2-2-6 光源氏計画?ズルい龍馬?
婚約者たちと一緒に嬉し恥かし入浴イベントを満喫していたら、柴崎先輩と大影先輩が何を勘違いしたのかビキニを着てやってきた。
俺のからかうような挑発にのってしまい、水着を脱ぎ捨て素っ裸になってお風呂に入ってきたのだが、嫁たちに睨まれて小さくなっている。
「あの? まさかここにいる娘たち、全員小鳥遊君の婚約者なの?」
「「「はい!」」」
「「ええっー!?」」
「何か問題でも?」
「城崎さん! 問題だらけでしょ! 大体その娘たちどうみても小学生じゃない! 犯罪でしょ!」
柴崎先輩は、雅・沙希・フィリア・菜奈の順で指をさして指摘する……痛いところを的確に突いてくるな。ちなみに指差しの時にプルンプルン揺れるので俺の目はそっちに釘づけだ……柴崎先輩ごちです!
俺の視線を敏感に感じ取ったのか、顔を赤らめ胸を両手で隠して俺に背を向けた。
「ん! 龍馬イヤらしい!」
「兄様は胸がデカければ誰でも良いのですか! あれほど犬猿の仲でしたのに!」
「別に俺は二人とも嫌ってはいないぞ? 毎回突っかかってくるけど、彼女たちの言い分もそれなりに理解しているつもりだ。ただズレた言いがかりが多いのでウザくは感じてるけどな。他の皆が内心思っていても、委縮して言えないことを代弁するように言ってるのは理解している」
「「本当!?」」
「まぁ、理解はしててもウザいのには変わりありませんけどね」
「そんなことより早く出て行ってください! そんなイヤらしい体で兄様を誘惑しないでください!」
「イヤらしいって……でも私も悪かったわ。城崎さん以外の人が婚約しているとか知らなかったの、ごめんなさい。皆に謝るわ」
「あ、出ていく前に先生あなたたち二人に聞きたいのだけど、ストレートに聞くわね。龍馬君のことが好きなのかな?」
柴崎先輩は胸を隠したまま黙っているが、大影先輩は問いに答えた。
「ええ好きよ。でもちょっと嫌われてしまっているようなので、今は告白とかはしません。それに、他の男にレイプされた穢れた体の女なんか嫌なんだよね?」
恐る恐る伺うように聞いてきた。
柴崎先輩も背中を向けていたのを振り返って俺の返答を待っているようだ。
「それは一般論的な判断からしている質問ですか? それとも井口さんの件で何か誤解してそう思っているのですか?」
「両方からの判断だけど、井口さんの件の誤解と言うのが気になるわ?」
「その件は双方納得してもう解決しているので、俺の方から何も言うことはないです。オークや他の男にレイプされた女子を俺が受け入れるか受け入れないかの質問でしたら、全然問題なく愛せます。俺にとって大事なのは外面的な事ではなく内面的な事が重要なのです。現にこの中にもオーク被害者はいます。体の傷はヒールで簡単に癒せても、その時の恐怖はそう簡単に癒せないでしょうが、いつか俺が癒して見せます」
「龍馬先輩、大好きです! もうとっくに先輩に癒されちゃってますのでご心配なく。私はどっちかと言うと精神的より肉体的な方を癒してほしいです。穂香だけズルイです!」
そう言いながら沙織ちゃんは俺に甘えるように抱き着いてきた。沙織ちゃん、色白で、穂香同様細身でスタイル良いよね!
「沙織離れなさいよ! 協定違反よ! 16歳になるまでは排卵周期日以外の接触は禁止って決まったでしょ!」
親友の穂香が割って入ってきた。
「何それ? 俺の知らないところでそんな話になっているの? うーん、まぁその方が助かるか。皆、魅力的だから、ところ構わずこうやって過度のスキンシップを取られても理性が持たないからね」
「えへへ、今回は先輩が嬉しいことを言うからです。キスしてください」
勿論即効でしちゃいましたよ。
折角沙織ちゃんが勇気を出しておねだりしてきたんだ、恥をかかせちゃ悪いしね。
「「「あああっ!」」」
ちょっとだけ大人なキスをしてあげた。
「小鳥遊君……その娘中学生よね?」
「ええ、沙織ちゃんは2年生だね。柴崎先輩の言いたいことは分かりますが、当人同士が好き合ってることなので、口出しはしないでください。議論する気もありません。『ロリコン!』と貶すのも先輩の自由です。否定もしないですしね。たった数年待つだけで、ここの少女たちは男の誰もが羨む女性に変貌するでしょう。誰一人他の男に渡す気はありません。早期から唾をつけた俺の一人勝ちです! 5年後に笑ってるのは間違いなく俺の方です! 別にいまロリコンと罵られても平気です。5年後に俺を笑ってた奴らの前でわざとイチャついてやるので、超美少女たちに囲まれて幸せな俺に嫉妬すればいい! ヒャハハ!」
「「「うわ~~、私たちの前でそれ言っちゃうんだ」」」
「俺の光源氏計画は完璧だ! 誰にも邪魔はさせん!」
「光源氏計画? 何よそれ?」
どうやら大影先輩には通じなかったようだ。
桜を見たら呆れ顔をしている。流石桜、話が通じる人といるのは楽しい!
「まさかあなたがそんなこと考えていたとわね……」
「先生もちょっと呆れちゃいました……」
「「どういうこと?」」
柴崎先輩も分からないのか? 美弥ちゃんは知ってたか、博識だね。
「光源氏は紫式部が書いた古典文学よ。その中の主人公が、美しい幼女を養女にして自分の理想の女性になるように教育して育てて将来娶ったというお話があるのよ。確かその主人公もハーレムだったわね。つまり、いまのこの現状がまさにそれって言いたいのでしょ?」
「そうだ! 雅も沙希も誰にも渡さん! 今は幼女でもいずれはきっと絶世の美女になる! 間違いない! あ、沙希ちゃん、気にしなくていいからね。勝手に俺が言ってるだけだから。でも頑張って沙希ちゃんにも好きになってもらえるように努力はするよ」
「はい。この先輩を好きな気持ちが恋なのかどうか分かる時まで、頑張って私を惚れさせてみせてください」
「ん、私は最初から逃がすつもりはない。龍馬には約束を守って結婚してもらう」
呆れ顔で聞いてた柴崎先輩が、真剣な顔になって話しかけてきた。
「あの、小鳥遊君。オークに穢されたこととかは全く気にしないのね? それで、私が好きって告白したとして少しは可能性あるのかな?」
「ん、ズルい聞き方。沙織は皆の前でフラれるの覚悟でちゃんと龍馬に告白した。かっこ良かった! 桜もそう!」
「そういえば菜奈は別として、告白は沙織ちゃんが一番最初だったね。凄いよな、俺なんか好きになった娘がいても勇気が出せずに、今まで一度も告白できてないよ。でもそのおかげでこんな可愛い娘たちに囲まれているんだけどね」
「そうね、仮定の話にして逃げ道を作ったズルい聞き方だったわ。いまにもキングに撲殺されると思い、私が生を諦めたあの時、意識が朦朧としながら見た空から舞い降りたあなたの姿がとても素敵だったの。あの時あなたに恋したのだと思う。あなたのことが気になってしょうがなかったの……おかげでちょっと暴走して嫌われてしまったみたいだけど。やっぱりあなたが好き! もう一度チャンスをください! このままウザい女と思われたまま片想いでいたくないの!」
「私もそうよ! 食堂でオークに襲われてた時や、体育館であいつらに犯されて恐怖に震えていた時に、美咲と二人で颯爽と現れてあっという間に倒して助けてくれたわ。好きになって当然でしょ! 私にもチャンスを頂戴!」
大影先輩、食堂にもいたのか……つくづく運のない人だな。
「二人はハーレムでも良いと思っているのですか?」
「「嫌よ!」」
即答で嫌と言い放ったが、すぐに二人は修正してきた。
「でも、皆もそうなのでしょ? 嫌なのだけど、仕方ない」
「私も嫌なのだけど、じゃあ諦めろと言われてもそれはそれで諦めきれないというか……」
はぁ、ナビーの言うように良い娘たちなんだろうけど、フィリアのことを考えたらこの二人は爆弾になりかねない。それに、100人いる人の中でも平気で発言するくらいだ、間違いなく気は強い。同じように気の強い桜たちとも衝突しかねない。
「気持ちは嬉しいのですが、俺はいまここにいる娘たちで手一杯です。変に期待を持たせるのもなんですし、ごめんなさい」
「待つのじゃ龍馬よ。其方、妾のことを考えておっただろう? それはあまりにもこの娘らに申し訳ない。確かに最初の言いがかりの件があるので、この二人には悪い心証がついてしまっているが、チャンスぐらいはあげてやってくれぬかのぅ」
「フィリアのこともそうだけど、この気の強い二人は、桜たちといつかぶつかって喧嘩するよ?」
「あら? 私の心配? ズレた言いがかりなら私は言い負かされたりしないわよ」
本人たちを前にしてだが、嫁たちと話し合った結果、今この場での即フリはなしになった。
猛反対したのは菜奈と未来ぐらいで、同じように命を助けられた沙織と穂香は気持ちは分かるから俺の判断に任せるそうだ。
桜はどっちかと言えば反対派、美弥ちゃん、フィリアは容認派。雅と沙希は無関心派といった感じだ。
未来ちゃんは意外だったが、やはり最初の心証が悪すぎたようで、トラブルの元は事が起こる前に避けてほしいそうだ。
「というわけで、先輩たち二人はもう少し様子見したいです。嫁の意見を優先してあなたの気持ちはどうなの? と問われれば、フルのは勿体ないと思っているのが本音です。二人とも魅力的な女性です。かと言ってべったりされるといまは迷惑なので、適度な距離感でお願いします。先輩たちモテるでしょうに、他を探す気はないのですか?」
「「ないわ」」
これも即答だ。
命を助けられたという吊り橋効果もありそうだし、もう少し様子を見てほしいと言うならそうさせてもらおう。先輩たちはかなり魅力的な女性だ。突っかかってきてたのも、皆の声を代弁していたようなものだしね。でも、口は災いの元ともいう。柴崎先輩はともかく、大影先輩には注意がいりそうだ。
「ゆっくり長湯するために、温めにしてありましたがいい加減のぼせてきたので纏めます。告白の返事はもうしばらく待ってください。ズルくて失礼な言い方ですが、即フルのは勿体ないぐらい先輩たちは魅力的です。正直俺には高嶺の花という気もします。でも、不和を招きそうな気もするので、すぐ受け入れる気にもなりません。俺と言うより嫁たちと親交を深めて受け入れてもらってください」
「え? あなたじゃなくここの娘たちなの?」
「俺的には先輩たちは魅力的な女性です。でも、最初の印象からして嫁たちと揉めそうな気もするのです。俺はどっちか選べと言われたら迷いなく今ここにいる娘たちを取ります。なので、嫁たちと仲良くなって受け入れてもらってください。嫁を増やすにあたっての彼女たちとの約束事でもあるので、それが絶対条件です」
「う~ん、あなたじゃなく、他の女子に許可をもらえってのがちょっと納得できないけど……肝心のあなたの気持ちはどうなのかしら?」
「俺はハーレム案を受け入れた時に、できるだけ皆を幸せにしてあげようと考えました。誰か一人を選んで、選ばれなかった娘が失恋で傷心するくらいなら、俺が頑張って全員幸せにしてあげようと思ったからです。でも、俺にも好みというものがあるので、やはり見た目や内面的なものも考慮させていただきます。先輩たちは見た目はメッチャ好みです。でも内面的なことまではまだ分からないので、答えを出すのに少し時間がほしいです。それと、ハーレムに際して、嫁たちの許可がないと受け入れないという約束をしていますので、みんなから認めてもらってください」
「分かったわ。尻に敷かれてるようでなんかあれだけど、言いたいことは理解できるわ。可能性がないより良いので、頑張ってみます。皆さんよろしくね」
柴崎先輩が先に皆に頭を下げた。
う~ん、中学生相手でもそういう謙虚さはあるんだよな。
「私も皆に受け入れられるように努力します! みんな宜しくね」
俺的に二人に好意はあるが、暫く様子をみて、嫁たちが受け入れOKなら受け入れるということになった。俺が二人に好意があると言った時には、どんなに気の多いやつだとかちょっと嫁たちに責められてしまったが、彼女たちも魅力的なのだからしょうがないと思う。
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お読みくださりありがとうございます。
読者様の大多数の方がこの二人に対してあまり良いイメージはないみたいですが、書いてるうちにこうなっちゃいました。
どうも作者はこの二人をなんだかんだ言いつつも気に入っていたようです。
扱いやすい(書きやすい)と言い換えた方が良いのかな。
ここで捨てるのは惜しいので保留にしましたw
今後どういう展開になるかは未定ですが、納得のいくような落ち着きどころを模索していきたいと思っています。
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