第71話 新しい二つ名がついた件について……
寮の自室に帰るともう6時になっていた。
私は急いで着替えるとサラセリアのヘンリー隊長宅へテレポートする。
今日こそは早めに薬草を集め終えてぐっすり眠りたいものだ。
しかし、私のささやかな願いは、玄関をノックする音でもろくも崩れ去ったのである。
昨日と同じ朝6時過ぎ、昨日と同じメンバーが、昨日以上の勢いでドンドンと玄関をノックしていた。
私は何事かと思い話しかける。
「お二人ともどうしたのですか?」
「アリアちゃん、大変だ。
病気が拡大している。」
「薬が効かなかったのですか?」
「いえ、薬を投与した人は回復に向かっています。
新たな患者さんが出ていると言うことです」
「というわけで、今日昨日と同じ指名依頼だ。
よろしく頼む」
私はため息をつくと、起きてきたヘンリー隊長の方を見る。
「人助けだ、行ってあげなさい」
ヘンリー隊長ならそういうと思っていました……
この依頼の難点はステレラさんがついてくるので、テレポーテーションでショートカットしたりできないことだ。
依頼中に睡眠を取ることもできない。
私は、明日の寝不足を覚悟して依頼を受けることにした。
翌日、テレポートで寮の自室に戻ると一睡もしていない状態でまた制服に着替える。
学園の教室に着いた私は昨日同様、爆睡モードへと突入した。
この日も朝のホームルームが終わった所から記憶がなく、気がつくと5時間目が終わっていた。
カスミちゃんによると座学が続いたせいで、カスミちゃんがサイコキネシスを使って何とかごまかせているそうだ。
昼休みには例によってナターシャさんとイリアさんがからみに来たようだが、爆睡している私は全く起きなかったらしい。
私にからめないためますます立腹した二人は、ターゲットをカスミちゃんに切り替えてきそうになったので、カスミちゃんは素早く退避したそうだ。
私たちの逃げ足はビッグラビットも真っ青の超スピードなので、簡単につかまることはない。
そして昨日同様6時間目にやっと正気を取り戻した私は、いつの間にか周りの友達から『眠り姫』と呼ばれていることに気がついた。
おかしい……、どうしてこうなった……。
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