閑話556・『うでえらび』

利き腕は右手が多い、なので右手の方が発達している。


なので右手の方が美味しいので最近は右手だけ食べて逃がしている。


また右手が生えたら食べれる。


『生えないと思う』


「んなぁ?!」


『無駄な行動』


「……今まで何匹逃がしたっけ」


『数え切れないぐらい』


「畜生」


『畜生はこっちだよねェ』


千切った右腕を食べながら溜息を吐き出す、折角良い案だと思ったのに。


残念だぜ、森は今日も静か。


「右腕だけじゃなく全部食べればよかった」


『そりゃそうだよォ』


「もっと早めに言ってくれ、もぐもぐ」


『最近、片腕のエルフ達が変な団体立ち上がったって風のうわさで――――』


「もぐもぐもぐ」


『何でもエルフを食べるシスターを祭ってるんだって』


「もぐもぐもぐ」


『ねえ』


「もぐもぐもぐ」


『………』


「もぐもぐもぐ、そいつは……不思議だな」


『あれぇ?!』


「何を考えているのかさっぱりだぜ、わけわからんぜ」


『こ、この子はっ』


「あ」


『―――――――――――』


「右腕ばかり余ってるかも、お得だぜ」


『おバカっ』


なんか叱られた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る