どこかの誰か知らない人の為に僕等は、いつも戦っている。
弾丸(373弾)
幸福の目
幸福の目 始まりの目合わせ
貴方は、聞いたことがありますか?
何処かの誰かが幸せになると、何処かの誰かが不幸になる。なんて、そんな言葉がちらほらと世界の隅から聞こえる事が増えました。
幸せや不幸は皆、生まれる前から分等に分けられているやら、この言葉は人がどう見るか、その人の見えるもの(せかい)によって見方を変えます。
何処かの誰かが幸せになると、何処かの誰かが不幸になる。
この言葉を貴方はどう受け取りますか?
午前11時半、空には雲が散らばっている晴れ。耳を済ませると、とある大きな建物───学校から大きな声がする。それは、男子や女子全ての声が響いていた。
そこは、創声(そうせい)高等学校。文化系の部活に力を入れており、体育会系の部活は、野球部やサッカー部に軽く力を入れている。だが、全て予選敗退で毎年終わっている。でも最近、サッカー部に動きが見られているらしい。
学科は二つに別れており、普通科と創造科。
声を辿ると、校庭に着いた。ドッチをしている様だ。体操服は、夏は半袖半ズボンで冬は上下ともジャージで構成されているらしいが、今は夏になりそうな梅雨前の時期。皆、ジャージの袖を捲ってドッチに挑んでいる。
よく見ると、その中に1人突っ立てる者が居る事が分かる。
前髪をヘアピンで左にまとめて、前を見やすくしている様だ。下に緩やかに伸びている二本のアホ毛も特徴的な男、一見すれば女に見えなくもない。男の名は、暁烏 才神(あけがらす さいがみ)。暁烏は、ここの高校を今年入ったばかりの新入生。因みに、普通科だ。
暁烏は、ボーッと相手側や味方の外野や内野を見ていた。今は、敵の内野の只、逃げ回っている男子生徒を見つめていた。
(……あー、アイツ、ボール回ってきとらへんやん。)
じっと見つめていると、暁烏の近くに来た瞬間、──────男子生徒がボールを手にする。
「え、」
その男子は、暁烏に向かって行きよいよくボールを投げた。見事、顔面に直撃し、強く打ってしまったらしく鼻血まで出ていた。男子生徒は、後から慌てて暁烏に誤ったが暁烏自体こういうのを気にしたい性格で「良いよ良いよ」「全然」をひたすら繰り返していた。
保健室に着くと、ベットに寝かせられた。
「いってー……」
そうボヤくと、保健室の先生から「また」と暁烏は言われていた。
「怪我が耐えないね?いじめに見えるわ。」
「こういう怪我はされてても可笑しくないっすわ。」
保健室の先生は、少し困った顔をしてティッシュを1箱くれた。その箱を開けると、ティッシュを1度に大量に出し、血が出ている鼻の穴を塞ぐ。塞ぐ時に間違って、血を直の手で触ってしまい人差し指の先についてしまった。
暁烏は、それをまじまじと眺めながら思った事を言った。
「…昔の方が酷かったんよなー。」
骨折、事故、盗難やら神様からの人生いじめと言っていい程の不運だらけの小学校、中学校生活。
「今日は、もう帰る?帰るなら、お家の人呼ぶけど…」
「嫌ー、良いっすわ。このまま、授業受けとかんと早退数が多くなりそうで怖いんやなぁ。」
「…今、早退すると三回目ね。」
「受けなあかん。」
と、先生から貰ったティッシュ箱を持つと立ち上がる。頭が少しクラッとしたりしたが、何とか教室に着く。さっきの体育の時間が、二時間目。あれから、時間が経った為四時間目、今は国総の時間。暁烏は、数学や現社じゃなくて良かったと安堵しながら、教室の後ろ戸を開ける。教室のほぼ大半の目が暁烏に向く。
「暁烏、頭大丈夫か?」
国先(国総の先生)は、ガタイは大きいが性格は見かけによらずに良い人。だから、話を真面目に聞く生徒も多いし、寝る事も少ない。男なのに下ネタを知らないので、そこもウケている。
「せんせー、ちぃーと聞き方おかしない?」
「あ、ああ、そうだな。」
国先は、よく暁烏に絡みに行く為、こんな親しい会話が出来る。国先の方は、少しぎこちない様子だが。
「おい、才神。」
さっきの当ててきた男子生徒が暁烏を自分の席へと招いた。
「授業中や。早うすませてや?」
「大丈夫、それで済まされなくなるから。」
「?」
男子生徒は、口元を軽く抑えながら暁烏の〝下の方〟を指差し言った。
「──────ティッシュ張り付いてるぞ、股間に。」
それに気付かされた暁烏は、物凄い行きよいでティッシュを剥ぎ取った。そのスピードも尋常ではない位速かったので、バカウケした様でまた男子生徒は机を叩きながら笑っていた。
「嫌ー、本当もう馬鹿やからんな、俺。」
と渋々椅子に座りながら、授業を受けていると、先生が突然、問題を出しただが皆、答えたくないか答えがわからないか問題を聞いていないかの三つ。問題を聞いていないに暁烏は入る。
暇だから、暁烏は前の席の猫背の女子生徒の背中を見てるとその女子生徒が唐突に振り向いた。
「…何や?俺に用か?」
「……嫌、その………」
すると、先生が「よし、萩原七海(はぎわらなつみ)解いてみろ」とその女子生徒の名を呼んだ。
「あ、……そのっ、……」
と言いながら、チラッと暁烏の方を見る。
「言ってきーね。分からへんのなら、誰かに聞きん?」
「…うん。」
そう一言だけ言うと、スタスタと黒板に向かった。チョークを持つとスラスラと黒板に答えを綴った。綴り終わると、先生の方を向き首を傾げながらぼそっと呟いた。
「……ど…どうでしょうか?」
先生は、少し驚いていた。何故なら、この女子生徒が書いた答えが明確にはっきりでそれもこの問題の真意をついたような答えだったからだ。
「正解だ。出来るじゃないか。」
少し喜んだ様な表情した先生と女子生徒。何処ぞの青春漫画か、と思う程の光景だが皆さほど驚いてない様子。すると、こそこそした話し声で女子の声が聞こえた。
「そういえば、この前も合ったよね。こういうの。」
「そうそう、体育のサッカーの時だっけ?男子でいっつも見学だった子を仕方なく出したら、凄く上手かったって話。」
「それそれー、何かヤバくない?これで、〝3回目〟って。」
次の瞬間、先生が女子生徒達に「喋るな」と注意した。
(こういえば、さっき女子が話してた奴。結構仲良かったな。今じゃ、サッカー部のレギュラー入り…余り話さなくなったんな。)
暁烏は、ノートに視線を落とすと黒板に書かれた文字を写し始めた。
そして、昼休みになると暁烏はジュースを買いに体育館後ろへと走った。
「…ふーっ、此処は落ち着くわぁ。」
いつも1人を保っている暁烏にとってはとっておきの場所。
1人を保っている、それは別に苛められている訳でもなく。只、暁烏が自己的にそうしているだけ。チョココロネが3つ入った袋を開けると、中から1つ取り、大きく1口食べた。
「あー、チョコはええなー。」
と、二口目で1個平らげる。風が吹く、木々が揺れる。
「……早退したいけど出来へんな。……あーっ、したいわー!」
そう言いつつ、目を擦る暁烏の顔は少しずつ眠気に襲われていた。
暁烏は、その眠気に誘われるように次の授業は寝た。
そして、帰り道。───────それは、起こってしまった。
「……また、寝るか。」
目を泳がせる暁烏。そこに1人のサラリーマンが目に入る。定時より少し早く帰れたのだろう。今、横断歩道を渡ろうとしていた時、サラリーマンと目が合う。すっと視線を逸らすと、次はバスの運転手と目が合う仕方なく俯きながら歩こうとすると、犬と目が合う。
(……目、合いすぎだろ。)
と思っていると、大きな大きな音が聞こえた。それは、運動会で鳴り響くピストルでも花火の音でもない。そう───〝爆発音〟。
「…な、何が……?!」
バスが、爆発をしていた。事故でもなく、只、爆発をしていた。その周りを見ると、さっきのサラリーマンも運転手も犬の飼い主も、1番危ない所の近くにいたのたが全員無事。
暁烏は、目の前の事に頭が追いつかず。後ずさりしていると、背後に人の気配を感じた。
「へぇ、みーつけた。」
そう聞こえて、振り向いた瞬間。何かの反動で俺は仰向けに地面に倒れて行った暁烏。
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