第40話 10歳になりました… (40話)

 ハクウンたちを引き取って3年の歳月が流れた。

 あっという間の3年間だった。


 この3年で、私たちはちょっとは名の知れた見習い冒険者となった。

 ビッグラビットを捕ってきても不思議がられないくらいのステータスを申告し、日々の収入も激増している。


 ついた二つ名はツインコメット。

 双子の彗星である。


 たまたま、私たちがビッグラビットを飼っているところを見かけた冒険者が、私たちの息のあったコンビネーションとあまりの素早さに、双子の彗星のようだと言いふらしたのが原因だ。

 おかげで、見習い冒険者成り立ての頃に絡まれたような悪質な輩は、私たちに手を出してこなくなった。


 ちなみに私が冒険者ギルドに申告しているステータスは平均的大人3人分くらいで、次のようになっている。

 体力355

 魔力425

 力 346

 素早さ286 


 カスミちゃんは、私より素早さを少し高くし、それ以外のステータスは少し低く設定しており、次のような数値だ。

 体力325

 魔力395

 力 316

 素早さ358 


 もちろん、本当のステータスは、この3年間のたゆまぬ訓練で二人とも測定限界を突破している。

 もしも、ステータス測定を受けざるを得ない状況になったら人外認定確実であろう。


 ちなみに私の本当の数値は


 体力9999+

 魔力9999+

 力 9999+

 素早さ9999+ 


 となっており、全ステータス表示限界を突破した。

 更に詳しく見たところ体力35525、力34638、素早さ28612となっている。普通の成人おとな300人分オーバーだ。


 カスミちゃんもカンスト状態で、詳しく見てもらったら、体力32508、力31648、素早さ35836と言うことだった。


 素早さは私を上回っている。


 カスミちゃんの魔力は9.99×10の9999+乗となり、私と同じカンスト状態である。

 しかしながら、未だに成分抽出やテレポーテーションはできないらしい。


 これだけ魔力が高いので、他にできることがないのか色々試したところ、何故か空間制御による重力変化とブラックホールの生成はできてしまった。

 私の時間遅延倉庫を生で見たことで、イメージがしやすかったようだ。

 今では、衛星コロニーの重力制御と時間遅延倉庫の管理はカスミちゃんにお願いして交代で行っている。


 にもかかわらず、同系統のはずのテレポーテーションはできないカスミちゃん…

 解せぬ…


 カスミちゃんのお父さんのジョーイさんは、各地をまわったときの風景画や最初に引き受けた肖像画で実力を示し、今ではこの街でそこそこ有名な画家となっている。

 絵の売り上げもそれなりなのだが、カスミちゃんの収入に追いつけないことを密かに悩んでいるということだ。

 ワットマン家で月収や年収の話は厳禁なのである。


 ハクウンとセキホウの2匹は、今では親と同じくらいの体長15メートルほどに育ち、コロニーの恐竜エリアも青い月裏側コロニー群で最大規模まで拡大した。

 ドームの直系は30キロメートルほどにもなっている。

 もちろん、ドーム内には植物や餌となる昆虫類の他に、草食恐竜もかなりの数を移住させた。

 特にトリケラトプスは群れができる程度移住させたいと思い、20頭ほど連れてきた。

 いずれも、親を失ったりはぐれたりして死にかけていた子供のときに連れてきたので、私たちにもそこそこなついている。

 将来はコロニーで繁殖してほしいものだが、ハクウンたちを含めて未だに繁殖行動に出る個体はいない。

 まだ、成体になっていないと言うことだろう。

 ちなみにハクウンとセキホウは二頭とも雄だった。

 しかし、雌のトリケラトプスと遊ぶより二頭でじゃれるか私たちにモフられる方が気に入っているようである。


 今ではすっかり大きくなって、襟巻きも立派に育ち、私たちを乗せてコロニー内を散歩するのも日課になっている。

 3本の角も立派に育ったので、鋼鉄の角ケースをつくってみた。

 万一戦わなければならないときには役立つだろうが、2頭でじゃれているときは逆に危ないので、普段は装着させていない。

 二頭とも私たちの気持ちが分かるのか、騎竜として優秀である。


 私たちも2頭と遊んでいるうちに、いつの間にかエンパシーという能力を覚えていた。

 どうやら人や動物の感情を読み取ることができる能力のようだ。


 そういえば以前から獣や魔獣と相対しているときに、動物の気持ちが分かったような気分になることがあった。


 ハクウンとセキホウの二頭に関して、私たちが成人したあかつきには、熱帯地方の冒険で捕まえたことにして、大々的に街に凱旋しようと、カスミちゃんと話し合っている。


 まさに、機は熟したと言えるであろう。


 リベンジのときだ。


 私とカスミちゃんはハクウンとセキホウの親の敵であるギガノトサウルスに再戦を挑むことにした。

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