第9話


【一人称・2ページ】



サクッと少年のピンチを演出しましたが、一人称は1ページのみなので、短過ぎて危機感が伝わったかどうか不安です。



ここで質問をします。



物語の舞台はどこで、時代はいつでしょう。



中世のヨーロッパにモンスターが人々を襲う暗黒時代ではありませんね。バッタバッタと意味なく人も死にません。



時は現代の夜、彼女=ユリの家族はどこにでもある一般家庭。



ユリが言った「殺される!」は、彼女の表現なので、ユリの本当の心の描写も、ユリの父親の心の描写も描けないのが一人称です。



実際、ユリの父親が主人公を殺してしまうと、舞台が現代社会なので、犯罪という前提以前に、死んだら、主人公目線でしか描けないので打ち切りです。



後味が悪い上に、疑問を残すだけ残して最悪な終わり方です。



作り話とはいえ、後悔するはずです。



そこを如何にしてハッピーエンドへ誘うかが作者の腕の見せどころです。今、自分でハードル上げてしまいました。



一人称は、主人公目線なので、主人公であるならば、見る・聞く・匂う・味わう・触るという五感をフルに伝えたいものです。



もっと言えば、内耳にある三半規管で平衡感覚も無重力も熱も時間も大人のリアルな情緒も描写できます。



しかし、主人公以外の登場人物の心理描写は難しく、どうしてもユリ(彼女)に目線を切り替えたい場合、読者にその旨を伝えなければ混乱を招いてしまいます。



更に目線をコロコロ替えるのは、今や新しい手法でもなく、かなりのテクニックを要します。



逆に言うと、父親が帰って来なかったら、ユリはやらせてくれるのか? という高校生ならではの未熟な発想でしか表現し辛いです。



作者が極めて高度な技術を持っていても、それを演じる主人公の若さを加味すると、その技量が非常にもったいないです。



ちなみに私は別の小説で、猫の着ぐるみを着た6歳の女の子AI(人工知能でケータイの中に住んでいる)が、これとは別のケータイ小説の中から現実世界に飛び出したホームレス幼女5歳の女の子の為に物語を描く所で




――――――ピタ――――――



フリーズしています。



五年越しのビッシリ書いた873ページ。この先のストーリーがドッサリあるのに泣けてきます。



以上、しつこい一人称説明でした。



内容を忘れそうなあなた! 三人称へと移行します。


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