2-6-7 男子たちの挑戦?中1トリオ?

 夕食後に高畑先生から呼び出しを受けた。空調に問題でもあったかのかと思ったが、なにやら様子がおかしい。


「高畑先生、何かありましたか?」

「え~と……抑止剤の利用が増えて、もう在庫がないんだけど手配できるかな?」


 とても言いにくそうに、伝えてきたけど――


「今朝渡したばかりなのに……」

「飲むタイプはまだ有るのよ、不足してるのは注入タイプの方なの」


 もう、怪しいとしか言いようがない。


「それって正しい使い方してます? 絶頂薬として快楽を得る為だけに使ってないですか?」

「そういう娘もいるとは思うけど。ストレスを溜めるより良いと思って、1日1本なら良いかなって考えているのだけど、ダメかな?」


 絶頂薬として先生まで認めやがった! 確かに酒やタバコのような薬物的な中毒性はない。本人の意思次第でどうにでもなる代物だ。協力者がいるなら、別に快楽の為に使うのも俺はありかなとは思う。だって、バイブやオナホ、それを補助するローション類は通販などでも少なからず売れているのだ。


 人間である限り本能に従いみんな性にはどん欲だ。『そんな道具なんか使って』とバカにする人もいるだろうが、そういう人でもオナニーはしている。逆にオナニーすらしたことないという人は、一度専門医に診てもらった方が良いぐらいだ。性欲は子孫繁栄の為に備わった、ないとおかしい本能なのだ。


 実際この世界でも、抑止剤を排卵周期以外の日にも快楽を得るために使用している者も少なくないそうだ。


「う~~~ん、俺はこれ以上は無理ですし、先生の方で男子に協力してもらってください」

「えっ! 私がお願いしないといけないの?」 


「先生がというより、女子一同という風にして男子にお願いした方が良いと思います」

「水谷君のだけは余っているんだけどね。小鳥遊君のが欲しいって娘がね……」


「男として悪い気はしませんが、俺はこれ以上無理です。料理部全員分を一人で賄っているので、今後そっちには回せません」


「「「BOO! BOOOO!」」」


 なぜか聞いてた女子一同からブーイングを浴びせられる。

 男としては喜ぶべきことなのかもしれないが、これ以上はごめんなさいだ! 擦り切れてしまう……。



 男子専用部屋に来て、さっきのことを伝えて協力者を募る。


 既にどこかから情報を得ていたのか、水谷先輩が部屋の隅っこで体育座りの体勢でシクシクやっていた。


 水谷先輩のようになりたくないと、最初殆どの者が拒否していた。だが、自分の今の女子から見た立ち位置を知りたいと思う者もいたようで、この際勇気を出して、自分がどう見られてるか調べようという風な流れになり、最終的に全員参加となったようだ。


 使用者がいる=彼女になってくれる可能性有り? と俺が煽ったせいもあるが、水谷先輩が散々ゴネてくれたおかげかな。『お前らも、どう見られてるかヤレよ! この根性なし共! 男だろ! どうせなら俺のようにやってからウジウジしろ!』と喚き散らしていたのだ。結局、皆も自分のモノを使ってくれる娘がいるのか気になるようだ。


 自分の子種を膣に注入とか、想像しただけで凄まじい背徳感が沸き起こる。幾ら妊娠しないと言っても、自分の子種を受け入れてくれる女の子が、この中にいるのかいないのか、確かに興味があるよな。




 採取用の試験管を大量に渡し、ログハウスに戻る。


「龍馬君モテモテね」


 桜にチクリと小嫌味を言われる。


「俺のモノはもう向こうに流すの断ったんだから怒るなよ」

「べつに怒ってはないのよ。あなたが悪いわけじゃないんだし」


 気持ちは分かるよ……。立場が逆だったら、俺も嫌だしね。





 サウナに入りたかった俺は、ログハウスで入浴することにした。


 湯船で寛いでいたら、ハティがやってきた。


「ミャン!」

『ごしゅじんさま~、ハティもはいる~』


「お! ハティ、ヨシ! 俺が洗ってやるぞ」

『わ~い!』


 尻尾をブンブン振って喜んでいる。ああ、何て可愛いんだ!


「ん、私も洗ってほしい」


 ハティのすぐ後に雅が入ってきた。


「なんだ、雅が連れてきたのか。いいぞ、ハティの後な」


 雅だけだと思っていたら、その後ろから恥ずかしそうに沙希と薫ちゃんが入ってきた。沙希ちゃんは、先日一緒に入ったからともかく……薫ちゃんまで?


「あの、龍馬先輩! 私も一緒に入って良いですか?」

「むしろ薫ちゃんは良いの?」


 同じ中1の仲良し三人組だが、雅と沙希と違って薫ちゃんは完全にアウトなレベルで発育している。


 雅は8歳児にしか見えないので全く問題ない。沙希ちゃんも見た目10歳児ぐらいのちみっこなので、ギリセーフかなってレベルだ。でも、薫ちゃんはダメだ……初めて裸体を見たのだが、穂香や沙織たちと大差ないのだ。


 身長163cm、体重47kg……胸はCカップだと!? ケシカラン! 【詳細鑑定】で見る限り、立派なレディだ……これはもう警察呼ばれちゃうレベルでマズい。


「凄く恥ずかしいです! でも……私もお嫁さんにしてください!」


 ただ、仲良しだから一緒に同伴したって感じじゃなさそうだな。


「雅、結婚とか吹き込んだのお前だな?」

「ん、でも薫も良い娘。この際1人ぐらい増えても大差ない!」


 でも先日、亜姫ちゃんやみどりたちを婚約ではなく、彼女候補として保留にしたばかりだ。ここで、ほいこら了承したら2人がむくれるのは目に見えている。


「薫ちゃん、君はまだ中1だし、慌てて婚約なんかしなくて良いんだよ? 周りに流されちゃダメだ」

「子ども扱いしないでください! もう自分でちゃんと考えられるだけの知識も精神力もあります!」


「13歳って言ったら、まだまだ子供だよ。見た目幾ら成熟してても、周りに流されちゃうお年頃なんだよ?」

「雅は認めて、沙希は先輩自ら『キープだ!』って言ったと聞きました。私だけ先輩の御眼鏡に敵わなかったのですね……グスン」


 あらら、泣いちゃったよ。


「そうじゃない! 先日みどりと亜姫からも結婚してほしいと言ってもらえたのだけど、中学生だから慌てないで、王都に拠点を構えてから、そこでちゃんと俺をもっと良く知ってからにしようって言ったばかりなんだよ。まだ知り合って数週間しか経ってないでしょ? 俺も薫ちゃんの事それほど良く知ってるわけじゃないし、婚約とかの前にもっとお互いを知り合いましょってことなんだ。彼女や恋人関係の前にいきなり婚約っておかしいでしょ?」


「うん。でも、雅や沙希は了承したのですよね?」


 食い下がってくるし、痛いとこを的確についてくる。


「俺も薫ちゃんみたいな可愛い娘の告白は嬉しいから、婚約は良いんだけど……皆の前で発表しないで、とりあえず保留にしてくれない? 王都の拠点で3ケ月暮らして、もう一度薫ちゃんの気持ちを確かめて、今と変わらなければ正式に皆の前で婚約発表しよう?」


「先輩は雅が言ってた吊り橋効果とかを疑っているのですね? 私に魅力がないとか、興味ないとかじゃないのですよね?」


「うん。薫ちゃんは凄く可愛いと思うし、何度も言うけど、正直告白は嬉しいよ。でも、本当に好きな相手が他の娘とこうやってお風呂に入ってるとか、普通なら菜奈のように嫉妬で怒るのが普通だよね? 仲良く三人で入って、ニコニコ笑えるのって本当に好きなのかなって思っちゃうんだよね。俺は特に独占欲とか強いから、雅が大勢の男子の入浴中に水着を着て平気で入ってきた時、ちょっと腹立たしかったくらいなんだ」


「ん、もうしない。ごめんなさい」


 素直に謝る雅は可愛い。


「私も独占欲はありますよ。でも、それは女子の方で抑えるしかないのではないですか? 先輩は1人しかいないのだし、どうしようもないことですよね? 皆、諦めきれないからシェアするための妥協点を探しているのだと思います」


 中1と思えないくらい、しっかりした娘だな。情報溢れる現代社会で育ったんだ。いろんなアプローチで様々な事を学習する場はある。雅も俺よりしっかりしているんじゃないかと思えるほど言動は大人だ。今時の中学生を子供扱いして、下に見ない方が良さそうだな。



「沙希は先日まだ恋か分かんないとか言ってたのに、どうしたんだ? 狩りとかにも積極的に参加してきたよね?」

「龍馬先輩のことが好きなんだろうなって、一度意識してしまったら想いが弾けちゃいました。だから、龍馬先輩について行くならある程度の強さも要るかなって私なりの答えです」


「そっか~、でも戦闘は無理しなくて良いんだよ。自分を守れるだけのそこそこの強さがあれば良いんだからね。最前線に出なくても、家を守るのも良妻の立派な務めだからね。俺には優秀な転移魔法があるから、家にはいつでも帰ってこれるから、無理してついて来て怪我されるより、家を守ってくれた方が嬉しいかな」


「家を守るのも良い奥さんの条件なんですね、分かりました。でも、戦闘もできるようになりたいです」

「分かった。これからも時々参加してもらうようにするね」


「ん、結局薫はどうなるの?」

「婚約はするけど、君たち三人の秘密にしていてもらえるかな。街で落ち着いてから、まだ気持ちが変わらないようなら正式に皆に発表でどうかな?」


「ん、どうせ結婚自体16歳に成らないとできない。薫の気持ちが変わらないなら微々たる誤差」

「今すぐ結論がほしい気持ちはありますが、それで了承します」


「俺の方は余程のことがない限り、気が変わるとかないので安心してね」

「ん、龍馬は浮気したり裏切ったりしない限り、一度受け入れた相手にはちゃんと答えてくれる」


 了承はしてくれたが、なんか不満げな顔だな……。


『……マスター、薫が可哀想です。今、彼女は凄く不安で胸が一杯のようです。気丈に振る舞っていますが、内心三人の中で自分だけ拒否されちゃったと、とても落ち込んで悲しんでいます。亜姫もみどりも、薫ほどではないですが、ショックは大きかったようです。「これまで告白した者は皆婚約したのに、自分たちだけ保留にされたのは、本当は先輩の好みじゃないんだろうねっ。先輩優しいから断れなかったんだろうね」と二人で話し合っていたほどです』


『そうなの? そんなんじゃないのにな』


『……わざわざ恥ずかしいのを我慢して、お風呂で話しに来た薫の精一杯の覚悟を無碍にするのですか?』

『そうか、薫は全裸を見せる覚悟をしてきているんだよな。分かった、情報ありがとうな』


 ナビーは人の気持ちは基本教えないと言ってたのに、今回薫の機微を忠言してきた。つまり薫ちゃんは、裸まで見せて覚悟してきたのに、自分だけ保留にされてかなりショックを受けているってことなんだろう。俺が婚約を保留にしているのは、あまり皆のことを知らないし、後でごめんなさいとか言われるのが嫌で、それを減らすために時間をもらったのだ。


 女の子たちを悲しませるつもりはなかった。彼女たちに全く不満もなく、むしろ好意さえ持っているのに、後で自分が傷つくとか考えるのはもう止めよう。


「薫、やっぱ今ここで婚約だ! 不安がらせてごめんな。お風呂を出たら、他の婚約者たちに認めてもらえるように一緒に報告しに行こう」


「ん! 龍馬かっこいい!」

「龍馬先輩、素敵です!」


 雅と沙希ちゃんが、目をキラキラさせてそう言ってくれている。


「龍馬先輩、嬉しいです! 私、良いお嫁さんになりますね!」


 さっきと違い、花が咲いたような良い笑顔だ。あまり薫のことを知らないとはいえ、可愛くて良い娘なのは分かっているんだ、それだけで十分だな。お見合い結婚なんか、数回デートした程度で結婚するのが普通だ。それと比べたら、寝食を共に2週間ほど暮らして、ある程度のことは見てきているのだ。



 まだ彼女たちは中1だけど、5年も待てば誰もが羨むほどの女の子に成長するだろう。



 俺は彼女たちを大事に見守っていれば良いだけだ。

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