第2話 僕の名

彼女は、僕が小学校3年の頃に突然現れた。

急に転校してきた君はみんなが見ている前で 早々に超能力を発揮した。


手も使わずに黒板にチョークを操って名前を書いたのだ。


全員が驚いた。

僕は一瞬だけだったが見慣れていたので興味もなく見ていた。

その時に君と目が合ってしまった。


放課後、一躍クラスの……いや学校中で注目の的を得た君はそんな野次馬達の目なんか気にせず、僕に近づいてきてこう言った。


「名前はなんていうの?」


教室の片隅でひっそりと本を読んでいた僕に、君は声をかけてきた。クラスメイトの名前を確認するだけだと思った僕は『宮本 翔一』と自分の名前をつぶやいて読書に戻る。

すると君がへぇと言ってすぐに野次馬達に混ざり込む。


その日はそれで終わった。

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