忙しなく移ろう日々

第48話 料理をします!

 俺の目の前には黒い謎の物体が出来ている。

「ラっ、ライム・・・。何を作ったの?」

 家に遊びに来ていたミソラが後ろから覗き込み俺が作った料理を見て不思議そうにしている。

「ミソラは俺が何を作ったと思う?」


 ミソラは少し考えてから

「もしかして炭?」

 そんなことを言ってくる。

「違う、焼き鳥なんだけど・・・」

 

 そんなことをミソラに言っていると

「ミソラ、突っ込まないであげて・・・」

 モニカ、お願いだから可哀想なものを見るような目で見ないで・・・。

「どうせ俺は料理が下手ですよ!でもね、下手だから上手くなろうと思って頑張ってるんだよ!」

 

 そんなことを2人に言っているとキッチンから師匠(オリヴィア)が呆れ顔でこちらにやって来る。

「ごめんなさい、私には荷が重かったです」

 そういってモニカに申し訳なさそうに謝っている。

「待って師匠!俺にきちんとした料理を教えてください!俺は料理が上手くなりたいんです!」


 そういってその場に土下座をしてオリヴィアに懇願する。

「無理です!もう無理です!だってきちんと教えたのにライム兄さんはいっつも感覚でやるんだもん!あんなんじゃ無理だよ!」

 そういってオリヴィア師匠は匙を投げ出してしまった。


「じゃあ、俺はどうすればいいんだよ!」

 そんなことを言っていると上から澪たちが降りてきた。そして澪の第一声が

「何で朝から焼き鳥なの?」

 その言葉を聞いた俺以外のみんなが一斉に澪を見て『マジか』みたいな目で見つめていた。


「えっ?焼き鳥じゃないの?何か間違った?けどコレ焼きすぎだよね・・・。皮がジュワッてなったらそこで止めなきゃ🎵」

「えっ!皮がパリッじゃダメなの?」

「うぅ~ん、パリッだと肉がパサッてしちゃって最後にはプスッてしちゃうから美味しくないんだよ!何だったら教えるから一緒に作る?」


 遠くから見ていた5人は俺と澪を見て残念そうな顔をしていた。どうしてだろう?

◆◇◆◇

「もぅ~、何で材料を切らしたの?しかも全部焼きすぎだなんて・・・。今度は美味しく焼いてみんなにも食べてもらおう!」

 そうです、焼き鳥の材料である鶏肉がきれてしまったので鶏肉を取りに近くの森に来ています。ん゙、なぜ森なのかって?それはね近くの森に高タンパク、低脂質の鳥型の魔獣がいるからです!その魔獣を俺と澪、チーの3人で狩りに来ました!

「コッコリトルは主に地面を走っているから見つかりやすいと思うけど兄ちゃんは見たことある?」

 

 ちなみにコッコリトルってのが今回の獲物です!

「無い、どんな魔獣?」

 チーと澪に聞くと2人は

「「鳥ですね🎵どれかって言うと七面鳥かな?」」

 どうやら七面鳥を巨大化させたやつらしい・・・。


「美味しいの?」

「「もちろんです!でもマシュマロには負けますが・・・えっ!・・・?」」

 2人は不思議そうに顔を見つめ合っている。

「マシュマロ美味しいですよね!」

 チーが嬉しそうに澪に話しかける。

「そう!とくに少し火で炙ってから食べると更に美味しくなるよね🎵」


「そうですよね🎵美味しいですよね!兄さん達は甘すぎるって言うけど美味しいから止められないんですよ🎵」

 おぉ~、チーが物凄く喜んでいる!そして澪も喜んでいる!

「本当に2人はマシュマロが好きなんだね🎵」

「「もちろんです!」」

 うわぁ、即答かよ・・・。


 そんなことを喋っていると大きな足跡が現れる。

「コッコリトルの足跡ですよ!まだ新しいので近くに居るかもしれないですね🎵」

 そう言って澪が前をチーが後ろをそして俺が両脇を警戒しながら進んでいく。


 しばらくするとドタドタと地面を駆ける音が聞こえてくる。

「何か居ますね!コッコリトルかもしれないので慎重に進みましょう!」

 前を行く澪が忍び足で音のする方向へ進んでいく・・・。

 すると右斜め前方から大きな鳥がこちらに向かってくる。

「澪!チー!右斜め前方に鳥と・・・ハングリーベアー!それに何あれ!?ハングリーベアーより大きな鳥がハングリーベアーを追いかけてる・・・。どういうこと!?」 


「ハングリーベアーを追いかけてるのがコッコリトルです!それでハングリーベアーが捕まえようとしてるのはコッコリトルの子供です」

 あの大きさで子供なのか!

 そんなことを思っているうちにコッコリトル達はこちらに向かってくる!

「どうする!どうすればいい?どれを攻撃すればいい?」


「今日は熊肉にしましょう!」

 俺たちは最初の目的だったコッコリトルでは無くコッコリトルの親子を襲っていたハングリーベアーを倒すことにした。

「第1射いくぞ!」

 放った矢はハングリーベアーの左目を貫く!

「グガァ゙ァァァァ!!」

 ハングリーベアーは左目を貫かれ怒りの咆哮をあげると同時にこちらに向かってくる。


「スゴいですね🎵1発で目を貫くなんて!」

 そう言って澪はハングリーベアーが振り下ろしてきた爪を受け流している。

「そう言ってるお姉ちゃんもスゴいじゃん!」

 チーは、サヘルが爪を受け流したことで生じた隙を見逃さずに槍の石突きでハングリーベアーの顎下を打ち上げていた・・・。


 ドスッ・・・。

「2人ともスゴいね!俺、何もしないうちに熊が伸びちゃったよ・・・って、うぉぉぉぃ!マジか!今やるの!ダメ!俺、そういうの無理!本当に無理だから!何で2人とも平気なの?いや、そういうことじゃなくて・・・」

 その場で血抜き&解体を2人でやっていました・・・。俺は途中で失神・・・。

◆◇◆◇

「それじゃあ料理を始めましょ~!」

 2代目師匠(澪)の掛け声と共に俺は先程師匠とチーが解体した熊肉を取り出す。

「じゃあ、今日は簡単な熊鍋にしましょう!」

「了解です!師匠!」


 まったく、お義兄ちゃんは・・・。お義兄ちゃん料理下手だからなぁ~・・・。大丈夫かな?私も手伝った方がいいかな?

「ねぇ※※※どうしたの?何かさっきから落ち着きがないけど・・・。確かにキッチンから擬音語しか聞こえないのは不安だけど・・・」

「うん、本当に心配だよ・・・。本当に大丈夫かな?」


「やった師匠!焦げずに出来たよ!」

 キッチンからお義兄ちゃんの声が聞こえてくる。

「やった!ウルトラ上手に焼けました!」

「こんがり肉になったよ師匠!いぇ~い!」


「みんな、美味しく焼けたぜ!」

 そう言ってお義兄ちゃんが熊肉の串焼きを持ってきた・・・。あれ?熊鍋じゃなくて串焼き?それに澪さんが疲れてる・・・?

「鍋はまだ難しかったみたいだけど串焼きは上手に焼けました!」

 

 澪さん、その紫の鍋は何?


 その日、食べられた料理は串焼きのみでした!

 紫の鍋はやっぱり劇薬でした・・・。それを食べた澪さんの友達の清華さんと香住さんは口から泡を吹いて倒れてしまいました・・・。うん、私は食べなかったから平気だったよ!







 

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