時と場所

 男の前に突然、頭から猫の耳を生やした異様な格好の少女が現れた。


「私は別の世界から来た者です。少しの間かくまってもらえませんか?」


 彼女は異界の王女。他国の攻撃で一族はみな滅び、最後の一人となった彼女は我々人間の世界へ命からがら逃げてきたのだ。


 だが、男は首を振って言った。


「すまぬ。わしは今、家臣の謀反にあい自決するところじゃ」


 やがて本能寺は炎に包まれ、すべての真相は灰と消えた。

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