第51話 金は天下の回りもの!
「あっ!ライムお兄ちゃん!」
ハーブ園に行くとそこでは街から来た薬剤師や医者を集めて薬草学と薬学についてリアとフィーが講演をしていた。
「ごめん、邪魔しちゃったかな?」
そういってその場から立ち去ろうとすると
「そんなこと無いよ!むしろ良いタイミングだったよ!」
リアとフィーに両脇を押さえられ壇上に上がることになった・・・。
「は~い、注目!この町の開拓者で町長のライムお兄ちゃんです!今回協力をしてくれま~す!」
周りの薬剤師や医者がザワザワと落ち着かなくなる・・・。
「ねぇリア、何を協力すればいいの?」
不安になりリアに話を聞くと
「ライムお兄ちゃんには私が作った新薬を飲んでみてもらおうかなって思って!」
オィ、それってもしかして・・・。
「大丈夫!ほぼ安全・安心な薬だから!」
人・体・実・験!!
「いやいやいや、何で俺なの!無理!無理だから!2人が飲めばいいじゃん!」
2人にそう言うと2人とも首を横に振って
「人に流行する風邪のための薬だから人が飲まなくちゃいけないのだからライムお兄ちゃん、協力して?」
かわいく頼めば何でも聞くなんて・・・。
「しょうがないなぁ~」
しまった!脳が反射的に言うことを聞いたしまった・・・。
「ありがとうライムお兄ちゃん!」
リアが嬉しそうに抱きついてくる・・・。まぁいいか・・・。喜んでくれてるみたいだし・・・。
「これを飲めばいいの?」
目の前に出された薬は・・・。
「赤い・・・。本当に大丈夫なの?」
赤い飲み薬を渡された。
「大丈夫です!95%は!何か副作用があっても腹痛だけですし!」
そういう問題なのかな?
疑問に思いながらも受け取った薬を飲み干すと・・・。
「そういえば俺、風邪ひいてないけど・・・。どう判断するの?」
疑問に思ったのでリアとフィーに聞くと
「あっ!・・・。ごめん、そういえばそうだった!」
まさかのハイリスク、ノーリターン!!
「ごめんねライムお兄ちゃん」
そんな潤んだ瞳で見つめてこないで怒れないじゃん!
「トイレに行けば面白かったのに残念・・・。」
なんてことを言うんだフィー!
「そういえばライムお兄ちゃん達は昨日どうだった?」
そういえばその事を聞きに来たんだった。
「昨日の売上は銀貨50枚、そっちは?」
2人に尋ねると2人は
「「金貨15枚!」」
そういって金貨を渡してくれた。
「スゴいね2人とも!どうやったの?」
2人に聞くと2人は
「人のあいだでは、あまり知られていない新薬の製造法を講演会とかを催してたんですよ!人も救えるしお金も手に入る!まさに一石二鳥です!」
そういって2人は胸を反らしてドヤ顔でこちらを見つめてくる。
ちょっとイラッとしたけどまぁいっか!
「2人とも、ありがとう!」
そうお礼を言ったら
「当たり前でしょ!ここは私達がみんなで作った町なんだから!」
そういって2人は親指を立ててウインクをしてくる。
「2人ともありがとう!一緒にあのバカが作った借金を完済させよう!」
「「「オォォォォッッッ~!」」」
3人でハイタッチをして借金返済への気合いを入れ直す。
「それじゃあ、他のみんなのところに行くよ!またね!」
そういって俺は2人と別れて町へ戻っていく。
◆◇◆◇
「ねぇ~!ライム~!助けて!」
リカリアさんの店の前を通るとそこには人だかりが出来ていてその人だかりの中からリカリアさんの助けを呼ぶ声が聞こえる。
「どうしたの?大丈夫?」
声のする方へ返事をすると
「ダメ~!助けて~!」
そんな声が聞こえたので店の裏手に回り込み店の中に入っていく。
「入るよ~!リカリアさん助けに来たよ~!」
店の中はムンクの「叫び」の様な顔をしたリカリアさんがいた・・・。
「店が混んでて私1人じゃ無理!お願い!手伝って!」
服をがっつり掴んで逃げられないようにしてるのによく言うよ・・・。
「分かったよ、何をすればいいかな?」
腹をくくり手伝うことにすると伝えると
「その生地を引っ張ってピンッとさせて」
服の生地を引っ張るように指示をされる。
「久しぶりじゃなリカリア、元気にしとったか?」
店先から不思議なおじいちゃんがリカリアさんに話し掛けていた。
「誰?知り合い?」
リカリアさんに尋ねるとおじいちゃんが笑いながら
「なんだ兄ちゃん、リカリア先生の弟子か?」
ん・・・?リカリア先生?どういうこと?
「リカリアさん、どういうこと?」
リカリアさんを見つめるとリカリアさんは
「いや昔、色々あって・・・。それよりおじいちゃん今日はどうしたの?」
うん、上手く話題を変えやがった・・・。
「今日は、ばあさんが80歳の誕生日だからプレゼントを渡そうと思ってな・・・」
そういうとリカリアさんは驚いた様子で
「本当!もうそんなになるんだ!スゴくめでたいじゃん!うん!私が誠心誠意一針一針心を込めて服を作ったげる!ライム、お店を締めてください!」
そんなこんなで店を締めました。えぇ、俺がお客さんに頭を下げて・・・。
「ライム、キチンと引っ張って!弛んでるから!」
こんなことするために俺はここに来たんだっけ?
「ほら!早く!そっちを引っ張って!」
俺って、こういう立ち回りが多いよな昔から・・・。
「これで良い?」
リカリアさんに聞くと
「うん!OK!」
そういって彼女は生地の布を裁ち鋏で切り始めた。
「ねぇおじいちゃん、リカリアさんってそんなにスゴい人なの?」
少しは事情を知っているであろう、おじいちゃんにリカリアさんの事を聞くとおじいちゃんは首を横に振って
「私からは言えないよ、彼女から直接聞きなさい、彼女は君にならきっと話してくれるよ!」
そういって、ニカッと笑ってリカリアさんから出来上がった服を受け取って帰っていった。
「おじいちゃん何だって?」
あんなに集中していたのに俺とおじいちゃんの話に耳を傾けていたらしい。
「自分で聞けだって!ねぇ、何で先生って呼ばれてたの?」
リカリアさんに疑問をぶつけるとリカリアさんは真剣な顔で
「私は昔、王都で有名な裁縫師だったの・・・、だけど裁縫師同士の蹴落とし合いや足の引っ張り合いとか人間関係に疲れちゃって・・・。それで人間関係に疲れた私は人との繋がりを遮断していたんだ・・・。」
リカリアさんは、ゆっくりと自分の言葉を紡いでいる。
「それで生活するためのお金や食べ物が底を突いて、あとは餓死するのを待つだけだったの・・・そしたら扉を叩く音がして、うるさいなぁ~って思って扉を開けたら、そこにさっきのおじいちゃんとおばあちゃんが食事を持って立っていたの、本当にあのときは驚いたわよ♪」
そっか・・・。さっきのおじいちゃんと奥さんはリカリアさんの恩人だったんだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます