救われて

 銃声が響いた後、私は、身体のどこにも痛みを感じていなかった。



 痛みも感じないうちに死んじゃったのかな……?



 ここって、天国なのかな……?



 私は、恐る恐る、ゆっくりと瞼を開いてみた。



 だけど、そこは、天国じゃなかった。



 私の前には、貴弘の背中があった。



 貴弘は、私を庇って、盾になろうとしてくれていた。



 

 貴弘……私を守るために、銃で撃たれたの……?




 貴弘は立ったまま、動こうとしない。



 けど、銃で撃たれたんだったら、倒れているはず……?



 私の前で、大の字で立ち塞がる貴弘。





 その場に蹲る私は、その貴弘の開いた両足の間から、貴俊の姿を見た。



 貴俊は、拳銃を持っていたはずの右手を押さえながら、私と同じように、地面に蹲っていた。



 その右手からは、どくどくと血がこぼれ落ちていて、公園の地面を赤く染めていた。



 


 公園の入り口から、数人の大人の男の人達が躍り出てきて、その貴俊の身体を取り押さえた。



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