第58話 もしかして…
「うぅ~ん…、近況報告って言ったってそういえば進級して高2になって…、あっ!そういえば、お腹の子は女の子だって! 」
お腹の子? えっ…瑠璃、子供が出来たの? 高2なのに? 確かに瑠璃は可愛いし俺も瑠璃が義妹じゃなければ好きになってたけど…。マジか……。
目の前が真っ白になって呆然としていると
「どうしたのお義兄ちゃん? 」
不思議そうに瑠璃が顔を覗き込んでくる。
「いや、瑠璃が高2でまさかお母さんになるなんて思ってもいなかったから驚いてた…」
「なに言ってるの? 私とお…」
そういうと瑠璃はハッ!としたあと顔を真っ赤にして
「いやいやいや! 私じゃなくて! 妹が出来て私とお父さんは喜んでそれでお義兄ちゃんにも報告したいね♪ って」
そっかお義母さんとお義父さんに子供が出来たんだ…。
「瑠璃、もう俺のことはいいからしっかり義妹の面倒をみてあげるんだぞ! 」
そういって瑠璃の頭を撫でると瑠璃はその手を払って怒った顔で俺を見つめてくる。
「俺のことはいいからとか、どうしてそんなことが言えるの? いいわけないじゃん! 私にとっては大切で大好きな人なんだよ! 」
泣きながら俺の胸を叩いてくる。
「瑠璃、落ち着けって」
痛くないとは言え、さすがに止めてほしかったので瑠璃の腕を掴んで暴れないように抱きつくと
「うん、落ち着いた…。何かお義兄ちゃんに抱きつくとホッとする…」
うん、瑠璃がいいならいいんだけどモニカへの罪悪感がすごい…。いくら義理の妹とはいえ女性に抱きつかれて嬉しいと思ってしまうなんて…。
「なに考えてるのお義兄ちゃん? 」
少し前屈みになって俺の顔を下から覗き込んでくる。
「お前は本当に昔から無防備だよな( ´Д`)ほら、前屈みになるから胸が見えてるぞ…ブラ着けてないのかよ( ´Д`)」
目を反らしながら瑠璃に注意をすると瑠璃は恥ずかしそうに胸元を隠して
「何見てるのお義兄ちゃんのエッチ! 」
その言葉と一緒にビンタがとんできた。
◆◇◆◇
「お義兄ちゃんがいけないんだからね! いきなりあんなこと言うんだもん! 」
瑠璃は頬を膨らませて地面に足を抱きかかえた体勢で俺を見つめてくる。
「いや、だからっていきなりビンタはないだろ…。さすがにちょっと痛かったぞ」
ビンタされた頬を押さえながら瑠璃を見ると瑠璃は笑いながら
「前もこんなことあってお母さんとお父さんに怒られたよね♪ 」
そういって上を見上げていた。
「そういえば、そんなこともあったな…。確か瑠璃が中3の頃に風呂に入ろうとしたら先に瑠璃が入ってて驚いた瑠璃が風呂桶でおもいっきり俺の頭を叩いて風呂桶が大破したもんな…」
苦笑いをしつつ瑠璃に話し掛けると
「あっ、あれもお義兄ちゃんがいけないんだからね! 私が悪いんじゃないからね! お義兄ちゃん、それで失神しちゃって…。お母さんは私にやり過ぎ! って怒って、お父さんはいくらお義兄ちゃんだからって何も言わずに開けたお前が悪い! ってお義兄ちゃんに怒って…。大変だったね♪ 」
どんなことがあった、こんなこともあった本当に他愛のない話をしていた。
「へぇ~、結婚したんだ…。相手はどんな女の子なの? かわいい子? 」
そんなに驚くこともなくまるで知っているかの様だった。
「相手の子? あぁ、モニカっていってゴブリンなんだけど凄くかわいくて俺のことを気づかってくれて優しい女の子だよ♪ あと子供ができた…」
「へぇ~、彼女のこと好きなんだ…。大切にしてあげなよ♪ 」
ニヤニヤしながら俺を見てくる。
「あぁ、大切で欠け替えのない人だと思ってる…。って何こっち見てニヤニヤしてるんだよ! 」
瑠璃は嬉しそうにニヤニヤしている。
「いや~、だってお義兄ちゃんがそんなに思ってるだなんて嬉しくて♪ 」
いや、お前に言ったわけじゃないんだけどな…?
「ねぇ瑠璃、何か俺に隠してることない?」
とりあえず鎌をかけてみることにした。
「えっ…、そんなことあるわけないじゃん! 私がお義兄ちゃんに嘘ついたことある? 」
ショートウェーブの毛先をくるくるといじりながら目が泳いでいる。
「お前…」
何か隠してるだろ! 嘘つく時、お前はいつも毛先をくるくるいじる癖があるの知ってるんだぞ! そう伝えようと思っていたら…。
辺りが暗転していく。
「時間みたい♪ お義兄ちゃん! またねぇ~!」
その声とともに辺りは暗くなり俺はまた眠りに就いた。
◆◇◆◇
「いつまで寝てるんですか? ライムお兄さんがモニカさんを起こさなきゃ2人ともズーっと寝たまんまですよ? 」
そういって俺を起こしにきたのはオリヴィアだった。
「あれ? 部屋の鍵は締めてたと思うんだけど…? どうやって入ったの? 」
オリヴィアに尋ねるとオリヴィアはクスクス笑いながら
「私はスライムですよ? 隙間があればお茶の子サイサイです! ほら、起きてください! 」
「悪い、あと5分したら起こして~! 」
「ダメです! 」
布団を剥がされベットから落とされて顔を洗いに行くことになった…。
「おはよう…。あと5分…」
「モニカもかよ! 」
顔を洗ってモニカに声をかけたらモニカもあと5分と言って布団を被ってしまった。
「昨日、久しぶりに瑠璃に会ったからかな? モニカが瑠璃にしか思えないや♪ 」
そういって隣で眠っているモニカの髪の毛を梳かしながらキスをすると
「恥ずかしいよ♪ でもそんなお義兄ちゃんも大好き♪ Zzz 」
えっ…、どういうこと?
「2人とも遅くまでイチャイチャしてたから眠いんですよ…。モニカさんだってもうすぐお母さんになるんだから、ゆっくり休ませてあげてくださいよ♪ 」
なんだろうさっきモニカがお兄ちゃんって言ってたけどモニカって1人っ子だったよな? じゃあお兄ちゃんって誰だ?
「おはよぉ~、お義兄ちゃん…。抱っこ!」
「なぁ、もしかして…」
「はい、ドォーン!! 」
「何やってんだ! 駄女神! 」
ヴィーナスが部屋の扉を蹴破って中に入ってきた…。
「プロレスごっこです! 」
「アホかお前は! 外でやれ! 」
あまりにも衝撃的すぎてモニカに言おうとしてたことを忘れちゃったじゃんか!
どうやって扉のこと謝ろう…。何てことをしてくれやがったんだ! あの駄女神は!
「ドロップキック! 」
駄女神はそういって無防備の俺に蹴り込んできた…。
修理代の全額と旅費代を全てコイツに請求してやろうと心のなかで決意した。
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