いつか、桜の森で。

ジェリージュンジュン




――5月。



私は、すっかり緑色になった桜の木を見上げていた。



またいつか、桜の森が満開になったら逢いましょう

桜の森の満開の下

必ず、きみに逢いにくるから



彼は、私にそう言ってくれた。

それが、最後の言葉。

その言葉を置き土産に、遠い遠い都会へと旅立ってしまった。


それは1ヶ月前。

4月1日のこと。



ねえ、あの約束は本当なの?

私たちは、また逢うことができるの?



私は、やっぱり信じきれないんだ。

だって、その日は、エイプリルフール。

嘘を言っても許される日。


ううん。

分かってるよ。

あなたが、嘘を言っていないことぐらい。

でも、それはあなたの願望で、もう叶うことがない約束。

だから、私はやっぱり悲しくなっちゃうんだ。


でもね、私は頑張るよ。

あなたに逢えると信じて、毎日を精一杯生きるからね。


だから、

だからいつかもう一度、




桜の森の満開の下で



私と逢ってください




私に逢いに来てください






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