【Episode:02】悲しい旋律

抑えきれない想い


 午後の授業が終わった後、今学期から図書委員になっていた私と麻衣は、新しく寄贈された書籍の整理を、図書室の先生から頼まれることになった。



 その作業が終わったのは、空が夕焼け色に染まった頃だった。



「ん~、やっと終わったぁ」


 段ボールの中に入れられていた書籍を、全て棚に並べ終えた麻衣が、言いながら身体を伸ばす。


「それじゃあ、瑞貴。ちょっと遅くなっちゃったけど、これから例のカフェに繰り出すとしますか」


「麻衣、ごめん」


 麻衣に両手を合わせて謝った。


「私、ちょっとこれから用事があったの思い出したんだ。後から行くから、先にそのカフェに行って待っててくれない?」


「用事って……まだ他に、先生から頼まれごとでもしてるわけ?」


 麻衣が、困ったように眉をひそめる。


「だったら私も手伝ってあげるけど」


「そうじゃないんだけど……」


「なに? 親友である私にも内緒なことなの?」


「ごめん。すぐに済ませて後から行くから」



 私は、麻衣の追及をなんとかやりすごして、図書室の前で別れた。


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