第17話 関西弁が変とか言わないで
再び右腕で左腕の小手をこすって炎を起こすゾルーガ。
「行くで〜‼︎」
「来い! ゾウアザラシの……」
「もうええっちゅうねん‼︎」
炎をまとった右腕でブレンに殴りかかるゾルーガ。
それを、居合の構えで迎え撃つブレン。
ゾルーガがブレンの刀の間合いに入った瞬間斬りつけるブレン。
「おっとおっ‼︎」
その剣を両腕の小手でガードするゾルーガ。
「危ない危ない。なるほど、今のがあんたの間合いっちゅう訳やな⁉︎ でももう見切ったで⁉︎」
ブレンの斬撃をいきなりガードしたゾルーガに驚くメルク。
(ユーキさんが何度も食らってようやく見切ったブレン様の居合を初撃で防いだ⁉︎ さすがにナンバー6ともなると手強い。でもブレン様もこれで終わりじゃない!)
「一撃だけで見切っただと? ハッタリを言うな! 雑炊運河!」
「まだそのパターン続いとんのかっ⁉︎ 何や一瞬美味そう思たけど、冷静に考えたら気持ち悪いわっ‼︎」
(ブレン様、もしかして初撃を防がれたのは、名前ネタを考える事に気を取られてたからじゃ……)
「ハッタリやないゆ〜とこ見せたるわっ! もっかい来てみぃ! 完璧に防いだるわ!」
大見得を切り、また左腕の小手をこすって炎を起こしてから、ブレンの間合いに入って行くゾルーガ。
先程抜いた刀を鞘に収めて、再び居合の形で待ち構えるブレン。
間合いを測りながら近づくゾルーガ。
(この辺や。あと一歩踏み込んだらブレンはんの間合いや)
ゾルーガがブレンの間合いに踏み込もうとした瞬間、ブレンの斬撃が飛んで来る。
「何やてっ⁉︎」
意表を突いた射程外からの攻撃に鎧を切り裂かれたゾルーガだったが、一瞬身を引いた為致命傷と言うには程遠いダメージだった。
(おかしい。まだ間合いの外やった筈や。測り損ねた? いや、ワイがそんなヘマする筈あらへん。という事は、や)
「ブレンはん! あんた、間合いを変えて来おったな?」
「さあ? 何の事だ?」
「ハッ! とぼけるんかい⁉︎ あんた、アホそうに見えて、実は計算高いっちゅう奴か⁉︎ たち悪いな〜」
(いいえ、ブレン様はリアルにおバカです)
何気に失礼なメルクであった。
「まあええわ! もっかいや‼︎」
再度小手で炎を起こしてからジリジリと間合いに入るゾルーガと、居合の構えで待つブレン。
そんなゾルーガの動きに違和感を感じるメルク。
(さっきからゾルーガさんのあの小手をこする動き、気になりますね。確かに右腕の炎が小さくはなってますが、まだ完全に消えている訳でもないのに、攻撃を仕掛ける度にまたわざわざ炎を起こしてる……まさか⁉︎ あの動きはブレン様と同じ⁉︎)
先程の経験を踏まえて、間合いの1歩手前で止まるゾルーガ。
(ここや。ここから踏み込んだら攻撃して来よったんや。今度は見切ったるでぇ!)
気合いを入れて踏み込むゾルーガ。
その瞬間ブレンの斬撃が飛んで来るが、今度は完全に小手でガードするゾルーガ。
(お、重い⁉︎)
ブレンの斬撃を防御したものの、その威力に後方に弾き飛ばされてしまうゾルーガ。
「いったあああ! 何ちゅう威力やねん⁉︎ 最初のより強なっとんちゃうか⁉︎」
弾き飛ばされたとはいえ、ゾルーガが威力の増したブレンの斬撃をガードした事に驚いているメルク。
(完全に防がれた⁉︎ ブレン様はもう何度も刀を鞘に収めて、相当に威力が上がってる筈なのに⁉︎)
驚いているのは、ブレンも同じだった。
(防がれた⁉︎ もう随分威力とスピードは上がっている筈。それを完全にガードされた⁉︎ うむ……手強いな)
スクッと立ち上がり、肩をぐるぐると回しながら近付いて来るゾルーガ。
「なるほどな! あんたも、同じっちゅう訳や⁉︎」
「同じ⁉︎」
「勢いの付いた斬撃と立ったままのガード。威力が同じやったら、そらワイの方が飛ばされるわな〜!」
「同じ……なるほど、そういう事か。どこかで見た動きだと思っていたら……」
「そうゆうこっちゃ」
ニヤリと笑うゾルーガ。
「お前の動きはマッチに似ていたんだな⁉︎」
「いや何の話やねんっ‼︎」
(それに関しては僕も思ってました)
「何っ⁉︎ お前の腕をこする動きがマッチみたいだと言う話じゃないのか⁉︎」
「だれがマッチやねんっ‼︎ またそんなしょ〜もない事考えてたんか⁉︎ そんな事やなしに、ワイが小手で腕をこする度に火力が上がるように、あんたも刀を鞘に収める度に威力が増して行ってるんやろっちゅう話やっ‼︎」
まるで今気付いたように絶句するブレン。
「そ、そうだったのか〜‼︎ 何故俺様の威力を増した斬撃が防御されるのか不思議だったが、そういう事だったのかああ‼︎」
「え⁉︎ ま、まさかホンマに気付いてなかったんか?」
「いや〜! 敵である俺様にわざわざ能力の秘密を教えてくれるとは、意外といい奴だな⁉︎ 増産土生姜!」
「まだゆ〜かっ⁉︎ 土生姜、そんな需要無いやろっ⁉︎」
(それは作ってる農家さんに失礼です)
「いや、それはどうでもええんや! ワイはてっきり、あんたはアホな振りして相手を油断させといて、実は裏で物凄ぉ計算しとるんやろうなって思てたんやけど……リアルにアホやったんやな……」
「アホでは無いっ! バカなのだっ‼︎」
「一緒や! アホオオオ‼︎」
(お二人共同じぐらいバカだと思います)
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