金を守るにも金が必要っぽい



きれいに整備された石畳の道を、俺は少し憂鬱な気分で歩いていた。


先程ギルドで貰った革袋を腰に装着し外壁の門に向かっているのだが、やはりあの呪いのことが頭から離れない。

なんとかしたいとは思うのだけど呪いを解除することは難しいと思うんだよ。

そこら辺のやつにつけられた呪いならともかく神につけられた呪いだからね……。


なにかうまい抜け道がないだろうか。

裏技的な。

門に着くと昨日の兵士のおっさんがいた。


「どうしたんだそんな暗い顔をして、なんかあったのか?」


さっきまで呪いについて考えていたので表情に出てたらしい。

ダメ元でこのおっさんに何かいい対処法がないか聞いてみるか。


「もし仮にですよ例えばの話しです。

一日の終わりに所持金の四割が失われる呪いをつけられたとします。

毎日四割ずつ所持金が失われるのですから当然お金はなかなか貯まりません。

何かいい対処法とかありませんか?」


「例えばの話しっていうわりには随分と具体的だな。

そうだな、俺がその呪いを受けたとしたらまず奴隷を買うかな。」


奴隷?


「なぜ奴隷を買うんですか?」


「自分の所持金が失われるんだろ。

なら、自分の所持金を人に預ければいいんじゃないか?

でも、適当なやつに預けるってのは危ないから奴隷を買ってその奴隷に預ける。

これなら金は失われないんじゃないか?」


なるほどそれで本当に呪いを防げるかはわからないが、確かにやってみる価値はあるな。

このおっさんなかなか頭いいじゃないか。


「その方法なら金が失われずに済むかもしれませんね。

その奴隷というのはいくらぐらいするんですか?」


「んー、金貨で三十枚から四十とかだった気がするな。

今日は身分証は持ってきたのか?」


そう言われたのでズボンのポケットからギルドで発行したカードを渡す。


「おっ、冒険者登録してきたのか。

てことは今日は討伐依頼か?」


「はい。

今日はゴブリンの討伐依頼を受けてきました。」


「そうか、草原のあたりは弱い魔物しかいないけど気をつけろよ。

後、森は強い魔物がいるから強くなってから入れよ。」


「はい。

忠告ありがとうございます。では、行ってきます。」


そう言って俺は草原に向かった。

おっさんの奴隷を買って金を預けるという案はやってみたいのだが奴隷の金額がなぁ。


奴隷は金貨三十枚か。

高いな……。

草原の奥には森があるのだがおっさんによるとかなり強い魔物がでるらしい。


俺は死なないんだし草原で軽くゴブリンを狩ってから森に入ろうと思う。

ゴブリンの群れを見つけたのでアイテムボックスから大鎌を出し、ゴブリンの首を落としていく。

おっ、レベルが上がったみたいだ。



名前ブラッド

レベル9

HP94

MP∞

攻撃54

防御51

魔防46

魔攻61

スキル

【格闘】レベル3

【全属性魔法】レベル10

固有スキル

【不死】

【不老】

【死神の魔眼】

【再生】

呪い

【マネーロスト】



HPがそろそろ三桁になりそうだ。

とはいっても俺にはHPが1だろうと100だろうと変わらないけどね。

今ステータスを見て思い出したんだけど俺って魔眼使えるんだった。


どんな能力なのかな。

説明が見たいと念じると魔眼の効果が表示された。


【死神の魔眼】……視界に写した生物を殺すことができる。

眼に魔力を集め対象を殺したいと念じることで発動。


なるほど、かなりチートだな。

これはどうしようもない時だけ使おう。

人前では絶対に使わないようにしなくては。


あまり目立ちたくないしな。

とりあえず試してみるか。

ゴブリンの右耳を大鎌で切り落とし胸を切り裂き魔石を取っていく。


そして切り落とした耳と魔石を革袋に入れていく。

作業が終わり魔眼を試すためゴブリンを探していると、近くにまたゴブリンの群れが見つかった。


さて、試すか。

目に魔力を集めてっと。

心のなかで死ねと念じる。


死ね。

ゴブリン死ね。

すると先頭に立っていたゴブリンが倒れた。


起き上がってくる様子はないので成功したようだ。

ゴブリンは後、二十体程いる。

せっかくだから魔眼の練習もかねて全て魔眼で殺そう。


再び眼に魔力を集め心の中で死ねと念じる。

死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。

全部で二十一体いたようで二十一回死ねと念じるとゴブリン達は全滅した。


魔眼は便利だが敵の数が多いと何回も死ねと心の中で念じないといけないのは精神的にキツイな。

でもこれでやっと自分のスキルを全て確認することができた。

これからは人がいないところでは深紅の大鎌を使い魔法もガンガン使う感じにして、人前では普通の武器を使い魔法余り使わないって感じでやっていこう。


群れを全滅させたのでそれなりの経験値が入ったらしくまたレベルアップしていた。



名前ブラッド

レベル11

HP107

MP∞

攻撃63

防御60

魔防54

魔攻74

スキル

【格闘】レベル3

【全属性魔法】レベル10

固有スキル

【不死】

【不老】

【死神の魔眼】

【再生】

呪い

【マネーロスト】



レベルはついに二桁になりHPは三桁になっていた。

これなら森に入っても大丈夫だろう。

大鎌だけで勝てそうにない魔物が出てきても魔眼があるしな。


そんな甘い考えで俺は森へと入っていった。

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