短編

ヨモスエ/ささウ

トウホグ統治

オリオン座の下、我らミヤギ県民は『イモーニ』を作っておった。

そこに現れたのが宿敵『ヤマガタ』の『オクウ』。

我らの『イモーニ』を『トンジル』『トンジル』と罵ってきおった。

我らは憤り、『ヤマガタ』と戦争を始めた。

それが今日まで続く"イモーニ戦争"じゃ。


何度も祖父から聞かされた昔話。

だが本当の話なのだ。今も続く戦争だ。


我らは北上をする種族だった。しかしいつからかミヤギ県民としてこの地に定住してしまっていた。


そう、件の戦争の影響である。

ヤマガタを避けて北上しようにも『イワテ』を通るルートは『コイワイ』の連中が県境の上に南部鉄器製の数十メートルにも及ぶ壁『南部の長城』を建てて以来、我らは『ヤマガタ』から北上する他、手段はないのである。


そこで我らミヤギ県民は『トウホグ地方』唯一、親交のある『アキタ』に協力を求め伝書鳩を飛ばしたのであった。

長くに渡る戦争に終止符を、ヤマガタへ戦いを挑む為である。


『アキタ』の『キリキリタン』から返信の伝書鳩が来た。

"我ら キリキリタン は ミヤギに協力する。"

なんと。有難い話だ。

"ただし、ミヤギ に居る パンダ をこちらに わたされたし。"

あやつら、まだ誘致を続行しておったのか。 まぁ良い、これで戦争が終わるのなら安いものである。


ついに決行の時が来た。

作戦としては質素なものでまずアキタがヤマガタに侵攻する。

そちらの対応に追われているところに我らがヤマガタに侵攻するというものだ。

つまりは挟み撃ちである。

こんなもので上手くいくのか不安ではあるが信じなければ何も始まらない。

かの伊達政宗のように勇敢に戦うのだ。

そして戦いの牛タンは切って落とされた。


作戦は上手くいったように思えた。

アキタがヤマガタの県境を踏み越え大砲を打ちきりたんぽを撃ち、名刀『鰰"はたはた"』を腰に携え各人最高の武士がヤマガタを圧倒していった。


だがヤマガタも劣らず戦力をもっていたのだった。


『サクランボウ』を上空へ打ち出し、そして地面へ積乱雲から降る土砂降りの様に降らせる。 更に『ラララ・不乱酢』を『ショーナイへイヤ』の地面に撒きアキタ・ミヤギの戦意を喪失させていったのだった。


互角。互いに戦力を削り、消耗していった。 どちらが勝つかもはや誰にも検討がつかなかった。


…"ミヤギ"以外は。

我らがミヤギ、最後の切り札を使う時が来た。

その名も『萩ノ月』。

そして私は手元の緊急用スイッチのガラスを叩き割り、その勢いでスイッチを押したのだった。


ゴゴゴ、と唸りを上げる地面 そしてゆっくりと上空に姿を表した。

アレが超古代宇宙兵器『萩ノ月』か。

その楕円形の円盤の下から三つの石柱がズズズと音をあげ露出し、次第に膨大なエネルギーを集束させる。


そして強大なエネルギープラズマをピュンと放った。


そのプラズマはいとも容易くヤマガタを崩壊させた。

これが伝承に伝わる『ササカマのイカヅチ』である。


そして我らミヤギ・アキタ県連合はヤマガタに勝ったのである。

永くに渡る戦争は終止符を打った。


アキタのほうの慣習で戦いの後、米を植えるそうだ。

今回は『ササこまち』を健闘を讃えるため植えたのだった。


後にこの戦いは『ササキリオカズ戦争』と呼ばれ事となる。

ヤマガタの半分を我らがミヤギが、もう半分をアキタが植民地として支配した。

さらに秋宮安全保障条約を結び完璧な信頼関係となった。


北上する前にやはり気がかりなのはイワテ…

今なら勝利を収めれるのではないか。行けるようなきがする。


そうして我らはイワテに戦いを挑んだのであった。


このトウホグを支配してみせる。そんな野心を胸に秘め。


    『トウホグ統治新書』 

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