――春。



私は、1年ぶりに淡いピンクの衣装を身にまとった桜の森を眺めていた。

満開になった桜の森は、あの時、彼と見上げた姿をそっくりそのまま再現してくれていた。


やっぱり、満開になった桜の森を見上げると、少しずつ、彼との思い出が蘇ってくる。

でも、あなたはいない。

ここにあなたはいない。

だから、私は余計に寂しさが押し寄せてくる。

満開になった桜の森を見るたびに、花びらが風に吹かれて、私の目の前にヒラヒラと落ちてくるのを見るたびに、


もう、待たない、

もう、待たないと決めたのに、


私は、切なくて悲しくて胸が押し潰されそうになる。



あなたが結婚するって聞いてから、私は何度泣いただろう。

悲しくて悲しくて、何度も何度も泣いていた。


しかし、そんなある日。



――奇跡が起こった。



彼が、私の元に帰ってきた。

嘘じゃなかった。

エイプリルフールに言ってくれた、あの時の約束は嘘じゃなかった。




桜の森の満開の下で、また逢いましょう――――




あの言葉は嘘じゃなかった。


私は、彼の姿を見た瞬間に、おもいっきり飛びついていた。

彼は、びっくりしただろうな。

でもいいんだ。

私は、嬉しくて嬉しくてたまらないんだ。

彼が、全てを捨てて、ここに戻ってきてくれたから。


華やかな世界で活躍することも、

名声を得ることも、

決まっていた結婚相手も、

なにもかも全て捨てて、ここに戻ってきてくれたから。


私たちは、もう離れることはなかった。

同居人とのシェアリングも解消し、私は今、彼と2人で住んでいる。

そして、来年には赤ちゃんも生まれる予定。



次の春。


私たちは、3人で見るんだ。



満開になった桜の森を


3人寄り添って仲良く眺めるんだ




桜の森の満開の下


私は、あなたに再会しました




もう離れない


2度とあなたと離れない



あなたとずっと恋をする


心に強く誓います





強く強く、誓います






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