」

「え? ――――ってうわぁ! なななんだあんたたちは人間か?! 一体どうやってここまで来た!」

「そんなに驚くことでもないだろう。坑道の分岐のたびに絵が誘導してくれていたのだからな」

「……そうかー。道に迷わないように作ったのが仇となったかー。……っていまはあんたたちにかまっている暇はないんだ!」


 すごい剣幕で捲し立てられ思わず仰け反ったその時だ。またしても大きな地鳴りがし、ドワーフは「うわぁああ!」と驚いて地に伏せた。

 おもむろにクロエがしゃがみ、安心させるように男の肩へ優しく手を添える。


「大丈夫。わたしたちは世界を救うために旅をしてるから、きっと力になれるよ。なにがあったのか話してみて」


 クロエを見上げた男は二度三度と目を瞬くと、気を許したのか小さく頷いてから話し始めた。

 聞くところによると、鍛冶が得意なドワーフ族はある鉱石を掘っていた。その鉱石は強力な武具製造に欠かせない火起こしに使用される特殊なものだそうだ。

 ドワーフの作る武具は伝説にも語られているらしく、その腕を恐れた大魔王が鉱石を餌にする魔物を地下へ放ったらしい。

 それは徐々に近づいてきていて、町の存亡を危ぶんだドワーフの王が退治に出かけたが、逆に怪我させられて戻ってきたという話だ。


「してその魔物というのは?」

「グランドロックマイマイ。要するに巨大なカタツムリだよ」

「それでその王というのはどこにいるの?」

「本当は会わせるわけにはいかないんだけど、あんたたちは信用できそうだ。案内するよ――」


 クロエのみならずソフィアにもすぐ気を許しているようだが、なぜわしはいかんかったのだ? ちょっと納得いかんな。

 内心文句を垂れながらも男についていき、町の高台にある鍾乳石の柱に囲まれた家へとやってきた。

 緊張した面持ちで、男は家のドアをノックする。


「親分、旅人を連れてきました!」

「あ? ほかの人間はここへ入れるなと言ってあるだろ。追い返せ」


 客人をまるでもてなす気のない王の言動に少々イラっとし、わしは不躾ながらもドアを開けた。

 装飾彫りの施された灰色の壁肌は、荒々しくもどこか洗練された印象を受ける。奥には上階へ続く階段があり、その手前に玉座らしき大きな椅子が置かれていた。

 立派な髭をした王はその椅子から真っすぐにわしらを睨みつけている。外で見かけたドワーフよりもはるかに大きな体。それでもわしらよりも身長は低いが。

 血管の浮き出る丸太のように太い腕。鎧みたいに覆われた全身の筋肉は並みの攻撃など弾いてしまいそうなほどに堅固そうだ。

 そんな王にふさわしい巨大な斧の柄を握る姿、そして発せられる威圧的なオーラに肌がピリピリした。


「許可してない上に勝手に入ってくるとは、そんなに死にたいか」

「残念だが、どうやらわしらは死んでも生き返れるらしいからな。無駄なことはやめるのだ」


 まだ死んだことはないが、ということは黙っておいた。なら死んでみるか? と聞かれても困るからな。定かではないものを試したくはないだろう。

 およそ一般的でないわしの言動に、わずかに片眉を上げて王が訝しむ。


「生き返れるだと? まさかお前みたいなのが勇者なのか?」

「ここは残念ながらとは言わんぞ? わしが勇者だ、わしこそがな」


 値踏みするような目を向けてくる王へ、わしは臆しながらも近づいた。

 いつあの斧が飛んでくるのか気が気でなかったが――すぐ側までやって来た時、王がわしの頭を見て、なぜか急に噴き出した。


「ブハッ! なんだ、どこか見慣れていると思ったら陰毛じゃねえか。珍しい人間もいたもんだな、ガハハハ!」

「だ、誰が陰毛だ失礼な! 頭にチン毛が生えるか! しかもぜんぜん隠れとらんだろう!」


 人のクリクリ天パを言うに事欠いてチン毛などとッ。いままでさんざん「ブロッコリー」だの「モジャ毛」だのと悪口を言われてきたが、こんな言われ方をしたのは初めてだ!


「それで、そんな愉快な勇者が何用だ?」

「別に愉快ではないが……。ここへ来たのには主に二つ理由があった。一つはエイルローグの王女がここで匿われているという話を聞いて、そして二つ目はわしの呪われた剣を破壊してもらいにだ」

「たしかにエイルローグの王女はここにいる。だが俺はお前たちを信用していない、だから会わせるわけにはいかない。剣は背負ってるそいつか? 見せてみろ」


 わしはベルトを外して背中から剣を下ろす。それを差し出しながらも食い下がった。


「王女のことを考えれば、見ず知らずの者たちを会わせたくないお前さんの気持ちも分からんでもないが。わしらには会わねばならん理由があるのだ。クロエ」


 ポンと優しく背中を叩いてやると、クロエは預かっているドレスを取り出して、たしかな一歩を以て踏み出した。凛としていて実に堂々とした立ち姿だ。

 王も思わずといった様子で、一目置くように剣から目線を上げた。


「わたしは借りたこのドレスを、彼女に返してあげたい。このドレスのおかげでわたしたちはコンテストに勝てて、船を得ることが出来ました。そのお礼をしたいの」

「そのドレスは、王女が言っていた星屑のドレスか……」

「このことだけじゃないわ。私たちはエイルローグを滅ぼしたイグニスベインと戦うためにも、勇者様の剣を破壊してもらいに来たのよ」

「一国を滅ぼした四天王と戦うため……」


 王は呟いてわしらを見、そしてドレスと剣を見た。

 しばし沈黙が場に満ちる。その間にもまた地鳴りが響き建物を揺らす。外からは慌てるドワーフたちの声が聞こえてくる。

 なにを思ったか不意に口角を上げた王は急に立ち上がると、鞘に入った剣を床に放り捨て大斧を振り上げ――一気に打ち下ろした!

 剣は見事に鞘ごと砕かれ、床材までをも激しく破壊する。


「面白い……。他者のために死を厭わないその気勢や良し。いいだろう、お前たちを信用して王女に会わせてやる」

「本当か!」

「ただし、あのカタツムリを倒したらの話だ。これ以上鉱石を食い荒らされちゃあたまらねえ」

「アタシたちは端からそのつもりだったけどねー。ね、オジサン?」

「そうだな。三つ目の用事がそれだったわけだが。その前に王よ、一つ良いか?」

「なんだ?」

「わしに剣を貸してくれ。その剣以外は鋼の剣とラヴァブレードしか持っとらんのだ」

「そんなんでよくここまで来れたな。ちょっと待ってろ」


 しょうがないとでも言いたげに重い腰を上げ、王は階段下のラックへ向かう。

 本当はもう一本あったのだが、ブランフェイムは折れてしまったからな……。いまとなっては懐かしく感じる。


「ほら、こいつを貸してやる。鉱石が切れる前に作ったわりと出来のいいやつだ」


 渡された剣は少し幅広で大きい両刃の剣だった。持った感じは悪くはないが、わしには少々重い気がする。シンプルだがどことなく武骨な感じがするドワーフにピッタリな見た目の得物だ。


「わしに扱いきれるだろうか……」

「鉱石がありゃ専用に作ってやれるんだが。まあいまはそれで我慢しろ」

「その鉱石というのはそれほど重要なのだな」

「先祖が伝説と呼ばれるほどの武具を作ったって記録があるが、その際にも不可欠だったそうだな」


 伝説……。そこでわしはふと思い出した。亀を倒して手に入れた金属があることを。


「そういえば、アダマンタイトも伝説と呼ばれるほどの金属だが、その鉱石さえあれば盾を作れたりなんかするのか?」

「お前アダマンタイトを持ってるのか?」


 もしかしたら、下の世界では知る人ぞ知る金属なのかもしれんな。

 わしは一つ頷いてから道具袋を床に置く。そして中を漁り、目当ての物を引き出した。ごろりと床に転がった紺青色の金属塊。松明の明かりに鈍い輝きを反射する。


「ガキの頃に小さな塊は見たことあったが、このサイズは初めて見たな」


 王は塊を手で撫でたり軽く叩いたりして品定めをする。「ちょっとどいてろ」と呟き、そして再び斧を振り上げたのを見て、皆急ぎ壁際まで退避。

 それを確認した王は、もの凄い膂力で斧を振り下ろした! 火花が散り、ガィイイイン! と耳鳴りするほどの金属音が響く。

 塊はどうなったのかと恐る恐る窺うと、叩きつけた斧の方が粉々に粉砕されていた。


「面白い……、こいつは本物だッ! おい勇者、カタツムリを退治してきたら欲しがってる盾も作ってやるよ」

「それは本当か!」

「ああ、こいつは腕が鳴るぜ。こんな高揚感は初めてだ。……俺が伝説を作ってやる」


 王はやる気だ。それだけの価値がある金属というわけか。

 わしもさすがに、ドワーフの膂力でも破壊できんほどとは思わなかった。だがその鉱石で火を起こせば鍛錬も可能だということだろう。

 ようやくわしに盾が戻ってくる。これはわし自身も高揚せざるを得んだろう。

 そうと決まれば早い!


「では王よ、わしらは早速カタツムリのところへ行ってくる」

「気をつけろ、粘液は強酸で触れると火傷する。油断して俺も腿をやらかした。奴への案内はそこにいるラウスに頼るといい」


 紹介された先のドワーフの男はラウスという名前らしい。


「分かった、注意しよう。ではラウスとやら、案内を頼む」

「任せてくれ!」


 そうして町を出たわしらが案内されたのは、下りてきた場所からはおおよそ真逆の方向だった。方角にして南側。

 近づくにつれて揺れは大きくなり、魔物の気配がより強さを増していく。


「そこの角を曲がったら見えるはずだ、頑張ってくれ!」

「あなたはオルフィナと下がっていなさい」

「魔物はわたしたちが絶対に倒すから」

「んじゃオジサン、早いとこ行こっか!」

「よし、では行くぞ!」


 声を上げ、皆で角から勢いよく飛び出した。

 暗がりの方へクロエが光源魔法を唱えると、天井付近に光球が出現。灯った光で坑道が明るく照らされる。

 そしてゆっくりとこちらへ這ってくる魔物の姿を目視で捉えた。角のような二つの目玉、浅黒い体に渦を巻く黒い殻。体長は分からんが体高にしておよそ三メートルといったところか。

 坑道の横幅よりも殻が大きいらしく、幅を広げるたびに地震が起こっているようだ。


「これは早いとこ処理せんと、地下が脆くなってしまうかもしれんな」

「幸い動きは鈍いようですし、粘液にさえ注意すればそう強くはなさそうですね」

「厄介そうだから、粘液はわたしが洗い流すよ」

「んじゃあアタシは土遁で殻に杭打ちしよーっと。そしたらソフィアは殻破壊してっ」

「ええ、分かったわ」

「えっと、ならわしは止め刺しちゃおっかなー?」


 いつもであれば、ここでライアが『かわい子ぶんな気持ち悪い』と一蹴するところだが。返ってきた言葉は「うん、それでいいよ」「じゃあやろ!」といったものだった。

 やはりライアがいないと少々突っ込み成分が足らん気がする。

 っと、いまはそれは置いておいて。

 駆け出していった女子たちに遅ればせながら、わしも走り出す。

 まずは厄介そうだと言っていたクロエが、水属性の魔法「プルースドアキューズ」で坑道を洗い流す。激しい水流によって同時にダメージを与えた。

 何事かと目玉を振るカタツムリへ、楓が「土遁、十獅咬虐じっしこうぎゃく」の印を結んだ。坑道の天地から何本も石柱が突出し、カタツムリを身動きできないように串刺して縫い止める。その様はまるで何頭もの獅子が鋭い牙で殻に噛みついているようだ。

 すかさず飛び出したソフィアが拳を硬く握り締める。殻に閉じこもることも出来ずに、頭だけで暴れる魔物の殻の真上へ跳躍すると、「デトロゲイルフォール」闇色のオーラを纏いながら垂直落下し思いっきり殻をぶん殴る!

 闇の衝撃波が広がり空間をビリビリと振動させた。

 楓の土遁で穴が開いていたこともあり、脆くなっていた殻は石柱ごといとも簡単に破壊される。

 殻がなくなれば無防備も同然だ。

 巨大なナメクジみたいになった気持ちの悪いカタツムリへ向け、わしは逆手に持った剣を背面に回して引き絞る。

 皆がわしの後ろまで退避したのを確認。

 気のせいかもしれんが、刀身に集まる光の収束力が以前よりも増している、と思う。魔神剣ネヴュラスは技にまで影響を及ぼしていたのやもしれんな。


「だが、久しぶりに気持ちのいい技が放てそうだ。いくぞカタツムリ! ――ワルドストラーーッシュッ!!」


 剣を振り、満ちた輝きのすべてを解き放つ。

 ズォオオオ! と風を切りながら光の刃はカタツムリを斜めに両断し、瞬時に爆発させた。やはり威力が違う気がする。これならばもう一つ上の技が編み出せるかもしれん!

 わしは確かな実感をこの手の平に感じた。

 爆風はクロエが魔法で防いでくれたため皆、無傷だ。

 光の粒子となって消え去った魔物。後にはなにやら赤色の鉱物のようなものがゴロゴロと散乱している。

 物陰から様子を窺っていたラウスが、なにか気付いたように目を瞠った。


「――あっ! ヴァルム鉱石だ! まさかこんなに残ってるなんて。どうやら消化はされなかったみたいだ」

「ヴァルム鉱石?」

「ああ、この鉱石が強力な武具製造に不可欠な火起こしに使う石だよ。これだけあれば当分掘りにいかなくても助かるよ」


 無数に散らばる鉱石を眺め、ラウスがほっとした息に乗せて呟いた。鉱石を掘るのも苦労していたのかもしれない。

 魔物も倒してこれで一段落。ということは盾を制作してもらえるということにほかならん。やっとわしも盾が装備できる。アダマンタイトで作るのであれば、かなり強固なものになるだろう。それこそ伝説と呼べるような代物が。


「勇者様、早速ドワーフ王の元へ報告に行きましょう」

「うむ、そうだな。エイルローグの王女にも会わねばならんし」

「やっとドレスを渡せる……ここまで長かったな」

「きっと王女も喜ぶであろうな」

「それにオジサンの盾もね! やっぱり盾がないと締まんないしさ」

「そうだろうそうだろう。盾あってこそのわしだからな」


 皆を守るために身を呈することが出来ることに、わしは並みならぬ喜びと決意に満ち溢れた。

 イグニスべインがどれほどであろうと、わしは必ず守ってみせるぞ。

 そうしてヴァルム鉱石を皆で回収したのち来た道を戻り、わしらはドワーフの町へと帰ったのだ。

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