2-3-4 提供者?雅の身体検査?

 雅が丸呑みにされるという心臓が止まるかと思ったほどの事件があったが、その後は特に危険な魔獣も襲ってくることもなく目的の地点まで辿り着いた。


 大きな川辺での野営も今日が最後ということもあって、罠も追加で作ってある。料理部の娘たちが自分で罠を設置してみたいというので任せてみることにする。


「うなぎや川エビ、モクズガニがいるポイントは、あまり流れが速くない緩やかなカーブの辺が多くいるよ。あと水草が生えてたり、大きな岩の周りとかもいいね。それと自分たちが仕掛けた場所はちゃんと覚えておいてね」


「「「はーい!」」」


 2人1組で罠を仕掛けていっている。変な場所に仕掛けてる娘たちもいたが、獲れなくてもそれも勉強になるだろうから良いと思う。明日の朝が楽しみだと、皆の笑顔が眩しい。



 罠を仕掛け終え、料理部の娘たちがモクズガニの塩茹でにするか、味噌汁にするかで会議しているのをぼんやりと聞いていたら、ナビーが声を掛けてきた。


『……マスター、厄介な魔獣に気付かれたようです』

『MAPに反応はないけど?』


『……草原と森の入り口周辺でオークを狩っていた黒狼たちなのですが、マスターたちが森のオークを狩りまくったので、草原に下りてくるオークが激減したため少し腹を空かせているようです』


 ハティの仲間の白狼たちのテリトリー以外は大体狩ってしまっているのだ。オークは魔獣なので、魔素溜まりからまた勝手に生れ出てくるので他の獣が飢えて死ぬことは少ないと考えていたのだが一定期間の間は魔獣の生息域が変わってくるのは仕方がないようだ。


『どうして気付かれたんだ?』

『……オークが少なくなっているので広範囲を索敵中に、獣道に残ったマスターたちの匂いを発見したようです』


『まぁ、100人規模の大移動だし、見つからない方がおかしいよな』

『……ですね。黒狼たちは30匹ほどの群れで匂いを辿って、追尾を始めています。速度から計算すると、早ければ明日の昼ごろには追いつかれますね。遅くても明日の夜には襲ってくるでしょう。本来の狩場から距離があるので、途中でターゲットを変えてくれるといいのですが』


『分かった。確か白狼よりバカだが凶暴性は上なんだよな?』

『……はい、知能は劣るので白狼のような高度な連携はしてこないですが、単独でも怯むことなく特攻してきます。白狼より一回り大きく牙の攻撃威力も上ですね』


『どっちの方が危険なんだ?』

『……そもそもあの森の白狼は人間を襲いません。単体での危険度は黒狼の方が上ですが、群れとなると白狼たちの方が圧倒的に危険です』


 俺は夕飯前に、皆を集めて注意を行う。


「どうも狼の群れに匂いを追われているようです。奴らは30頭ほどの群れで、ハティの群れと対立している黒狼のようです。白狼より一回り体が大きいのですが知能は低く、かなり凶暴だそうです。ですが、白狼と違って連携などのような高度な狩りをしてこないそうなので、単独撃破で倒せるそうです」


「小鳥遊君、いつも思うんだけど、その情報はどこから得ているの?」

「秘密です。俺のオリジナルのスキルからとだけ言っておきましょう。あまり自分の手持ちスキルを公開するのは危険なことですので、深く追求はしないでください」


「自分のステータス公開の危険性は以前にも説明を受けたので十分理解しているのですけど、やはり気になります。それと、新たに排卵周期に入った者が2名増えたようですので、薬をお願いできるかしら? これまで我慢してきてた者も、皆の効果を聞いてやはり欲しいそうなの。飲むタイプ2本と注入タイプ2本いいかしら?」


「分かりました。薬の需要と供給が合わなくなってきたので、他の男子にも提供してもらいますね」


「「「ちょっと待って!」」」


「それって格技場の男子のアレを使って薬を作るってこと?」


 何人かの女子が待ったをかけてきた。

 顔を真っ赤にして聞いてきた女子は、体育館組の中で最初に俺の薬を飲んでくれた人だ。


「そうなりますね。いま現在使ってる薬は全て俺のモノを使っていますが、婚約者たちからちょっと不満の声も上がっています。でも効果が実証れていないのに他の男子に提供させるのもどうかと思ってこれまで声を掛けていませんでしたが、この2日で効果の確認は得たので、男子にも協力を得て本格的に量産に入りたいと思います」


「私はあなたのだからと思って、勇気を出して飲んだの。他の男子のモノなんか飲みたくない。我慢したほうがマシだわ。あ、別にあなたが好きってことじゃないのよ、好意や好感は持っているけどね」


 他の女子からも同じような意見が沢山でた。

 どうも俺を命の恩人としてかなり好意的に思ってくれているようで、中には好きだと告白する者までいたほどだ。気持ちは嬉しいのだが、俺1人で賄える量ではない。


「気持ちは嬉しいのですが、幾ら街に着くまででも、俺1人では賄えませんし、婚約者たちにも申し訳ないですので了承できません。何人男子が協力してくれるか分かりませんが、使う使わないはあなたたちの判断に委ねますので、検討してみてください」


 かなりの大議論になったが、最終的に提供者が判るように表示することになった。

 そのせいもあってか、男子の提供者は渋っている。


「三田村先輩! お願いしますよ!」

「嫌だよ! だって俺のだけ誰も使ってくれなかったとかの事態が起きたら、俺マジで3日ほど寝込むぞ」


 絶対ないと言い切れないのが三田村先輩だ。痛いほどその気持ちは分かる。俺も最初に性欲を我慢するのが辛くても、体育館の女子に俺のモノでできた薬を拒否された時、ちょっとへこんだしな。しかもその時は4人中3人に拒否されたのだ。


「でも1人でも利用者がいたら凄くないですか? 精飲とか恋人でもなかなかないですからね。まして膣内に精子を受け入れるとか、こちらの住人なら普通の行為ですが、俺たちからすれば結婚した女性だけですよね? 多少なり好意がないと安易にできない行為だと思うのですよ」



 結局提供者は3人だけだった。超ノリノリの水谷先輩、渋々ながら俺の説得に応じた三田村先輩、そして彼女が説得してくれて、同じく渋々提供することになった三月先輩だ。


「吉井先輩は彼氏の精液の提供とか良いのですか? うちの婚約者たちはかなり不満なようでしたが」

「正直に言えば嫌なんだけどね。でも、あなただけに提供させて、自分たちは知らん顔とかしたくないの。それに三月君の良い匂いだからそんなに皆に嫌がられたりはしないと思うんだ」


「いまのは既に経験済みってのを何気にみんなの前で公開しちゃいましたね」


「あ! 私ったら! 聞かなかったことにして!」

「「「イヤ無理でしょ! 三月! 羨ましいぞ~! コノヤロー!」」」


 三月先輩は男子一同からもみくちゃにされている。

 とりあえずこの3人に空の試験管を5本渡した。できるだけ頑張って出してくれという意図を込めての5本だ。



「それで、狼はどうするのですか?」

「隊列を少し変えます。来るのが分かってるので最前列を男子たちに任せて、最後尾に主力を置いて移動しましょう。襲撃時は結界を張るので中央に集まるようにして、後は主力組で各個撃破です。必ず5人1組で攻撃してください」


 昼まではこれまで通りで、黒狼が近くにきたら話し合った戦闘隊形に変えることにした。


「それと、今晩の夕飯にモクズガニが味噌汁として1匹ずつ付くそうです。昨日のように匂いが出ないように、ログハウス内で調理中ですのでもう少しお待ちください。その間に男子の入浴時間としますが、男子は良いですか?」


「「「ああ、宜しく頼む」」」


 お風呂を男子に提供して、入浴後は一度湯を抜き【クリーン】で浄化したあと再度湯を張る。面倒だが、男子が使った後の湯は絶対嫌だという者が多かったので仕方がない。文句があるなら入るなと言いたいところだが、女子たちのお風呂への執着は恐ろしいものを感じるので、そういう発言は絶対禁句だ。


 俺は外の大浴場に行かずにログハウスの浴場でいま入っている。理由は雅だ。今日の食べられた雅のことが頭から離れず、雅を抱っこしてお風呂に入っているところだ。


「雅が喰われたと思って、一瞬心臓が止まったぞ」

「ん、油断してた……凄く動きも早かった」


「もう、痛いところはないか?」

「ん、どこも痛くない。大丈夫」


 雅はそういうが全身くまなくチェックした。


「ん……龍馬、そんなに隅々見られたら恥ずかしい」

「よし、大丈夫のようだな。もう一度抱っこだ! 雅はスベスベしてて気持ちいいな」


 こちらの世界では無駄毛というモノは一切ない。腕や足、背中などにも産毛すら生えていないのだ。勿論脇や陰毛も一切ない。俺の場合髭もないので凄く楽でいい。


 本来毛というものは、毛穴が老廃物で詰まらないようにと毛が伸びて清潔を保つものなのだが、毛穴が詰まって吹き出物だらけになるということもないみたいだ。


 無駄毛がないので、更にスベスベ感が倍増しているのだ。異世界仕様素晴らしい。


 雅も俺にくっ付かれて体を撫で回されているのに、嫌な顔一つしない。むしろ体を摺り寄せてくるほどだ。雅、可愛い。


「ん、龍馬。今日美弥ちゃんとエッチするの?」


 あ、そうだった。

 そういえば美弥ちゃん先生、夕方ちょっと辛そうにしていたな。


「そうだね。処女を散らせば随分楽になるそうだから、できるだけ早い方が良いね」

「ん、分かってる。でも先生が羨ましい……」


「雅も何時か俺が頂く。今はまだ雅が未成熟だから仕方ないよ。ほら、こうしただけでも痛いでしょ?」


 雅の膨らみかけのおっぱいを優しく揉んでみた。


「ん! めっちゃ痛い! でも、ちょっと気持ちがいいかも」

「成長中で芯が入ったみたいになってるからそれが痛いんだよ。でも、この段階で刺激を与えるのは成長の促進に繋がるって何かの本に書いてたかな? 都市伝説かもしれないけどね」


「ん、桜に教えてもらったので大丈夫! きっと私も大きくなる!」


 桜に何を教えてもらったのか、むっちゃ気になる!


「ちなみに何を教えてもらったのかな?」

「ん、乳首は引っ張っちゃダメとか?」


「何で引っ張っちゃダメなんだ?」

「ん、何時も引っ張ってると伸びて変な形になるんだって。黒ずんで色素も濃くなるって言ってた」


 成程、桜の美乳は意識してちゃんと大事に成長育成されたモノなんだな。


「桜のおっぱいはとっても綺麗だから、雅も大事に育成するんだぞ」

「ん、頑張る!」


 可愛いやつめ~!


 俺の上級回復魔法で怪我は治ってると分かってても、ちゃんと確認するまでは安心できなかったのだ。

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