第36話 お花見をしよう!

「みんなお待たせ! 」

 服を着替えて身体のぬるぬるを洗い流してみんなのところに行く。

「遅いよ! ほら、もう一回行こ! 」

 ミソラが背中をバシッと叩いてきて活を入れてくる。

「ミソラ、活を入れてくれるのは良いんだけど割りと痛いから優しくして」


 そんなことを言いながら今度はみんなでリアカーを2台持って山に行く事にした。

◆◇◆◇

「あっちにも大きくて立派な桜があります!

あれも持ち帰りましょう! 」

 リアは相変わらず薬草や薬木を見つけるとピョンピョン跳ねて嬉しそうにしている。

「もう相変わらずカワイイわね、リアちゃん」

 嬉しそうにしているリアを見てノルンお姉ちゃんは母性? が擽られるのかプルプル震えていた。


 深くツッコムのはやめておこう…。

「ねぇ、思ったんだけど最初の目的って桜じゃなくて桃だったはずだよね? 」

 ミソラが耳元でボソリと呟いてきた。

「あっ! …。そうだった…」


 するとミソラは呆れた顔で

「ライムも忘れてたの? しっかりしてよ! 」

 そういって背中をバシッと叩いてくる。

「あっ、ごめん! 大丈夫? 」

 さっき痛いから優しくしてほしいと伝えた事を思い出したのか叩いてきた場所を心配そうに擦ってくる。


「うん、大丈夫だよ。やっぱりミソラはそれで良いよ♪ ミソラはそうでなくっちゃ! 」

 ニカッと笑いかけるとミソラも笑って

「そう? じゃあ遠慮しないからね♪ 」

 そういってミソラも笑ってくれた。


「2人とも笑ってないでコッチを手伝って! 」

 リカリアさんが俺とミソラを呼びに走ってきた。

「「どうしたの? 」」

 俺とミソラは不思議そうにリカリアさんに尋ねると


「リアちゃんが桃の木をみつけてノルンさんがリアちゃんのためならって掘り出したんだけど大きすぎて…。だから手伝って! 」

 俺とミソラは顔を見合せて頷き

「「早く行こう! リカリアさん、案内して! 」」

 そういってリカリアさんに道案内を任せて俺とミソラはリカリアさんの後を追って行く。

◆◇◆◇

「重いよぉ~!! 」

 ユキの声が聞こえるがちょっと待て!?

「ドンだけ大きな木を掘り起こしたんだよ。桃の木では大きいぞコレ…。かるく7メートルあるぞ…。みんなで手伝うぞ! いくぞ!

そーれ! 」

 俺のかけ声に合わせてユキたちが支えていた桃の木を持ち上げてリアカーに乗せる。

 

「あっ、ありがとう弟君。思ってた以上に大きくて重くて…。大変だった…」

 ゼェゼェ息を切らしてノルンお姉ちゃんがこっちにやってくる。

「お姉ちゃん、いくらカワイイ妹が欲しいって言ってきたからって大きさを考えてね♪ 」


 そう伝えるとノルンお姉ちゃんは抱きついてきて

「ごめんなさい、お姉ちゃんが悪かった。だから嫌いにならないでぇ~」

 そういって胸の中で泣いているようにシクシクと声をあげていた。

「いや、大丈夫だから! リアを喜ばそうとしたのは分かってるから! だからノルンお姉ちゃんを嫌いになるはずがないじゃん! だから安心してよ! 」


 そういってノルンお姉ちゃんに笑いかけて他のみんなにもお疲れと声をかける。

「それより桜をあと何本か町に植えたいからもう何往復かしてもいい? 」

 みんなに意見を聞くと

「良いですよ」

 みんなからOKが貰えたのでそれから桃の木を3本と桜を20本運んでメインストリートになる部分に桜並木を造る作業に入る。

◆◇◆◇

「先ずは植樹出来る様に穴を掘ろう! そんでそのあと穴に炭とか灰とかを撒いて土と混ぜ合わせて、そこに木を植えていく感じだったと思う」

 みんなで力を合わせて桜の木の本数と同じ24箇所、穴を掘りそこに桜の木を植えていく。

「凄く綺麗…」

 フィーさんが桜並木を見て感嘆をあげていた。


「ライム~、さっきの桃の木はどこに植える? 」

ユキがどこに植えればいいのか聞いてきた。

「フィーさんどこら辺がいいかな? 」

 こういったことはフィーが1番詳しいからフィーに意見を求める。

「う~ん、日差しの良い場所がいいのでリアの診療所とライムさんの家の庭、それにリカリアさんの服飾店の隣、あとは広場に植えましょう」


 植える場所が決まったので、さっきの大きな桃の木は広場に植える事にした。

「よし! これで植樹の作業は終わりかな?

みんなお疲れ~! 」


 フィーはリアと一緒に診療所に、リカリアさんはノルンお姉ちゃんと新しい服のデザインについて喋っている。

「ねぇライム! ちょっと相談があるんだけどいい? 」


 ミソラとユキが俺を呼んでいる。

「どうしたの? 何か問題でもあった? 」

 2人のもとへ駆け寄ると

「いや、特に問題って程の事じゃないけど…。モニカから花見っていう娯楽があるって聞いたんだけど他のみんなは知らないって言うんだけどライムは知ってる? 」


「あぁ、うん、知ってるよ! 俺が住んでた所では桜の花を愛でながらお酒を飲んだり食事をしたりして春の訪れを祝うんだよ。やってみる? 」

 2人に花見をするか聞くと2人は頷いて嬉しそうにみんなを呼びにいった。


「2人から話は聞いたけどやってみたい! 」

 家にいたオリヴィアとリアが話を聞いてはしゃいでいる。

「他のみんなはどうする? 」

 ノルンお姉ちゃん・リカリアさん・フィーさんに聞くとみんなOKだったので俺とミソラとユキとリカリアさんとで明日、街に買い出しに行って明後日花見をすることになった。

◆◇◆◇

「ただいま、モニカいる? 」

 家に戻り、モニカに声をかけると

「うん、こっちにいるよ~!」

 奥から声が聞こえたので奥に行きモニカが座っているソファーの隣に腰をかけて花見をすることを伝える。

「明日ユキとミソラとリカリアさんと一緒に街に買い出しに行って明後日に花見をしようと思うんだけどモニカは平気? 」


 隣にいるモニカに説明するとモニカは俺の腕を掴んで

「勿論だよ♪ 私は何時だってライムの隣にいたいんだから! 」

 そういって肩にもたれかかってきた。

「こちらこそ、今後ともよろしくねモニカ♪ 」

 そういってモニカの髪を梳かす。


「それより、何でモニカは花見を知ってたの? 」

 ふと疑問に思いモニカに聞くとモニカは笑って俺が寝言で言っていたことを教えてくれた。

「そっか、俺そんな寝言を言ってたんだ…」

「うん、言ってたよ」


 隣でモニカはクスクス笑ってる。

「楽しみにしてるからね♪ 頑張ってね♪ 」

 耳元でそう囁かれた。 








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