魔王さまはくそ童貞

箱野郎

プロローグ

 これは“残虐の王”フィル・オーランドの物語だ。



 神によって創造された世界――ラピスラズリ。


 それは南のユーフェミニア、北のドラグガリアというふたつの大陸にわかれていた。


 その風土も。


 その種族も。


 その魔力形態も。


 その文化も。


 その価値観も。



 ふたつの大陸の片方、瘴気満ち溢れるドラグガリアは現在“三王”によって統治されていた。



 惨殺の王。



 暴虐の王。



 冷酷の王。



 混迷極める時代、圧倒的な“力”を持つ三王はその勢力を徐々に拡大していきながら、五百年以上も熾烈な勢力争いを繰り広げていた。


 戦争、虐殺、裏切り、謀略、姦計……ありとあらゆる悲劇が起こった。


 血で血を洗うという言葉では足りないほどの凄惨な光景だった。


 しかし、それがこのドラグガリアという魔大陸の姿だった。


 過去も現在も、そして未来永劫――。


 補足して繰り返す、これはドラグガリア三王のひとり“暴虐の王”フィル・オーランドの覇道を描く伝説――……というわけではない。



 だがまあ、彼の物語であることには間違いないだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る