「十五年前のあの日も、こんな嵐だった」

　雷鳴が轟く中、激しい雨風が打ちつける窓の外を眺めながら父さんは言った。

「十五年前……？」

「ああ、今こそ話す時が来た。十五年前の嵐の晩、一人の女が赤ん坊を抱えてうちを訪ねてきた。後で知った事だが、彼女は普通の人間ではなく天界の一族の末裔だったのだ」

「天界の一族って、英雄を生み出すっていうあの……？じゃあ俺は……」

「ああ、お前はあの日——」

　父さんは僕に向き直ると言った。

「赤ん坊の遊び相手を立派に努めていたよ」

「光栄です」

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