第81話 みんなは屋台で何買う?

「それはそうとカオス! お前は一体何しに来たニャ⁉︎」

「決まってんだろ⁉︎ 戦線布告だよ!」

「⁉︎」


 再び警戒するBL隊。


「あたし達と戦争するつもりかニャ⁉︎」

「まあ確かに、お前達は五国を統一した事によって戦力的には俺達パラスと匹敵する程になった。この世界の覇権をかけての全面戦争ってのも面白いかと思ったんだが、それも面倒だしな」


「じゃあどうするニャ? 叩いてかぶってジャンケンポンで勝負するかニャ⁉︎」

「するかっ‼︎ 勿論戦うさ! 俺の目的は覚醒したアイリスと戦う事だと言っただろう⁉︎ だが、今はまだアイリスの奴は寝てるようだからな。そこでだ! アイリスが完全に覚醒するまで、俺達とゲームをしないか?」


「叩いてかぶって!」

「ジャンケン、違うわっ‼︎」 


 ネムの勢いに、つい乗りそうになるカオス。


「ゴホンッ! お互いに代表戦士を数名出し合って、どちらかが全滅するまで戦う、生き残りサバイバルってのはどうだ⁉︎」

「鯖が威張ってサバイバルですぅ」

「くだらね〜わ‼︎」


 セラの寒いオヤジギャグにも一応ツッコむカオス。


「また武闘大会でも開くつもりか⁉︎」

「武闘大会? そんなお遊びに付き合うつもりはない!」

「しっかり参加してたじゃないの⁉︎ 叔父様⁉︎」

「叔父様ゆ〜な! 姪っ子!」

「姪っ子ゆ〜な!」

「結構乗ってくれるんですね……」


 叔父と姪っ子という奇妙な関係になってしまったパティとカオス。


「俺の戦士が生き残った場合は、俺がアイリスと再戦させてもらう。お前達が生き残った場合は、俺と戦う権利をやろう!」

「いや、結局どちらに転んでも、お前がアイリス姉様と戦えるだけニャ⁉︎ 単にお前の望みを叶えるだけの戦いニャ!」


「そんな事は無いさ。確かに俺達が生き残れば、俺はアイリスとサシで戦わせてもらう。だがお前達が生き残った場合は、お前達は全員で俺に向かって来れるんだからな」


「今ここで、全員であんたを袋叩きにするって手もあるわよ⁉︎」

「フッ! それはやめておけ、姪っ子」

「姪っ子ゆ〜な!」


「真の肉体を取り戻した俺相手では、お前達がいくら束になってかかって来た所で相手にならん! 猫! 例えお前が手を貸したとしてもな!」

「そ、そうなんですか⁉︎ シャル様?」


 アイバーンが猫師匠に問う。


「悔しいけどカオスの言う通りニャ。借り物の肉体に入っていた時のカオスなら、まだあたしやマナでも何とかなったニャ。でも完全体になったカオス相手では、もうあたし達だけでは手に負えないニャ」


「何でよ⁉︎ 師匠だって同じ3大神の1人なんでしょ⁉︎」

「一応その括りの中には入ってるけども、戦闘力だけならあたしはカオスやアイリス姉様には遠く及ばないニャ」

「そんな……あたし、イース教に改信しようかしら……」

「し、仕方ないニャ! あたしは所詮娯楽を司る神ニャ! 2人とは元々の神格が違うニャ!」


「ホント、肝心な時に役に立たないんですから」

「フィー⁉︎ 誰が役立たずニャ⁉︎」

「いいえ、茶柱が立たないって言ったんです」

「縁起物っ⁉︎」


 確かに娯楽の神だ。

 そう実感したBL隊であった。


「だ、だけど同じ3大神のユーキさんも居るんですから!」

「ゴメン! 今は無理なんだ、メル君」

「ユーキさん⁉︎」

「忘れたの? メル君。ユーキはフィーとの闘いで魔装具を壊されちゃったのよ⁉︎」

「あっ!」


「アイリスの魔装具が壊れた今だからこそ来たんだ。でないと、いくら俺でも神が何人も居る所に単体で飛び込んで来たりはしないさ。ゼスのじいさんも役職を降りたみたいだしな⁉︎」

「むう……カオスの言う通りじゃ。もうわしにお前達を裁く権限もその気も無い」


「でもユーキさんは、決勝戦で魔装具無しで魔法を使ってたじゃないですか⁉︎」

「それもゴメン、使えるには使えるんだけど、まだ魔力の制御が上手く出来ないから、今下手に使ったら間違いなくみんなを巻き込んじゃう」


「魔装具とは魔力の増幅装置であり、制御装置でもあるからニャ。強大な魔力を持つ者が完全な魔力制御が出来ない内は、魔装具によって魔力の暴走を抑える必要があるニャ」


「い、いやでも! 魔装具なら、また買って契約すれば!」

「無駄ニャ」

「無駄、とは?」


「今のユーキは神の力が目覚めつつあるから、市販されている魔装具ではいくら最高ランクの物でも、その強大な魔力に耐えられないニャ。まあ、保ってひとバトルが限界ニャ」

「でも師匠達だって魔装具使ってるじゃないの⁉︎ まあ、師匠は魔力がショボいみたいだけど」

「うるさいニャ! 姉様達に劣るとはいえ、それでも人間とは桁違いの魔力はあるニャ!」


「私達は、ちゃんと魔力の制御が出来るというのもありますが、それぞれが伝説級の専用魔装具を持っているんです。魔力のショボいシャル様ですらね」

「いちいちうるさいニャ!」


「そんな……え⁉︎ じゃあアイリスさんは? アイリスさんだって神様なら、その専用魔装具とか言うの持ってたんじゃないの⁉︎」

「確かにアイリス姉様にも専用魔装具はあったニャ。だけど、ゼスのじいさんに異世界送りにされた後、何故かその魔装具は行方不明になってしまったニャ。ユーキと一緒に異世界に送られた訳でもなかったニャ」

「また行方不明?」


「その魔装具というのはこれの事か?」


 そう言いながら、右手に持ったペンダントを見せるカオス。


「フニャッ⁉︎ そ、それニャ‼︎ 何でお前がアイリス姉様の魔装具を持ってるニャ⁉︎」

「アイリスが異世界に送られた後、リーゼル城の近くに落ちてたんだよ。こういう日の為に、俺が預かっていたのさ」


「なら早く姉様に返すニャ!」

「拾ったのは俺だ! タダで返す訳にはいかないな!」

「じゃあ今日屋台で買った、焼きトウモロコシをやるニャ」

「いるかっ‼︎ てか食べかけじゃね〜か‼︎」


「ならぁ、私の買ったたこ焼きではどうですかぁ? 夜食に取っておいたからまだ手を付けてませんよぉ」

「いらないと言ってるだろう!」


「たこ焼きもダメかニャ⁉︎ みんな他に何か持ってないかニャ?」


「ふむ……私は何も買い食いはしなかったからな」

「あたしもユーキの試合に夢中で」

「俺もマナの応援に必死だった」

「クレープ買ったけど食べちゃった」

「美味しかったのです」

「焼きそば持ってますけど、食べかけです」

「アイスを買ったが、一瞬で溶けちまった!」


「いや、そもそも食い物で釣ろうとするんじゃね〜よ‼︎」



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