魔法の旅

雨宮翠菜

第1章 朝

 この世界のどこを探しても見つからない、もう一つの世界。名前は魔法世界「ファンス」。その世界では、魔法が存在する。ファンスに住む人々は、当たり前のように魔法を使い、生活している。ファンスには、5つの国があり、6つの村がある。その中でも、一番大きな国が「ラフィオ」。今日も、ラフィオで活気あふれる一日が始まる。

 朝。太陽が昇るとともに、一人の少女が目を覚ました。少女は、城下町のある家で暮らしている。

「ふあ~。よく寝た~。」

伸びをしてから、ベットから降りる。下から声がする。

「ラナ!起きた?」

声は、リビングからだ。少女・・・ラナはめんどくさそうに答えた。

「起きてるよ、母さん。」

ラナは、戸棚から洋服を出し、着替えた。黒のシャツにジーンズ。ラフな格好で、下に降りる。

「あ、やっと起きた。今日は遅かったね。」

そう答えたのは、40後半頃の女性だった。

「早く起きなくてもいいじゃん。」

ラナは、魔法学校を卒業した17歳。もう、学校に行く必要がないのだ。

「おう、ラナ。やっと起きたのか。相変わらず、寝坊しまくりだな。」

ラナをからかいながら、リビングに入ってきたのは、ラナの兄、レオだった。

「うるさいな~兄さん。今日は仕事じゃないの?」

「ああ。今日は休み。魔法騎士にも休みは必要ってさ。騎士長が言ってた。」

「なるほどね。」

レオは、魔法騎士をやっていた。魔法騎士とは、国の守備に当たる仕事で、モンスターの討伐もやっている。ちなみに、ラナの職業は、まだ決まってない。

「はあ。私の職業、何にしようかな~」

ラナは机に突っ伏して、考えた。

「ラナは、ドジだからな。なんもできないんじゃね?」

「うっさいな~」

レオはケラケラ笑いながらラナをからかった。

「そういえば、ラナ。新しい職業があるらしいけど知ってる?」

ラナの母がおもむろに口を開いた。

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