第52話 埋蔵金1

 リカリアさんとおじいちゃんの昔話を聞いたあと彼女から金貨を25枚受け取って借金は残り金貨49枚と銀貨50枚になった。

「トントン」・・・。「トントン!」・・・。「ドンドン!!」

「あぁ~、もう何かしら?妾に何か用かしら?」

 やっとヴァネッサが出てきた。

「いや、実は・・・。」

 これまでの経緯をヴァネッサに話すと


「嫌、何で妾が協力しないといけないのかしら?理由を知りたいかしら!」

 町の住民が協力しあうのに理由が必要なのか・・・。確かにそういう人もいるけど・・・。

「分かったもういいや、君に期待した俺が馬鹿だった」

 そういって帰ろうと踵を返すと後ろから肩を掴まれた。

「ちょっと待つかしら!誰も手伝わないなんて言ってないかしら」


 肩を掴まれ後ろからグワァングワァン揺すぶられた。

「分かった、分かったから放してくれ!」

「そうやっと分かったかしら!それで妾からの提案はコレなのよ!」

 ダンッ!と古めかしい地図をシューズボックスの上に叩きつけてくる。


「何この地図?」

 意味が理解出来なかったので質問をするとヴァネッサは嬉しそうに

「埋蔵金の地図なのよ!」

 なんてことを言ってくる。


「はっ?何を言ってるんだ?」

 首をかしげてヴァネッサを見つめるとヴァネッサは嬉しそうに

「いや、だから埋蔵金なのよ!埋蔵金」

 とやけにテンションが上がっていた。

 

「モニカから聞いたけどダウジング?とか言うやつで水脈を見つけたらしいじゃない!妾の持っているこの地図とライムのそれがあれば埋蔵金もきっとみつかるはずよ!」

 俺のダウジングでみつかってれば徳川の埋蔵金なんてもうとっくの昔にみつかってるよ!なんてことはコイツに言っても通用しないし何よりも探索に行く準備を既にしていて前から計画していたであろうメモがびっしり書き込まれた地図を見せられたら行くしかないでしょ・・・。


「分かったよ、一緒に埋蔵金の探索に行こっ!けどマリアさんにきちんと報告してから行こっか・・・。」

 そういうとヴァネッサは嫌そうな顔で

「それは嫌じゃ、理由は聞くな」

 そういって用意していたリュックサックを掴み屋敷を出ようとすると屋敷の奥から

「お嬢様!何処に行ったんですか!まだ帝王学の勉強が終わってませんよ!」

 マリアさんの怒っている声が聞こえる・・・。


「おい、いいのかよ!?」

 玄関の奥を覗き込みながらヴァネッサに聞くと

「いい、放っておけ!よし、それじゃあ埋蔵金を探しに行くぞ!」

 そういってヴァネッサは嬉しそうに駆けていく・・・。もちろん玄関は静かに閉めてバレないように出発しました。

◆◇◆◇

「それでどこらへんなの地図の場所は?」

 町を出て北に向かうこと1時間ぐらいたっただろうかヴァネッサに何処まで行くのか聞くとヴァネッサはイタズラっ子の様な微笑みで

「まだ内緒じゃ!」

 そういって未だに教えてくれない。


 更に歩くこと30分ぐらい、ついにヴァネッサが

「よし!ここらへんだぞライム!」

 あれ?ここは前に1度来たことがあるぞ・・・。

「この遺跡周辺らしい」


 うん、ここやっぱり来たことあるぞ!ほら!だってあそこに落とし穴&竹槍と何かの骨が・・・。

「何だ、この落とし穴は危ないじゃないか」

 俺が落とし穴をみていると後ろからやって来たヴァネッサが落とし穴を覗き込みながらそう呟いた。


「ごめん、俺とモニカが作った、あの時は必死で・・・」

 そういってヴァネッサを見つめるとヴァネッサは興味深そうにこちらを見つめてきた。

「どっちが考えたんだ?あの魔獣は、割りと強いと思ったんだが?妾の間違いだったかの?」

「さあ?モニカの作戦で俺が囮になってああなった」


 そう伝えるとヴァネッサは笑っている。

「何かおかしかったか?」

 ヴァネッサに尋ねるとヴァネッサは頷いて

「よく生きていたな!ライムの生命力と運には脱帽だ!」

 そんなことを言って魔獣の骨を指差し

「あの魔獣は多分ホットドックと言って火属性の遠距離魔法が使えたはずなんだぞ1度も攻撃されずに殺せるとは・・・。本当に運が良いんだな!」


 そんなことを話しながら噴水の跡がある中庭らしき所にやって来た。

「ここでどうするの?」

 ヴァネッサに聞くとヴァネッサは地図を見ながら

「どうやらこの噴水にこのブローチをはめ込むらしい、はい!」


「ねぇ、さりげなく俺に押し付けるなよ!」

 ヴァネッサにそう訴えると

「ちっ!・・・仕方無い妾がはめてくるか」

 おい、コイツ今、舌打ちしやがったよな!

 ヴァネッサは嫌々ながらもブローチをはめ込みに行った。


「お~い、ライム!ブローチをはめたぞ!何か変わったことはあるか?」

 辺りを見回すと

「きゃあっ!ラッ、ライム!床が動いた!妾を助けろ!」

 はぁ~、まったく・・・しょうがないなぁ~!

「ほら!手!掴まって!」

 そういってヴァネッサに手を差し出すとヴァネッサは必死な形相で掴んできた。


「急にガバッて、ガバッて!」

 余程驚いたのだろう少し涙目で俺の胸に飛び込んできた。

「きっ、急にガバッて開いて驚いたのだけだ!こっ、怖くて泣いてたわけじゃないからな!」

 そういってポコパコと身体を叩いてくる。

「分かった!分かったから叩かないで、それより、ほら!扉が開いたんだから、埋蔵金を探しに行こう!」

 そういってヴァネッサの手を引いて噴水の底を確認すると開いた扉の奥には階段が現れていた。


「ほっ、ほら!はよう行け!」

 おい、コイツ自分が怖いからって俺の背中を押してきやがった!

「痛い、痛いから!分かった!分かったから俺が先に行くから背中を蹴るのは止めてくれ!」

◆◇◆◇

「ねぇヴァネッサ、そんなに引っ付かれると歩きづらいんだけど・・・」

 脇にはガクガク((( ;゚Д゚)))震えているヴァネッサが腕にしがみついている。

「うっ、うるさい!暗くて前が見えないのが悪いんじゃ!」

 そんな震えて潤んだ瞳でこっちを見られたら何も言えないじゃん!


「考え込んどらんで何か良い方法はないのか!」

 そんなことを言われたって・・・。

「そういえば魔法とかで何とかならない?」

 ヴァネッサにそう伝えると

「それだ!【燈籠ともしび】!」

 辺りはオレンジ色の温かな色合いの明かりが揺らめいた。

 

「ほれ!はよう行くぞライム!妾たちの冒険はこれからじゃ!」

 そんなにはしゃいで走ると危ないよ!

 バスン!!

 ほらね言わんこっちゃない!

「ラッ、ライム!後ろから大きな岩が妾たちを追ってきているのは何故じゃ!」


「お前が作動させたんだよ!!!」








 







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