お姫様と私

綾乃こずえ

プロローグ

どうしてこんなことになったのだろうか。

私はボサボサの髪とパンツに乗り上げている腹を交互に掻きながら昨日のことを思い出そうとしていた。

生憎昨日は、というよりいつものことだが飲みすぎて全く記憶がない。友達が急に顔を貸せと言われて、いつもの居酒屋に行ったらめっちゃ囃し立てられて…

そうだ。昨日は私の25回目の誕生日だった。

それで久々に朝まで飲んで飲んで飲みまくって、帰ろうとなったら不良に絡まれて、いつものように撃退してそれで……

それで………

「ご気分はいかがですか、英莉様?」

後ろを振り返るとベージュの高価なワンピースを着た女性が正座をしてこちらを見上げている。

……誰?

いや本当は誰だか分かっているのだが、何故こんな人が私の部屋に、てか何故私の名前を知っているのだろうか。昨日、おかしな薬でも飲んで変な夢にうなされているのだろうか。

「もしかして…これが噂にいう…飲みすぎて記憶がないというものですか?だとしたら私はまた新たな発見をしたみたいです!」

何が新たな発見だ。こっちは二日酔いも相まってこの状況が全然理解できてない。だって…

だって、私の目の前で普段誰にだってあることをさもコロンブスが大陸を発見した時のように目をキラキラさせながら私を見上げているその女性は……

天皇陛下のおてんば娘、つまり日本のお姫様だったからである。

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