閉ざされし記憶

「さわるな!」


 俺は思わず声をあげた。


 目の前の女は触れた対象の記憶を読み取る能力者だと聞いている。さわられてしまえば組織の情報が漏れてしまう。


「安心して。私の能力は限定的なもの。どんな記憶でも、なんでもかんでも読み取ってしまうわけではないの」


「限定的……? いったいきみは何の記憶を読み取るんだ?」


 女は言った。


「私が触れた人間から読み取れるのは、その人間が『うわっ、これエッロ!』と思った瞬間の記憶だけなの。だから安心して」


「さわるなぁ!」

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