カナタ

おイモ

僕は今日君の夢を見た。

夜も明けて、皆が動き始めて、僕がまだ動かない時間。僕が動く時間はない。


僕は昔君が好きだった。君は遠くて、僕は近づけなくて、皆近づいた。

君は僕に身の程を教えてくれる大事な人だったし、僕の好きな人だった。


僕は疲れた。疲れていた。

真っ暗な未来に向かってひたすら考えた。

皆僕によく考えろと言った。まるで僕が何も考えてないみたいに。

僕は何も考えてないのかもしれない。

頭の中で作り上げる一つ一つはただの妄想の塊で、それが僕にとって意味のなすものであろうと皆にとってそうではないのかもしれない。


冷たい血が管を流れて、僕は何を学んだんだろう。

僕は何を得たんだろう。何がしたいんだろう。何をすればいいんだろう。


なんでカナタはここにいないんだろう。君さえいたらもうそれでいいのに。


カナタは僕が好きで、それだけで僕は十分だった。


僕はカナタに会いたいけど会う術もなくて探すこともままならなくて。君はそれでいいなんて言うけれど。


皆僕に考えろと言った。カナタにどうやって会えるんだろう。


夢を見ていた。血液に羊をたくさん詰め込んでやっと見た夢。


これから大好きになるソファに君と二人で腰掛けていた。

寄り添って僕を温めてくれた。髪を撫でて少し引っ張ってぐちゃくちゃにしてくれた。

耳元でずっと囁いてくれた。大丈夫。大丈夫。何度も何度も。


何度も何度も囁いて僕は大丈夫。大丈夫。

大丈夫な僕はソファになって君をぐちゃぐちゃにしてくれて寄り添った。


目覚めて僕は大丈夫じゃないから君を探しに行かなくちゃ。

皆が言う通り考えて考えて考えて。


カナタは僕で、僕はカナタで、カナタは誰なんだろう。


早く楽になりたいな。

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