第29話 飛竜?発見… (29話)
カスミちゃんの水蒸気爆発で空になった水筒に、サイコキネシスで空中から水分を集めて再び水を満たしていると、何か西の方角が気になった。
「ふもーーーーーーぉぉぉぉぉ」
西から悲鳴のようにも聞こえる動物の鳴き声が小さく聞こえたような気がする。
ふと西を見ると遙か彼方に小さく見える飛行物体を確認した。
早速クレヤボヤンスで視点を切り替え、拡大して見る。
「見つけた!………かも………」
「えっ見つけたのアリアちゃん」
「多分そうだと思うけど、なんか思っていたのと違うような………」
「???なにが違うの???」
「うーん、とりあえず行けば分かるかな…。つかまって、カスミちゃん」
私は周囲と目的地に人気がないことをクレヤボヤンスで確認すると、カスミちゃんを連れてテレポートした。
飛竜の進路に当たる真下あたりに出る。
正面から大きな怪鳥がこちらへ向かってくる。
足には放牧していた牛らしきものがぶら下がっており、モーモーと悲鳴を上げている。
ぶら下がっている牛は、このあたりでよく放牧されている品種で、主に牛乳を取るための家畜だ。
牛の大きさは前世の地球の肉用黒毛和牛と同じくらいなので、推測するとあの飛行物体は最低15メートルほどの翼長を持っていることになる。
どうやら、件の目撃された飛竜で間違いないようだ。
「何、あれ?恐竜???」
私がつぶやくとカスミちゃんも同意する。
「そうだね……。
ドラゴンって言うよりプテラノドン?」
「うーーーん。
しっぽが長いからランホリンクスのでっかいのって感じかな?」
「ランホリンクス?
アリアちゃん、それ何?」
「翼竜の一種でしっぽが長いプテラノドンみたいな形の奴…。
でも、地球じゃ1メートル50センチくらいの小型翼竜だったような…」
「地球の10倍くらい大きいって事?」
「そうだね…」
二人で牛を連れ去るランホリンクスを見ていると、向こうもこちらに気がついたようだ。
行きがけの駄賃とばかり、牛をつかんでいない方の足で私たちを捕獲しようと滑空してきた。
「降りかかる火の粉は払うべきよね、カスミちゃん」
「そうだね、あれ、手なずけて乗ってみたい気もするけど、何か目が怖いし、仲良くなれそうにない……」
カスミちゃんが言うとおり、ランホリンクスは凶悪なとんがった口にサメのような歯をたくさん並ばせており、顔の大きさの大半は口である。
目つきも狂暴そうで、やる気満々の眼光を発しながら迫ってくる。
確かに、手なずけるのは厳しそうだ。
私たちはとりあえずランホリンクスを倒してさらわれたお姫様を救出することにした。
お姫様と言っても牛だけど……………。
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