あなたなしでは【短編】

ジェリージュンジュン


今の私は、あなたなしでは生きられない。



私には、どうしてもあなたが必要なの。




あぁ。


どうして、私はこんなにもあなたを欲してしまうのだろう。


気づいた時には、あなたはいつも私の側にいた。



時にはやさしく微笑みかけてくれたり――


時には抱きしめてくれたり――


時には涙をふいてくれたり――





私が望むことは、なんだってしてくれた。





――朝。




私は朝が早い。


『早く起きて』とおねだりする私に、嫌な顔一つせず、あなたはニッコリ微笑んでくれる。


あなたは料理が上手。


いつも、簡単に素早く作ってくれる。


今日の朝食は、クリームチーズリゾット。


私の好きな物を、あなたはちゃんと覚えてくれている。


私の口についたご飯粒を、あなたは笑いながら自分の口に運ぶ。




私は朝が好き。


太陽が微笑む晴れた日も、


グレーの雲が涙を流す雨の日も、



私は朝が大好きだ。



あなたがいるから大好きだ。



おはよう。


今日も楽しい朝が来た。


楽しい楽しい朝が来た。


そう言って、微笑むあなたが側にいる。




だから、私は朝が好き。


私は、朝が大好きだ。



でも、これだけは分かっている。




生きられない



あなたなしでは生きられない



どんなに素晴らしい朝が来ても




今の私は、あなたなしでは生きられない





――昼。




私は昼が大好きだ。



車に乗って、あなたとお出かけ。


会話なんかなくてもいい。


色んな景色を眺めながら、あなたと2人で同じ空間を共有していることに私はすごく満足する。



時には、眠ることもある。


でも、眩しい日差しに起こされたり、


激しい雨音で目を覚ますこともある。



でも、あなたが側にいる。



『楽しいよ』


『きみと一緒にいると楽しいよ』


そう言って、微笑むあなたが側にいる。



あなたと素敵な時間を分かち合える、


そんな午後の一時が、


大事な大事な宝物。



フワフワ泳ぐ白い雲。


チュンチュンじゃれあう小鳥たち。


そして、あなたが側にいる。



だから、私は昼が好き。


私は昼が大好きだ。



でも、これだけは分かっている。


そんなお昼も、あなたがいないと意味がない。




生きられない



もう、今の私は生きられない




あなたなしでは、生きられない





――夜。




あれは、一緒にベッドで寝ていた時。


夜中に眠れなくなって、ボーッと天井を見上げていた時。


あなたは『大丈夫だよ、ずっと側にいるから』と言って私を抱きしめてくれた。




恐くない


夜の暗闇も


あなたと一緒なら


私は、何も恐くない




さあ、腕の中でゆっくりお休み。


朝まで、きみの隣にいるから。


素晴らしい夢の世界に行こうじゃないか。



そう言って、微笑むあなたが側にいる。



だから、私は夜が好き。


私は、夜が大好きだ。




月が隠れた悲しい夜も、


星たちのダンスが見えない寂しい夜も、




あなたが側にいるのなら、


私の側にいるのなら、




私は、夜が大好きだ。


すごくすごく大好きだ。



でも、これだけは分かっている。





生きられない。


あなたなしでは生きられない。





今の私は




あなたなしでは生きられない





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