第3話 悪ノリが過ぎる? いいんです!
言葉巧みにネムとロロを味方に付けたユーキが更に下の階に降りると、そこにはレノが待ち構えていた。
「マナ‼︎ ここを通す訳にはっ‼︎」
「邪魔なのです!」
「ぐわあっ‼︎」
ロロにぶっ飛ばされて、あっさり気絶するレノ。
その横を、申し訳なさそうに通り過ぎて行くユーキ達。
「レノ兄ちゃん、ゴメンね」
レノ、一瞬で脱落。
残るBL隊はあと3人。
更に下の階に降りるとそこは、明かりも何も無い完全な暗闇だった。
「昼間なのに暗いよ⁉︎」
「何も見えないのです」
「この闇ってまさか⁉︎」
それは、ユーキには見覚えのある闇だった。
「フィー‼︎ 居るんでしょ⁉︎ 隠れてないで出てきなさい‼︎」
「早くもネムさんとロロさんを味方に付けたんですか? さすがのたらしっぷりですね?」
「誰がたらしかっ⁉︎」
「いいえ、みたらし団子がぷりぷりしてると言ったんです」
「表現が独特っ‼︎」
「出て行ったら3人で袋叩きにする気でしょう? それが分かっていながらむざむざ姿を現わす程バカではありません。シャル様じゃあるまいし」
「酷い言われよう⁉︎」
「どおしても通りたいと言うのであれば、どうぞこの闇を通り抜けてください。ささ、どうぞどうぞ」
「旅館の女将かっ⁉︎ この中に入ったらまた怖い顔の幽霊が居るんでしょ⁉︎ ヤダよ‼︎」
「ええ〜⁉︎ 姉様、この中幽霊居るの? ネム、怖いのヤダよ? ロロ、先に行って」
「はうあっ⁉︎ ロ、ロロロロロ! ロロだって幽霊は嫌いなのです! 先頭はイヤなのです!」
「ロロだって幽霊の仲間みたいなものでしょ?」
「確かに霊体が仮の肉体に憑依してますが、分類的には召喚獣なのです! 普段から霊が見える訳では無いのです! 普段見えない物は、やっぱり怖いのです!」
「通っていいと言ってるのに通らないんですか? ならばとっとと尻尾を巻いて逃げてください。ゴリラのように」
「いや、ゴリラに尻尾無いから! くそ〜、とはいえまたあの時みたいに恐い思いするのヤだしな〜。あっ!」
何かを閃いたユーキがネムとロロに耳打ちする。
フィーに聞かれないように小声で話すユーキ達。
「どう?」
「今は紫雲石しか無いから、30パーセントぐらいの能力しか出せないけど」
「明るくなりさえすればいいからそれでいいよ。僕がやると加減が出来ないからさ」
「うん、分かった」
「その後はロロにお任せなのです」
「よし、じゃあ行こう!」
「何ですか? また悪巧みですか? そういうのはシャル様を思い出して腹が立つのでやめてください」
「ホント酷い言われようだねっ⁉︎」
ペンダントを引き、魔道書を具現化させるネム。
魔石を下に置き魔道書を開くと、そこに魔方陣が現れる。
「召喚‼︎ フェニックス‼︎」
召喚されたフェニックスが炎を噴き上げると、その明かりで複数の幽霊やゾンビ達が照らし出される。
「ほら〜‼︎ やっぱり居た〜‼︎」
「だけど、これだけ明るければ怖く無いのです!」
そう言ってユーキとネムを両肩に担ぎ上げて、フェニックスの背中に飛び乗るロロ。
「ネム‼︎」
「うん! フッシー! お願い‼︎」
「クエエエエー‼︎」
ユーキ達を乗せたまま回廊を飛んで行くフェニックス。
その炎から逃げ惑う幽霊やゾンビ達。
「やべぇ‼︎ あの炎はやべぇって‼︎」
「浄化の炎だ‼︎ 逃げろ〜‼︎」
「また何も仕事しないまま帰る事になるぞ〜‼︎」
次の階段にたどり着きフェニックスが消滅した所を狙って、フィーが後方から襲いかかって来る。
「そう何度もタダ働きにされては困ります!」
「マスター! 危ないのです‼︎」
上から振り下ろされた鎌を、腕で受け止めるロロ。
「ロロ⁉︎」
「2人は先に行くのです‼︎」
「でもっ⁉︎」
「誰かがフィーさんを止めないといけないのです! 今それが出来るのはロロだけなのです! だから!」
「ロロだけじゃ厳しいでしょ」
そう言いながら、ロロの元に戻って行くネム。
「ネム⁉︎」
「何をやっているのです、ネム⁉︎ ネムまで残ったら誰がユーキさんを守るのです⁉︎」
「どの道、ここでフィー姉様を止められなければ、城からの脱出は出来ないよ。それに、フィー姉様にはトーナメントでの借りもある」
「フッ、仕方ないのです。では、2人でリベンジと行くのです‼︎」
「ネム‼︎ ロロ‼︎」
ユーキの呼びかけに振り向いてニコリと笑うネムとロロ。
「ユーキ姉様……姉様と一緒に行きたかったけど、ネムはやっぱりロロを置いては行けないよ。ゴメンね」
「マスターユーキ! 必ず城から脱出してほしいのです」
「ネム達の分までいっぱい楽しんでね、ユーキ姉様」
「ネム‼︎ ロロ‼︎ 待って‼︎」
「さあネム‼︎ やるのです‼︎」
「うん! 魔装‼︎」
ロロと合体したネムがフィーに向かって行き、3人が強烈な光に包まれる。
「ネムううう‼︎ ロロおおお‼︎ くっ!」
悲しみを振り払うように階段を降りて行くユーキ。
「ネム! ロロ! 2人の犠牲は決して無駄にはしないからね! もし城から脱出出来たなら……必ずおみやげ買って帰るから‼︎」
涙を拭って前に進むユーキ。
フィー脱落により、残るBL隊はあと2人。
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